第58話 SSSの冒険者カード
オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。
その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。
神々が道を外れた時――
世界は一人の少女を呼び覚ます。
「ああ……」
空に浮かびながら、エルフィナは目を細める。
「この大陸――本当に結界で覆われてるのね」
視界の端から端まで。
微かに歪む空間。
「大陸全土を結界で囲むってすごく無い?
魔王の魔力って、そんなに膨大なの?」
「それもそうなんですが、
これは魔王の結界魔法ではなく、
魔力を魔道具に通して、
作り出している結界なんです」
アカシックが淡々と答える。
「魔族の魔道具技術は、とても高いのです」
「魔族って……思ってたよりずっと技術寄りなのね」
「まあ……」
少しだけ笑う。
「魔道具無しで結界張ってる、
エルフィナ様の方が、異常ですが」
「破れるかどうか、レピちゃんで試してみるね」
レイピアを構える。
「……それは……やめといた方が良いですよ?」
「無理かな?そこまで強固な結界とは思えないけど?」
「いえ、多分エルフィナ様なら、
簡単に破る事が出来ると思いますが……
それをやってしまったら、
魔族側は〝侵攻〟と認識します」
「……あ」
「今では、魔族は、それ程、
人に敵対心を持っていないですから、
それを壊す様な事は避けた方が……」
「えっ?だって、学園を奇襲してきたのよ?
それって敵対心、持ってるって事なんじゃない?
ま、でも、わざわざケンカ売る必要はないわね……
どこか入れるところないかな?」
〝ツンツンツン〝
「レイピアでこずくのも、やめた方がいいですよ?
防御装置が、反応してしまうかもしれません。
1番近い人族の国……ダートライト国に、隠れた転移門があります。
そこに行き、転移門から魔族領に入りましょう?
ただし、ダートライト国の警備は厳しいですよ」
「そうなんだ?とりあえず行ってみましょ」
軽い。
ーー
「あの辺りが、ダートライトの王都です」
遥か下に広がる巨大都市。
白い城壁。
整然と並ぶ街並み。
エルフィナは、
上空から遥か遠くの陸地を見下ろしていた。
「ああ、あれが王城ね?遠いけど、何となく分かるわ。
まさか王都に、魔族の転移門を作られているなんて……
まるで首に刃物を突きつけられている様よね……
危ない危ない……」
「あの広い公園の木陰当たりに、転移すれば宜しいかと」
「ううん、王都の外の森に行くわ。
そこから入国門で、審査を受けようと思うの」
「なぜわざわざそんな事を?門の警戒は厳しいですよ?
なにせ入ることの出来ない結界に囲まれた、
未踏の地が近いですから、
認識阻害しても……」
「ジャジャ~ン!」
「あっ、SSS級冒険者カード!その手がありましたね」
「ね~ 一回使ってみたかったのよね♡;」
ーーーー
――入国門。
「我が国の国民であれば身分証。
ダートライト国の者でない者は入国許可証を」
「どっちも持ってまっせ~ん♡」
兵士が眉をひそめる。
「ん?国外の者か?
入国許可証を持っていないのなら、王都には入れんぞ?
それよりもどうやってここまで来た?
不法入国なら、拘束させてもらう……」
「は~い♡これで宜しいのですかぁ~?」
「ん?冒険者カード?その年で冒険者とは珍しいな?
しかも女の子なのに?
な、何だと?プラチナカードだと?SSS級?
今、世界中、どこにもSSS級冒険者は、
いない筈じゃないか?
偽のカードだろ!ちょっとこっちに来い!」
「は~い♡どこにでも行きますよ~」
「な、何でそんなに余裕なんだ?
俺たちを舐めているのか?」
「だって、冒険者ギルドに問い合わせて貰えば、
直ぐ分かる事だから」
「確かに……S級以上の冒険者になれば、
その日のうちに、
世界中のギルドに通達が廻るんだったな」
「でしょ?今直ぐに、ギルドに確認して下さいね?」
――数分後。
「いや~、それにしても驚いたな?
じゃなくて……驚きました」
姿勢が一変。
ほぼ直立不動。
「まさか本当だったなんて……
失礼な態度を取ってしまい、申し訳ありませんでした」
深く頭を下げる。
「いえ、お気になさらずに。
こんな小娘に、敬語も不要ですよ」
「そうもいきません。
SSS級の冒険者と言えば、
上級貴族同等の扱いになります。
記録を見て驚きました。
魔法で、魔族1000人を一瞬で葬り去り。
龍神ドラゴンやリッチー等を、
眷属に持ち、神獣まで従え、
神の愛子と呼ばれているお方だとは……
確かに噂では、その様な話を聞いておりましたが、
余りにも荒唐無稽過ぎて、
全く信じておりませんでした。
実在していたとは……
我々で出来る事は、何でも致しますので何なりと……」
「う~ん……特にないかな~ あっ
今日は、ここに泊まろうかと思うの。
どこか良い宿、紹介して下さる?」
「でしたら……
冒険者ギルドの向かいのホテルは如何ですか?
冒険者専用ですから、
SSS級冒険者ともなれば、
最高の待遇を受けられます」
「そうですか。冒険者専用が有るんですね?
では、そこに行ってみます」
「こちらの地図をお持ち下さい。お気を付けて」
「ありがとうございます。あと……」
ふと思い出す。
「何処かで、この国のお金に両替出来ませんか?」
「両替しなくても……
冒険者カードに預金が有れば、
出金した方が宜しいのでは?」
「そっか、魔石の換金とか、魔族の討伐とかで、
それなりにはあるかも?
残高は一度も確認した事ないんですけど……」
「でしたら、ギルドに行けば、
我が国の通貨で、出金出来る筈です。
先ずはギルドに行ってみては如何ですか?」
数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。




