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神様と幸福な人との対話

「神様、ビジネスなどで、成功して大金持ちになった人は、神様に祝福された人なんですか。」

「それは、一概には言えないと思うぞ。神様に祝福された人もいるし、そうでもない人もいる。」

「そうなんですか。世界の7人の大金持ちの資産の合計は、人類の半数の35億人の資産の合計より多いという話です。彼らは、神様に祝福された人たちなんですか?」

「それは、どうだろう。そうかもしれんし、そうでもないかもしれん。」

「よくわからないということですね。」

「神様の祝福の基準では、特に、大金持ちであるかは、関係ない。イエス様だって、お釈迦様だって、別に大金持ちになったわけではない。イエス様の場合は、世界の王してあげるというのを、受け入れずに、貧しい、厳しい人生になってしまいました。お釈迦様も、生まれた時に、アシタ仙人に、成長すれば、仏陀になるか、大国王になると予言されたが、結局は、大国王にはならずに、仏陀になってしまいました。」

「神様の祝福をお金持ちは関係ないんですか?」

「神様の祝福と直接関係はないかもしれんが、その人の素質などがあるだろう。魂、数十億年の歴史、過去世の知恵や力が、人生を切り開くことができる。その魂の力ともいえる。それは、その人のエネルギー、知恵なのだ。」

「この人の内的エネルギーなんですね。」

「まあ、そうゆうことだ。人間は生まれてくる時に、自分の人生設計を立ててうまれくる。経営者や政治家になるための設計もあれば、敢て、厳しい人生を選ぶ場合もある。豊かな国に生まれる場合も、貧しい国生まれる場合もある。聖書に書かれたユダヤの歴史は、そのすべてが厳しい時代で、いまもなお、厳しい。その中で唯一、繁栄したと思われるソロモンの時代さえ、預言者によって、批判されているのだ。その栄華すら、野に咲く花にもかなわない、と」

「なかなか、厳しいですね。」

「前にもいったが、わしは、人間本来の生き方をするのを、お前に勧める気はないのだ。イエス様の生き方や、あの弟子達の厳しい生き方を、お前にできるとは思えないし、そうしたいと思っているわけでもあるまい。」

「うーん。たしかに、今の人生を捨てて、そこまで、やる確信はないような気がします。」

「たしかに、お前の人生は、そこそこ楽しい、平和な人生かもしれん。それが、本当に、自分の望んだ人生なのかは、考えてみる必要があるかもしれん。」

「神様の生まれる順番を、奪って、生まれた割りには、頑張っていないと?」

「まあ、そうゆうことだ。」

「聖書に書いてあるヨブ記という奇妙なお話がありますね。」

「そうだな。成功者ヨブが、神様と悪魔の駆け引きの中で、翻弄されてしまうという話だ。」

「なぜ、あの話は、書かれたのか、ご存知ですか。」

「わしは、おとぼけ神様で、クリスチャンでも、聖書学者でも、ないんだが、人生万事塞翁が馬、禍福は糾える縄の如し、ということなのだろう。」

「いいかげんな答えですね。」

「実は、突然の話の展開で、ヨブ記について、よく知らないので、逃げをうったまでじゃ。何かの折りにヨブ記を呼んでおくよ。」

「そうですか、昔、私も読んでみたのですが、あまり、よくわからない話でした。」

「そうか。まあ、幸せの時も、苦しい時も、同じ姿勢で生きるのは難しいということだ。この世界は、エントロピーも満ちている、諸法無情の世界だ。根源的な神様の慈悲と愛に満ちあふれているとはいえ、人間の混乱ゆえに、まだ、ユートピア完成には、長い道のりがかかる。根源的な神様は、慈悲と愛の固まりにして、無限の力を発揮されている。どんなことがあっても、動じることがない。たとえ、悪魔や幻魔が来ようともだ。しかし、人間が肉をもって、この地上に生きて、逆境、貧困、苦しみ、悲しみに出会うと、不動の慈悲や愛を保つことなどできず、簡単に振り回されてしまう。そんなことで、この地球をユートピアにすることなどできない。一人一人の人間が、どんな逆境、貧困、理不尽、苦しみ、悲しみ、悪魔や幻魔に出会っても、不動の慈悲と愛を持てるように、今、様々な経験をしているのだ。」

「それは、とんでもないことですね。いつか、人間は、根源的な神様のように、不動の慈悲と愛の固まりになれるのでしょうか。」

「成れるぞ。しかし、それは、ずーっと、ずーっと先のことだ。そのような不動の慈悲と愛を持てるようになれば、この地球はユートピアになり、新しい未開の星のユートピアを建設に行き、そして、最後には、新たな大宇宙のユートピアの建設に向かうことになるのだ。それは、この地球の時間で考えれば、何百億年、何千億年の先の出来事だ。」

「途方も無い出来事ですね。でも、それって、おとぼけ神様の創作でしょ。世界の誰も、そんなことを言った人はいないとおもいますよ。」

「小説家になろうの世界だ。どんな創作も、自由自在だ。幻魔対戦が登場しても、不思議ではないのだ。しかし、仏教の概念は、実にとんでもない概念だ。何百億年、何千億年といったが、それに以上の長い時間や、それ以上の広い空間、途方も無い価値観や概念に満ちあふれているぞ。もしかすれば、わしの言った戯言も、ちゃんと書いてあるかもしれん。」

「仏教もたくさんのお経がありますし、基本は、古代インド語で書かれたのを、中国語に訳して、それをさらに日本語に訳して、いる訳ですから、たいへんですね。聖書も、古代ギリシャ語で書かれているそうです。そういえば、古代ギリシャ語を勉強して、聖書を一人で訳すということに挑戦している人もいましたね。」

「ことばが、概念をのせる器だ。イエス様や、お釈迦様が言った言葉も、空間の中を伝わり、個人の中に入っていく。うまくその言葉の意味を伝えることもできる場合もあれば、伝わらない場合もある。文字に成ると何度も、反復確認もできるし、時代や空間を超えて伝えることができるが、本来の意味が伝わらない場合もある。」

「そろそろ時間なので、僕、帰ります。」

「そうか、すこし、名残おしいが、仕方あるまい。最後に、一つだけ、伝えておこう。根源的な神様は、自分の分霊として、人間の魂と生み出し、どんな逆境や試練、苦しみ、悲しみ、理不尽、怒りを、ご自分と同じような不動の慈悲と愛を獲得されるまで、共に生きているのだ。もし、本当に、不動な慈悲と愛を獲得できるようになったら、その人間の魂を、根源的な神様の兄弟として、新たな宇宙を創造し、根源的な神様をして、扱ってくださるだろう。」

「それは、途方も無く遠いお話ですね。」

「途方もなく遠いが、仏教では、その途方の無さを、ちゃんと含んで伝えているのだよ。」

「では、神様、さようなら」





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