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44.ミツメウルフ






 とりあえずミツメウルフの上から離脱。

 あのままだと確実に振るい落とされるし、そこで気を失うのは勘弁。

防御(バリア)80%」

 防御を強化。

 ちなみに、100%にすると球の中に入れられている感じがする。つまり移動手段が転がるしかない。さすがに戦闘でそんなふざけたことはしないに限る。


 冒険者や魔物には、例の如くランクが決められている。

 弱い方からF、E、D、C、B、A、Sといった感じ。まあ当たり前ですね。

 で、私が初めて狩った魔物はDランク。対して、目の前の赤目のミツメウルフはSランク。

 Sランクの中では弱い方だけど、それでもSランク。あの馬みたいな気持ち悪いやつとは大違いだ。

 まあそれでも空間ごと消して仕舞えばいいんだけど、そんなことをしたらブラックホールが出来てしまう。これは最終手段だ。


 速度を強化して逃げ回りながら、ミツメウルフを鑑定。

 魔法は多少使えそうだ。それがなくても、あの牙と爪は強力な武器になる。

 概要を見るに速度特化型らしい。だからか知らないけど、風属性。

 まあそんな速さでも速度強化した私には追いつかない。フッ、私の魔法(チート)のほうが強いんだよ。


 目の前に鋭い爪が迫る。

 当然のように避けようとするも、向こうのほうが速かった。

 即座に転移で狼の後ろに移動。

 やばすぎる。前言撤回、あの狼は実力を隠している。さっきも、多分今も。

 やろうと思えば、殺せるかは別としてすぐに私に近づけるだろう。

 そうしないのは、弄んでいるからか。


 なるほど、それはありがたい。

 ただ、現状は良いわけではない。

 相手は風属性。風属性同士はお互いの魔法があまり効かない。つまり私と狼は相性が悪い。

 今度は転移で逃げ続ける。

 遠い場所に転移するのもいけるけど、この好機を逃したくない。

 私は防御(バリア)によって死なない、だから実験はし放題。

 避け方も学べるし一石二鳥。


 ということでまずは風の斬撃を試し撃ち。

 当たりはしたけど、効いてはいなさそうだ。

 ミツメウルフの毛皮は厚い。それ一枚でどんな場所にもいけるけど、今はよろしくない。

 風属性にこれは効かないと。


 天啓は使えば一発だけど、ブラックホールを作ってしまうのが難点だ。ブラックホールができたらどうなるのか?世界の終わりです。却下。

 次は魔法。まあ粉砕(ミンチ)とかを使えば余裕だろうけど、今は使わない。

 じゃあ何を使うのか。


 魔法創作は、魔法をなんでも生み出せるのではない。

 この世に存在し、この世界に生きている人間が持っている天啓の能力は使えない。

 ソレイユさんのように脳内会話(テレパシー)が使えないか試してみたけど、無理だった。

 でも、魔法なら別の人が持っていても使えるのだ。

 魔法創作を使えば、他人(ひと)の魔法を使うことができる。

 漫画の悪役ばりのチート能力なのだ。


 そこで注目したのはポーラさんの魔法。

 ポーラさんは破裂魔法とかいうエグい魔法を持っている。

 内側を爆発させてよし、外側から叩きのめしてよしの戦闘スタイルは普通に怖かった。年端もいかない少女が使っているならなおさら。


 話がとんだけど、心臓か脳みそがなくなれば生物は大体生きていけない。

 心臓には魔石がある。魔石はお金になるから、さして使わない脳みそを破裂させよう。

 でも脳みその位置が分からないって?ハハ、透視を使えば一発よ。

 透視は天啓ではなく魔法だったっぽい。

 基準がよく分からないけど、とりあえず使えるならいい。


「透視」

 三つの目玉の奥に、脳みそらしきものを発見。

「破裂」

 その脳みそを破裂させるイメージ。

 音は聞こえなかったけど、透視で見ていた私はわかる。

 脳みそを破裂させるのはいけたけど、いかんせんグロかった。

 破裂した衝撃で頭骨が割れて、顔に当たる部分が悲惨なことになった。


 透視を解除して、倒れた狼に近づく。

 いやはや、ちゃんと危なかった。

 転移の先が気配とかで分かるのだろうか、転移した先に狼がいるとかが増え始めた。

 防御していたので傷一つないけど、もちろん攻撃も喰らった。

 そこで傷がつかなかったのをおかしいと思ったのか、そこからは遠距離から魔法を撃ってこようとした。

 風で爪の斬撃みたいなものを飛ばしてきたり。

 その攻撃は結構鋭く、防御が消えかけた時は驚いた。

 どうやらこの防御、とんでもなく強いんだけど槍みたいな鋭いもので突かれたら消えかけるらしい。


 まあ槍とか矢とかに気をつける程度なら変わらないので良しとする。


 何はともあれ、Sランクの魔物を倒したのだ。

 早く帰って自慢したい。







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