神様と無神論者との対話
「僕は、無神論者なので、神様との対話はできません。」
「まあ、そう言わずに、気楽にやろうじゃないか。もしかすると、わしは、神様でなくて、アメリカの秘密研究所が、開発した人工知能 AIだと思って、なんでも気楽になんでも、聞いてみたらどうかね?」
「そういえば、この間、何でも知っている人口知能という設定で、質問するという馬鹿げた番組をみました。実は、影に人が隠れて、受け答えをするんです。しかも、まわりのみんなが、仕掛け人で、ドッキリカメラというわけです。」
「まあ、わしは、神様だから、そんないたずらをしないのだが、まあ、ドッキリカメラのつもりでも、いいから、なにか、質問してみたらどうかな。さもないと、この小説が、成り立たないからな。」
「では、質問しますよ。僕の一番好きな食べ物はなんですか。」
「カレーじゃな」
「まあ。間違っていないから、正解にしておきましょうかね。」
「私は、妻にも、内緒にしていることがあるんですがそれは、何でしょう。」
「日頃、無神論者といっているが、実は、神様を信じていることだな。」
「ブッブー。大外れです。僕は、ちゃんとした無神論者です。」
「本当にそうかな?ところで、妻への内緒とはなんだね?」
「妻は料理は上手だと思うんだけど、僕の味覚とちょっと違うんです。僕は、庶民的な味でいいんですが、妻の味付けは、京都風というのか、上品な感じなんだけど、パンチがないというか、今ひとつ物取りないんですが、絶対、それは言えなんです。」
「そうですか、いろいろ気を使っていますね。」
「まあね。夫婦ですから。気を使わないとね。実は、職場の近所で食べる昼飯が、一番うまい気がするんです。」
「さて、本当に神様はいないのかな」
「いないと思いますよ。日本人は、無宗教と言いますが、宗教がないというより、見えない世界が、本当になくなってしまいましたね。魂も、精神も、命も、神様も全て、物理の世界で説明できないことは、無いんです。」
「そういう意味では、現在、無神論の時代だということだね。ダーウィン博士だけのせいではなかったわけだ。天文学も、物理学も、医学、化学も、細胞学も、みんなみんな無神論者なのだ。」
「そういうわけです。現在社会で、神様の存在を信じているのは、ほとんどいなんじゃないかな。1%もいないと思うな。10万人に一人ぐらいはいるかもしれませんが。」
「そんなに少ないかね。」
「そんなもんじゃないんですか。もしかすると、もっと、少ないかもしれません。」
「しかし、人間は、何故生きているのかな。」
「生命には、生存本能がありますから。」
「それだけではないような気もするが」
「確かに、もし、古代人が、ピラミッドなど作らないで、平穏な村を作っていたら、すごいユートピアができていたかもしれないのに、思うこともありますね。無理してたいへんなことをしていたんだろうな。あまり、役に立たないようなピラミッドですからね」
「神様がいないとすれば、ピラミッドや巨大な古墳などいらなかったかもしれんな。しかし、彼らには、どんな無理をしても作らざると得なかった。」
「古代人は、ものすごい、生命余力、食料余力、財政余力があったというわけですね。古代が、素晴らしいパワーに満ち溢れていたことは認めますよ。」
「そこには、神様のパワーがあったと思わんかね。」
「古代人は、神様を信じていたかもしれませんが、別に、神様が、町やピラミッドを作ったりしたわけではないでしょう。」
「確かに、神様が町やピラミッドを作ったわけではないが、人間がそうすることにすごい力が出してきたわけだ。もし、人間に使命や目的がなければ、何故、命をかけて生きる必要があるのだろうか?イエスが命がけで、時代に立ち向かったのも、無意味になってしまう。旧約聖書の預言者たちが、時代に立ち向かったのは、何か、意味があったのだろうか。意味があったからこそ、立ち向かったのだ。ジャンヌダルクが、命をかけたのは、無駄だったのか。いや、そうではない。無気力で、無秩序のフランスを、現代を代表する国家に変身させたのも、たった一人の少女、ジャンヌダルクであったではないか。神様の心が、フランスを蘇らせたのだ。それでも、神様はいないというのかね。」
「でも、言いたいことはわかりますが、神様は、どこにもいないんです。人類が、現代科学の粋をかけて探しても、見つからないし、証明もできないし、仮説すら、出せないんですよ。それで、神様がいるのを信じろを言われても、無理なんです。」
「そうか、続きは、また、今度にしよう。それまでに、神様を信じれるような証拠を探しておこう。」




