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息子からの言葉
次の日にドアの鍵を増やした。
それでも母の調子の良い時は難なく解錠し
またボケが酷い時は扉を開けろとせがむ声に
息子が観念し徘徊を繰り返した。
その日から最低、週に二回は母を迎えに
西警察へと出向いた。
体力に余裕がある時は30分歩いて
警察署に出向きそこからタクシーで
一緒に帰った。
だがやはり店に8時20分には
入らないとダメだし家事もあるので
ほとんどタクシーでの往復を余儀なくされた。
僕ら親子はすっかり西警察では
お馴染みの顔となり日に日に
目の下のくまが酷くなる僕を
心配してくれる刑事さんも居た。
ある晩、家に帰ると居間から息子の優希が
出迎えてくれて僕に話し出した。
「お父さん、僕明日からめちゃ勉強するわ
ほんでええ工業高校に入って
早く社会人なってお父さん助けるから」
その言葉は素直に嬉しかったが、
僕は少し栄養ドリンクを飲んだぐらいに
しか考えていなかった。
何故なら息子は遅刻もするし
テストの平均点は30点いかない
落ちこぼれだったからだ。
「ありがとうー期待しとくわ」
と息子に伝えるともうその言葉も
届かないぐらい数時間の深い眠りについた。
結論から書くとその日から息子は猛勉強し
無遅刻無欠席1年で偏差値を18上げ
有名な工業高校に入学した。
僕は一人じゃないんだなと救われた夜だった。




