第4話 礼華ちゃん
「えっと…会長それってつまり…」
私は恐る恐る会長に聞く。
別に考えなかったわけではないが、生徒会長に見られているのは最悪中の最悪と言ってもいいだろ。
会長は顔から湯気が出そうなほど顔を真っ赤にしながら
「まっままままま待て!別に私がお前が誰かとキスしたところを見たとかではないぞ。」
…この人意外とウブなのかな。
そうだったら扱いやすいかも。
「本当ですか〜?」
私は目をジト目にしながら会長の瞳を見つめる。
「ほほほ本当だ!!別にお前と泉礼華がキスしているところを目撃したとか…断じてそんなことはない!!そんな目で私を見るな!!」
(いや、今ので確定じゃん…。)
だけど、ここまでウブな感じだと誰かに言いふらすこともないだろうし…まあ問題ないと思っていいだろう。
「会長…正直者なんですね…尊敬できます。」
すると会長の顔はパッと明るくなり、
「本当か!?いやあ昨日からずっと悩んでいてな!中々夜も眠れなかったんだ!!」
「…あっさり見たこと認めるんですね。」
意外と素直だな。
「え?あああああああ!?これ言っちゃいけないんだったああああああ!?」
違う、この人認められると口が軽くなるんだ…。
ある意味一番扱いにくいかも…。
「えっと…じゃあまた…。」
私は後悔している会長を背に私は生徒指導室を後にした…。
でも、確かなことがある。
それは礼華ちゃんとはしっかり話をするべきだと言うことだ。
このままだと…私はきっとあの子とまともに話せないと思うから…。
とにかく、話そう!よし!!
私はしっかりした足取りで歩き出す。
その直後、私はその少女と再会することになる。
目の前に涙を浮かべた礼華ちゃんがいた。
…あの時と同じように。
私には気がついていないようだが、ハンカチで涙を拭いながら階段の角にしゃがんでいた。
「私…昨日間違ったことしたかも…しれ…ない…どうしよう…千春ちゃんになんて顔を合わせれば……。」
目に涙を浮かべるどころの話ではなかった。
号泣だった。
……触れて良いか迷う。
しかし、確かに私は昨日戸惑ったが、彼女は元々私が友達になろうとした女の子なのだ。
私が蒔いた種と言っても過言ではない…。
ここで放って置いたら後悔する…と思う。
「……礼華ちゃん…大丈夫?」
「!?」
礼華ちゃんは私に気がついて、固まってしまった。
「……千春…ちゃん…ごめんな…さい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、私とっても迷惑かけちゃったよね…ほんとにごめんなさい。」
必死だった。
まるで捨てられる寸前の子猫のようだ。
……でも私はそんなことできない。
そんな風な女じゃない!
「礼華ちゃん!私全然気にしてないよ!」
私は声を張り上げる。
礼華ちゃんの顔が明るくなった…気がする。
「ほん…と?」
まるでまだ小さな子供のようだった。
「本当だよ!!なんなら私楽しかったもん!!追いかけっこ!いやーまさかバスを使うとは中々の番外戦術だなあ〜。」
少し嘘が混じっているがこう言う時は嘘も方弁だ。
ぐすん。
礼華ちゃんの目から涙が引いた。
「じゃあ…キスは?」
「そりゃあ…びっくりしたけどさ…それ以上に私は嬉しかったよ?礼華ちゃんが私を嫌ってないことがわかって!そりゃあわざとジト目向けられてたりするのはちょっぴり嫌だったけどそこも含めて可愛いと思ってる!!」
これは一晩考えての本音だった
礼華ちゃんがとても可愛かった。
それだけは揺るがない。
「だからさ、私はもっともっと礼華ちゃんのことが教えてほしいな!私友達いなくなる方が嫌だもん! 」
「本当?」
「本当!」
「ほんとに本当?」
「マジだと書いてホントだよ!!」
「………」
礼華ちゃんはしばらく黙っていたがやがて、
礼華ちゃんは涙を拭き取り、ややふらふらしていたが立ち上がった。
「うん…わかった…話すよ…私のこと…私も千春ちゃんとちゃんと仲良くなりたいもん…。」
礼華ちゃんは話してくれた。
本人曰く
中学校の頃は友達がいたらしいのだが、
ある出来事がきっかけで周りから友達がいなくなってしまったらしい
そのある出来事に関しては必死にはぐらかされたが、どうやらなんらかの理由で省かれて、いじめを受けていたらしい。
まあ秘密を言ってくれるのは後でも良いだろう。
それで人とどう関われば良いかわからなくなり、今回のように過剰なスキンシップを取ってしまうようになったらしい。
まあつまり、好いてくれた人に嫌われるのも離れられるのも極端に怖いのだ。
つまり、彼女は0か100しか出せなくなったということらしい…。
話終えたあと礼華ちゃんは目の下を赤くして、
「こんな私とも友達になってくれるの?」
っと言ってきた。
当然私の答えは一つしかなかった。
「当然だよ!私は礼華ちゃんを絶対見捨てない!ずっとそばにいるからね!」
と私は自信を持って答えた。
すると彼女の顔は少し赤くなっていた。
「ずっとそばにいてくれるの?」
「うん!ずっとそばにいるよ!」
「ずっと?」
「うん!」
「大人になっても?」
「うん!」
「私がずっと小春ちゃんの隣にいても良いってこと?」
「う…ん!?」
「生涯ずっと?」
「う…うん!」
「それってつまり…」
礼華ちゃんはゴクンと唾を飲む。
「こ く は く♡」
礼華ちゃんは私にキスをした。
その時私の目に映っていたのは昨日私にキスをした礼華ちゃんだった。
正直この時の私は礼華ちゃんを疑うべきだったのかもしれない。
本当にいじめられていたかは肝心な部分をはぐらかされていたし、私の気を引くための嘘という可能性もあったというのに。
でもあの涙は嘘には見えなかった。
4話まで来ましたよお!




