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Gestalt 〜魂のカタチ〜  作者: どこぞの暇人
Chapter.1 《記憶》のカタチ
3/9

Ep.3 Encounter

神代暦3525年、秋月65日。

フィル大陸西端、ルドエスト海岸。


エリアスとソラの二人は、海岸の街道を歩いてホーリッドの町を目指していた。


遠くには大きな森と、町の輪郭が薄っすらと見える。


ソラ

「あ!見えてきた!」


彼女は町の輪郭を指差しながら横のエリアスにそう言う。


エリアス

「お、あれがホーリッドの町か。」


ソラ

「何回か行った事あるからね。

早く着きたいなぁ。」


そう言った彼女の足取りが軽くなったように見える。

ソラはエリアスの少し先を歩いていた。


エリアス

「何も無ければ今日中に着けそうな距離だ。」


ソラ

「よかったー。

ちょうどベッドが恋しくなってきてて──」


その時。


どこかから、ガサガサっと音がした。


彼女は足を止める。


ソラ

「っ、な、何…?」


そう呟きながら、音のした方を見る。

そこには、少し大きい草むらがあった。


またそこからガサガサと音が鳴り、草が揺れ動く。


何か居る…?


ソラは恐る恐るその草むらへと近付いてみる。


その中へと彼女は手を伸ばす。


エリアス

「ソラ、何かあった?」


エリアスが前の方にいるソラを見る。

彼女は大きな草むらに近付いていた。


そして、その直後──



その中から、何かの影が飛び出した。


ソラ

「ふぇ!?」


ソラは腕を引き、その影の方を見る。

小さな生物だ。


ソラ

「え、何…」


そこには、小柄なゴブリンが立っていた。


小さな木製の棍棒を持ち、それをソラの方に突きつけている。


ソラ

「魔物…!?」


エリアスもソラの方に駆け寄った。


エリアス

「これは…普通のゴブリンかな。

人を殺す程凶暴って訳でもなさそうだ。


…ここは僕らが引こう。」


エリアスは淡々とした口調でそう話す。


ソラ

「うん、分かった…」


ソラは腰を上げ、ゆっくりと立ち上がる。

そして後ずさりしようと少し足を後ろに引く。


しかし──


その動きを見たゴブリンは、直後には大声で威嚇しながら襲い掛かってきた。


エリアス

「…ッ!!」


エリアスは咄嗟にソラの手を引き、彼女に向けて振り下ろされた棍棒を避けさせる。


ソラ

「え…あ…ありがとう…」


呆気にとられた表情で彼女は話す。


エリアス

「大丈夫。

…にしても、攻撃してこないなんて言っちゃってごめん。

僕のせいだ。」


ソラ

「ううん、大丈夫。


でも、急に襲い掛かってきた…

怖いよ、」


エリアス

「少しずつ引こうとしたのがいけなかったか…

…それに、まずい事になった。」


エリアスは辺りを見回す。

ソラも同じように周りを見回すと、既に辺りには他のゴブリン達が集まってきている。


ソラ

「エリアスさん、どうするの…?」


エリアス

「…逃げるか。」


ソラ

「でももう逃げ場も無いよ…!?」


そう話している間にも、ゴブリン達は少しずつ距離を詰めて来ている。

一気に飛び掛かられたら無事ではないだろう。


エリアス

「ソラ、冒険者をやるのに一番必要な精神って何だと思う?」


ソラ

「え…?」


突然そう問われ、困惑するソラの腕を彼は掴む。


エリアス

「正解は、"勝てなさそうだったらすぐ逃げる"っていう意識だよ。」


そう言った直後、彼は全速力で駆け出した。


ソラ

「え…

えぇぇーーっ!?!?」


エリアスに引っ張られ、かなりの速度でゴブリン達の包囲を駆け抜けていく。

途中何度か転びそうになりながらも、数体程のゴブリンを追い抜き、距離を離す。


辺りに他のゴブリンが居ない事を確認すると、近くの岩陰に飛び込む。

どうやら追跡を振り切る事に成功したようだ。


ソラ

「はぁ…はぁ…

逃げ…られた…?」


ソラは完全に息を切らしている。


エリアス

「大丈夫大丈夫!

あいつらもここまで速くは走れないし。」


ソラ

「えぇ…

疲れてないの…?」


疲労と困惑が混ざったような口調で、彼女はエリアスにそう問う。


エリアス

「まぁね。

冒険者たる者、これくらいの逃走術は学んでおかないと。」


胸を張ってエリアスはそう答えた。


ソラ

「逃走術って…逃げるだけじゃんそれ…」


苦笑しながらもソラはエリアスにそう話した。


太陽は平原の地平線に傾き、海の向こうから月が顔を覗かせている。


ソラ

「気付いたらもう夜かぁ、」


エリアス

「ちょうどいい。

今日はここの岩陰で野宿しようか。」


彼は荷物を置くと、焚き火の準備を始める。


ソラ

「分かった!」


そうして、二人は野宿の準備を始めるのだった。

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― 新着の感想 ―
楽しく読ませていただきました! 魔物が出てきてどう戦うのか…と思った瞬間まさかの逃げるという… 確かに生き残りに大切な知恵ですね笑 執筆これからも頑張ってください
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