表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする  作者: ざつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/40

第18話:二人の就職活動(後編)

 就職活動も終盤に差し掛かったある日、高遠陽樹は、緊張した面持ちで、最終面接へと向かっていた。


 軌道エレベーターの地上駅までアキを見送りに来た森野悠希は、アキの腕を掴み、真っ直ぐにアキの瞳を見つめた。


「アキくん、頑張ってね!アキくんが頑張った分だけ、たくさんの人の夢が宇宙に届くんだよ!」


 ユウキの言葉は、アキの胸に、温かく、そして力強く響いた。アキは、ユウキの頭を優しく撫で、何も言わずに、ただ頷いた。彼の背中には、ユウキの温かい想いが、しっかりと伝わっていた。






 面接室のドアを開ける。面接官は三人。


 彼らは、アキの大学での専攻や、エレベーターへの想いについて、次々と質問を浴びせてきた。アキは、一つ一つの質問に、真摯に、そして冷静に答えていった。


 そして、面接官の一人が、最後の質問を投げかけた。


「高遠陽樹さん。あなたにとって、軌道エレベーターとは、いったいどのような存在ですか?」


 アキは、一瞬だけ言葉に詰まった。しかし、彼の脳裏に、先ほどユウキが語った言葉が蘇る。


『アキくんが頑張った分だけ、たくさんの人の夢が宇宙に届くんだよ!』


 アキは、顔を上げ、面接官の目を見て、静かに、そして力強く答えた。


「はい。私にとって、軌道エレベーターは…人々の夢を乗せる船です」


 面接官たちは、アキの答えに、驚いたような、しかし、どこか満足げな表情を浮かべた。

















 それから数日後、二人の手元に、企業からの一通のメールが届いた。


 アキは、自分のノートパソコンの画面を、ただじっと見つめていた。ユウキは、アキの隣で、自分のスマートフォンを握りしめていた。


 二人は、緊張と期待で、言葉を交わすことができなかった。


「…アキくん…見ていいかな…?」


 ユウキの声は、震えていた。アキは、静かに頷いた。


 ユウキが、メールを開く。そこには、「内定おめでとうございます」という文字が、輝いていた。ユウキは、信じられない、といった顔で、アキの顔を見つめた。


「アキくん…私…合格したよ…!」


 ユウキは、そう言って、涙を流しながら、アキに抱きついた。


「よかったな、ユウキ」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。そして、アキも、自分のノートパソコンを開く。そこには、ユウキと同じ、「内定おめでとうございます」という文字が、輝いていた。


「アキくんも…!」


 ユウキは、アキの画面を見て、さらに涙を流した。


 二人は、同じ会社で働くという夢が叶い、未来への希望に満ち溢れていた。










 その夜、二人は、初めて付き合った頃に訪れた、あの丘に再びやってきた。


 眼下には、都会の光が広がり、頭上には、満天の星空が広がっている。その真ん中を、軌道エレベーターの光の柱が、夜空に向かって真っすぐに伸びていた。


「ねぇ、アキくん。私たちが働く場所、すごく綺麗だね」


 ユウキは、そう言って、アキの手に自分の手を重ねた。アキは、ユウキの手を強く握り返した。


「ああ。ここから見ると、まるで天国みたいだ」


「…なんか、すごく不思議。今まで遠くから見ていたものが、これからは私たちの『仕事』になるんだもん」


 ユウキは、そう言って、嬉しそうに微笑んだ。


「ああ。でも、俺たちが守ることで、もっと多くの人が、この景色を見られるようになる」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。


「アキくん、いつか…このエレベーターで、宇宙に行こうね」


 ユウキは、そう言って、アキに語りかけた。ユウキは、幼い頃に宇宙へのトラウマを抱えていたが、アキと一緒なら、きっと大丈夫だと思った。


「ああ。約束だ」


 アキは、そう言って、ユウキの手を強く握りしめた。


 二人は、同じ場所から、同じ光を見つめ、それぞれの想いを語り合った。


 この日、二人は初めて、自分たちの未来が軌道エレベーターと強く結びついていることを実感した。



 そして、この日から、二人の新しい物語が、静かに、そして力強く、動き始めたのだった。



ぜひご感想をお寄せください。

また評価とブックマークもしていただけると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
《ダークファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン外伝~断罪のプレリュード :黄金の残光と偽りの誓約〜
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

その他の作品もぜひ!

《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ