帰る場所
「叶海!大丈夫だったか!?」
場末が駆け寄ってくる。
「えぇ、なんとか」
とは言ってみたものの、体の方は大丈夫じゃなさそうだ。
足がガタガタ震えていて、死線を潜り抜けた安堵からその場に崩れ落ちる。
「それにしても、斬咲さんってすごいんですね」
「すごいなんてチープな言葉じゃ斬咲を表現するには足らない、斬咲は本部が俺たちに仕事を依頼する理由そのものだ」
それを聞いて、斬咲が絶大な信頼を置かれている事を確信する。
「ところで…さっき斬咲さんも電話してた、本部って何なんですか?」
「なんだ、説明を受けてないのか?国家機関ZBだよ、俺たちが働いてる株式会社ゾンビバスターズは社長が営利目的で立ち上げたその下請けみたいなもんだ」
…恐らく俺の脳が記憶できなかったあの1時間半の説明の中にそういうものがあったのだろう。
「本部から戻って良しとメールが来た、戻るぞ」
斬咲がメールの内容を俺たちに伝える。
「よっし…そんじゃ叶海の初陣突破記念に一杯いくか、当然俺の奢りだ」
その気前のいい言葉に頼るとする。
「それと叶海兄妹は帰る場所もないだろう?まあ恐らく…これから叶海兄妹は本部が管理するマンションに住む事になるだろうな」
そうだ、もう俺には帰る家が無い。
そして親父も…
俺は自分の不甲斐なさを悔いた。
「そんな雑念に潰されるな叶海疾、化け物が全ての原因に他ならない」
斬咲が慰めの言葉をくれる。
ーーああそうだ、あいつらさえいなければ…
あいつらを滅ぼしてやる。もう犠牲者が出ないように。
「その調子だ、奴らを滅するぞ」
俺も斬咲に追い付けるくらいの一人前のゾンビバスターを目指す事に決めた。




