六十四話:めんどいアレコレ
田中と目があった瞬間、オレは察した。
あ、これめんどいやつだ。
オレの想像通り、田中と先輩は一体のゴブリンキングと交戦中だったらしい。
そして、やっと倒したところにオレがきて横取りをしたと。
まあそんな感じだ。
実際は事故のようなものだが、流石にそれはおかしいので、とりあえずはゴブリンキングを一体譲ることにする。
ちょうどまっすぐいったところにゴブリンキングを発見したので、転身と瞬光を使ってクリティカルで即殺。
それを右手で触らないようにして田中のところに引きずって帰る。
「申し訳なかった」
謝りつつゴブリンキングを差し出す。一応事故だし、これで治めてくれるといいんだが。
「はぁ? そんなすぐに倒せるやつなんてどうせ弱い個体だろ?
さっきのやつはオレが苦労して倒した良いやつだ。価値が違うんだよ!」
それはそうだが、鑑定(割と多様している、リングについている能力)してみても違うのは誤差の範囲だ。
10、20と言ったぐらいの。
それに、クリティカル一撃で倒している分価値はこっちの方が上かも知れない。
とはいえ、こっちが悪かったわけだし、少しぐらいは仕方ない。
「じゃあどうすれば良い?」
ちょっと上からな気がするが、田中相手だとどうしてもこうなってしまう。
「5000ptをよこせ。それで手打ちにしてやる」
は?いやいや、おかしいだろ。ぼったくりすぎ。
補足しておくと、オレの倒したゴブリンキングは3500、田中のは3300といったところか。
その上、生徒同士でのポイントのやり取りはできるにはできる。
双方の合意の上、ポイントをかけて勝負などといったこともあるからだ。
ただし、それは同じクラスにいる人同士でしかできない上、渡す側は渡したポイントの半分のポイントが失われる。
つまりこの場合は合計7500ptを失うということだ。ないだろ。
「断るといったら?」
「お前の悪評を流してやるよ。そしたらもう寄生もできなくなるかもなぁ?」
別にそんなの痛くも痒くもない。というかこの場に先輩たちがいることを忘れていないだろうか。
まあ良い。めんどくさいことになりかねないし、ここは素直に渡しておくか。
ーー今月の総合ptで圧勝して、その時に煽り倒してやろう……




