番外編 子だくさんは犬の手も借りたい。
「双子達、5歳のお誕生日おめでとう!」
公爵家では春を迎えた庭園で、双子達の誕生パーティが開かれていた。公爵家の親族や友人、知人が招かれ、皆で飲食や会話を楽しみながら、公爵家の大事な跡取り達の誕生が祝われている。
公爵夫人は昨年の冬に、第4子となる次女の出産を無事に終え、公爵に寄り添われながら、生後4ヶ月の赤ちゃんを抱いて笑顔で皆に祝われている。
今日は双子達の誕生日でもあったが、次女のお披露目の場でもあった。
「ローラ、双子の誕生日と4人目の誕生おめでとう」
「お姉様方、今日は来て下さってありがとう」
「あなた着実に多産路線を歩んでいるのね?」
「あら?昨年、4人目にして念願の男子を出産したローザ姉様と同じ人数よ?でも妊娠回数は3回だわ」
「クッ!」
「ちょっと!回数が少ない方が偉い訳じゃないわ。むしろ逆よ」
「その通りよね?ローズ!」
「それはどうかしら?ローラは3回で4人産んだって言っているんじゃないの?」
「クッ!ローゼ!」
「まあ、あの姉妹は多産じゃないと分からない会話をしているのね?この国の“多産あるある”なのかしら?」
「…皇太子妃殿下、一応言っておきますけど、我が国の“あるある”ではありませんからね!」
「ハハハッ良いじゃないか。あの姉妹達のお陰で、我が国はプチベビーブームだろ?良いことだ」
「それはありますね。しかも女性も相続ができるようになったから「娘だけでも大丈夫だ」と家門の安心感が広がったのも良かったな」
「逆に男側は冷やりだろ?長男でも優秀な姉妹に家督や相続を奪われかねないだろ」
「そこは、まだまだだよ。嫡男の相続の意識は依然、根強いからな」
「今はそんなお堅い話はしないで、誕生日会を楽しみましょうよ?」
「そうだな。それにしてもあの犬達はエラいな。ちゃんと子供達の相手をしているんだな」
「ああ、確かブランドンの昨年の双子への誕生日プレゼントだったかな?」
「そう。やんちゃな双子の相手に疲れ切った公爵家全員の為に、双子の相手をできるペットをって、確か公爵領の牧場の牧羊犬の子犬を2頭譲り受けたって聞いたよ」
「牧羊犬か。なるほど、それで賢いんだな。疲れ知らずの子羊達にちょうど良いな」
「でも名前が変なのよ」
「名前?」
「そう公爵夫人が2頭とも付けたらしいんだけど、1頭はギャランドゥで、もう1頭はブーメランなの」
「ギャ、ギャラン?」
「ギャランドゥだよ」
「何でそんな名前を?!」
「子犬が来た時、お腹を撫でていたらお腹の毛がギャランドゥだったって…」
「は?それってそういう意味なのか?」
「さあ?」
「じゃあブーメランは…?」
「呼ぶと直ぐに戻って来るらしい」
「ああ、それは普通だな。良かったよ」
公爵邸の広い芝生の広場では公爵家の子供達だけじゃなく、招待されたゲストの子供達も身分関係なく入り乱れて遊んでいる。その中には皇太子夫妻の子供達もいた。
周囲には騎士や乳母などの大人達も周囲の安全に気を配っているが、2頭の犬達がちゃんと子供達の面倒を見ている。
一人で芝生から出そうな子を連れ戻し、飛んで行ったボールを咥えて戻し、芝生の上で転んだ子供を助け起こしている。
おもちゃを取られ、泣き出した子にまで寄り添っている…あ、涙を舐めた!
「ギャランドゥ、凄いな…」
『‥‥‥』
何か違うものが凄いように聞こえるのは気のせいだ!と皆、思う事にした。
番外編は以上です。
読了ありがとうございました。




