2話
体育館に着くと、頭蓋骨にそのまま皮を貼り付けて申し訳程度の眼鏡を乗せた老人が、プルプル震えながら挨拶をしていた。
その挨拶の長さとつまらなさを象徴するように生徒の何人かは深い眠りについているようだった。
「ほらっあそこですわ!さっさと席に着きなさい!」
竜宮寺さんが指差したところがどうやら俺の席なのだろう。
竜宮寺さんは「ほらっ!」というように軽く俺の背中を押すと早足で生徒会らしき集団がいる場所へ向かった。
席に着くとその振動で隣に座っていた女の子が目を覚ました。
キョロキョロ辺りを見渡すと先ほどまで誰もいなかった席に座っている俺に気づいたようでニコッと微笑むとまた一つ大きな欠伸をして眠りについた。
「では次に生徒会長からの挨拶です」
司会らしき教師が言うと壇上に一人の女生徒が上がった。
短髪に黒髪、真っ白な肌にすらっとした瞳には少し目力がある、長身の女性。
美人という言葉をそのまま擬人化したようなその女生徒の登場に新入生はどよめいた。
「皆さん入学おめでとう。初めまして私が生徒会長の青柳夕だ。私は余り長話が好きでなくてな、必要なことだけやってちゃちゃっとこんな式を終わらそうと思う。」
そういうと彼女は目の前に箱を置いた。
「この学校では生徒会長候補として一年生を生徒会に入れている。決め方はその年によって変わるんだが今回はクジで決めようと思う。じゃあいきなりだが引くぞ。」
生徒全員が置いてきぼりをくらいポカーンとした表情の中、生徒会長だけは笑顔で箱の中から一枚の紙を取り出した。
「えーと1-B出席番号10番!」
生徒がざわつく、俺も当たりを見渡す。「ほー君か!これからよろしくな!」
彼女の目線が一人の生徒に向けられる。
というか俺に向けられる。
その瞬間全ての生徒の視線が俺に注がれた。
震える手で自分を指し「俺ですか?」と尋ねると会長は
「ああ、よろしくな10番君」
と屈託のない笑顔で笑った。




