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第75話 あんたも大概、神の愛子だろうに

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

 ――星へぶつかる寸前。

 神聖力の塊が、

 まるで意思を持つかのように軌道を変え――

 赤子を、優しく包み込んだ。

 だが――

 次の瞬間。

 〝バチィィィィンッ!!〟

 完全に相反する性質の神聖力が、激しく弾き合った。

 無数の光が弾ける。

 それは雷だった。

 一つや二つじゃない。

 数万――いや、それ以上の稲妻が、空間そのものを裂いた。

 轟音。

 衝撃。

 世界が、軋む。


「だが……」

 重々しく、語られる。

「何とか……間に合った」

 ゆっくりと、息を吐く。

「赤子の、星への激突は――阻止されたのじゃ」

「……割って入った神聖力によって、ですか」

「うむ」

 静かに頷く。

「その赤子がジュリアナ?

 そしてそれを止めた漂っていた神聖力……」

「そうじゃ」

 一拍。

「後に神へと成長する存在――エルフローラ」

 空気が張り詰める。


「ジュリアナは、何処からやったきたのですか?」

「第12宇宙の方角からではあったが、

 正確には分からんかった。」

「又、第12宇宙ですか?」

 嫌な符合。

「確認はした。じゃがな――」

 低く、淡々と告げる。


「どの宇宙の神も、〝知らぬ存ぜぬ〟の一点張りじゃ」

「……隠している?」

「それすらも分からぬ。

 それゆえ、わしの子として育てた」

 静寂。


「……全てが偶然、とは思えませんね」

「思わん方が自然じゃな」

 視線が交差する。

「鍵は……やはり第12宇宙」

 物語の核心が、静かに深まっていく――


 ーーーー


「で、今日はどこに行くんだ?

 冒険者の格好だろ?それは……」

「どうこれ?新しい服よ?」

 エルフィナがくるりと一回転する。

「成長したのか、少しキツくなって……」

「え、どこが?」

 じっと見る。

「……ここか?」

 すっと、胸元に手を伸ばす。

「何?触りたいの?」

 にっこり。

「いいわよ?」

「マジで!?」

「――な訳あるかぁ!!」

「ですよねぇ!!」

 ノータイム全力ツッコミ。


「で、どちらへ?」

「スロリアの迷宮よ。デュラハンの所」

「もう制覇したんだろ?

 聖鎧(せいがい)ゲットしたんじゃなかったか?」

「今回は違うの」

 エルフィナの目が少しだけ真剣になる。

「メアリーの覚醒」

「……は?」

「スロリアでか?」

「そう、あそこはメアリーをーー

 と言うより〝女性勇者を育てる迷宮〟なのよ」

「そうなのか?」

「あそこのコアの性質かも?

 前に、メアリーの首の後ろに、聖紋が浮き出たのよ。

 その聖紋と同じ模様を、あそこの迷宮で発見したの。

 あの時は、隠れて全然出てこなかった魔物だけど。

 デュラハンに聞いたら本来出てくるの順番とか、

 メアリーのレベルアップに最適な気がして……」

「少なくとも聖紋と同じ模様が、偶然あるわけないな……

 メアリーもレベルアップしちまうのか……

 あ~俺もレベルアップ行きて~~」

「お城の仕事、忙しそうだもんね?

 人探しも終わったし、そのうち私も手伝うわね」

「助かる!お前が手伝ってくれたら、

 10倍(はかど)る気がする」


ーーーー


「良い?メアリー」

 迷宮前。

 エルフィナが指示を出す。

「私がいると、全く魔物は出てこないから、

 最下層のデュラハンのところで、

 私は見守っているね」

「嘘?私1人で行くの?うわ、鬼教官……」

「聖獣テッサがいるじゃない。

 それにスカイとチッチが一緒に行ってくれるから……

 でも基本メアリーが1人で戦うのよ?」

「布陣えぐ……怖いもの無し……

 エル姉は最下層に居るのね?」

「ええ、昨日も下見に来たんだけど、

 私が居ると魔物全然出てこなかったから……

 で、これ重要」

 真面目な声。

「あなたの聖紋と同じ模様が全部で7つあるから、

 その部屋の魔物を倒したらそれに手で触れてみて」

「何が起きるの?」

「それぞれ貴方の能力を倍にするんじゃないかって、

 アカシックが言っているわよ」

「凄い、全部できたら私の能力は7倍になるの?」

「ブッブ~。数学の勉強やり直しね?

 1つで2倍でしょ?2の7 乗でしょ?128倍よ?」

「は?????やばくない?」

「やばい!!」

 目がキラッキラ。

「エル姉超えちゃう!?」

「それは無理」

 即答。

「ま、良いとこ、マックスの背中が見える位ね?

 それでも凄いけどね。

 聖紋が有るって事は、神に愛されてるって事だから」

「エル姉、どんだけ強いのよ……

 神の愛子って凄いのね」

(何言ってんだか……

 前世女神の……しかもチート女神に、

 こんだけ愛されてんだから、

 あんたも大概、神の愛子だろうに……)

「「アカシック何か言った?」」

「いえ何も……メアリー様、頑張ってください」

「頑張ってyo~って言って」

「……コホン……頑張って行ってこいyo~!」

「キャ~子供姿可愛い~~!」

「……緊張感どこいった。怪我すんなよ?」

「スカイも可愛く言って?」

「……いや、行けよもう」

「やだ〜!言って〜」

「お……お姉ちゃん怪我しない様に頑張ってね……」

「癒される~~」

「癒されるのは、

 迷宮制覇した後にしてくんない?メアリー?」


ーーーー


「すごーい!お姉ちゃんつよーい!!」

「がんばれがんばれyo~!!」

 完全に応援バフ状態。

 ちびっ子の応援を受け、

 すこぶる調子の良いメアリナが無双する。

 サクサク進み、

 気付けば――あっという間の最下層。


 

「おっつ~メアリー」

 エルフィナが手を振る。

「なんか心なしか輝いて見えるわよ?

 アカシックどう?メアリーのレベルは?」

「……剣技89……」

「高っ」

「魔法……93……」

「は???これもう安心ね」

「安心どころか……」

 アカシックが真顔で言う。

「歴代勇者でも、両方ここまで高い者は存在しません」

「……え、私すごくない?」

「すごいすごい」

 軽い。

「ねえ、最新のエル姉のレベルっていくつなの?」

「さあ?しばらく聞いてなかったわね?

 ここまで来ると、もう流石にほとんど上がらないわよ?

 ね、アカシック?」

「………………」

「ん?どした?アカシック?」

「言っても良いので?」

「うん?」

「剣技155」

「あら?また少し上がってるのね?」

「エル姉の魔力は?」

「……それが……∞となっております……」

「∞?無限大ってどゆ事?」

「さあ?分かりかねます……」

(神をも超えてるって事じゃね?)

 誰も口には出さなかったが、

 その場の全員が――同じことを思っていた。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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