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第56話 メアリナの聖紋

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「アンカーの所で一緒にお風呂に入ったでしょ?

 あの時初めて気づいたんだけど……

 メアリーの身体が温まったら、

 首の後ろ辺りに聖紋が浮き出たのよ?」

「何?聖紋って?」

「神に愛されてるって印らしいわ」

(そりゃそうだろ、

 女神であるあんたが溺愛してるんだから……)

(……ですよね~)


「ほんとに?」

 メアリーが驚く。

「そんなの、見たことないけど……」

「自分では見えないでしょ?首の後ろなんだから」

「でも、侍女に洗ってもらったりするでしょ?

 今まで何も言われた事ないわよ?」

「そうなの?温まらないと、

 出てこないんじゃないかと思ったけど、

 そうでもないのかもね?

 もしかして……あの時初めて出たのかしら?」

(いや、女神のあんたが風呂で触れたからだろ?)

(……ですよね~)


「ねえ」

 じとっとした視線。

「さっきから何、刃物同士でコソコソ話してるのよ?」

「……は、刃物……たまたま剣になってただけだし……

 今はペンダントだし……

 よ~し、見てろ……これでもか~」

「わ……私も~なの〜」

 ――ふわっ。

 光が弾ける。

 現れたのは――

 少し生意気そうな少年と、ちっちゃな女の子。

「やだ、アカシック、あんたも人化出来たの?」

「あんたのそばにいたら、レベルが上がったんだyo~」

「何?そのリズムに乗った話し方?」

「知らね~yo~ 勝手に口から出てきたんだyo~」

「あ、そ?」

「〝あ、そ?〟それで終わりかyo~

 俺の扱い~いっも雑だyo~」

「あ、そ?」

「yo~yo~yo~…………」

「フェードアウトしちゃったわね……

 可愛い男の子の姿なんだから、

 可愛く普通に喋りなさいね」


「で、エル姉?レベルを上げるのに、

 最適な場所の話は、何処に行っちゃったの?」

 メアリナが話を戻す。

「あ~それそれ。今日ね、それと同じ紋を、

 迷宮の最下層で見たのよ」

 エルフィナが少し真面目な顔になる。

「そこまで、魔物に全然出くわさなくて……

 アカシックは、魔物が私の魔力に恐れて、

 隠れてるって言ってたけど、

 流石に1体も出てこないのは不自然で……

 そりゃあ、びびってって言うのもあるでしょうけど……

 それにボスのデュラハンも戦う気なし……

 それでね、この紋……メアリーの聖紋と同じだわ?

 って思って触れてみたの」

 少しだけ間を置く。

「そしたらね、頭の中に声が響いたの」

 〝ここは1000年に1人……

 神に愛されし者の為の迷宮〟

「もしかして……あの迷宮は、

 メアリーを待ってるんじゃないかな〜って思ったのyo~」

「真似すんな……yo~……」

「知らね~yo~ 勝手に口から出てきたんだyo~」


 〝コホンッ……〟

 メルフィナが咳払いをする。

「ホホホ……だから――」

 頭を掻くエルフィナ。

「何かが起きるはずよ。

 〝千年に1人〟の、何かが」

 真剣な目に戻った。

「……行ってみたい」

 迷いのない目。

「行きたい?」

「うん」

 頷く。

「でも――」

 少しだけ厳しく。

「視界を遮っていた霧は晴らしたから、

 行きやすくなったとは思うけど、

 何があるか分からないから、今度私と一緒にね?」

「……分かった」

「ボスのデュラハンにも、また来るって言ってあるしね」

「今すぐにでも行ってみたいけど……」

「s級の魔物だらけらしいから、

 テッサと一緒でも危ないから我慢して。

 テッサに何かあっても嫌でしょ?」

「そっか……分かった」

(それであの時、またねって言ってたんだ……なの)

(テッサにも、結界張れば無敵じゃね~かyo~)

(それやめなさいって言われなかった?なの)

(〝なの〟は良いのかyo~)

(真っ二つにしてあげyo~か?なの)

(…………ごめんなさい……なの)


 ーーーー


「エル姉おはよ~!」

「おはよ、メアリー」

「ねえ、5日も留守にして、どこ行ってたの?

 最後の迷宮?」

「迷宮には行ったけど、

 最後のシドニアじゃないわよ?」

「うん、え~とね~話すと長くなるんだけど……」

「あ、じゃあ今度でいいや」

 あっさり。

「それより――」

「城から伝言。会議に来てほしいって」

「マックスが?」

「うん。エル姉の意見が必要だって」

「……会議かぁ」

 露骨に嫌そうな顔。

「もう会議始まってるみたい。急ぎだって」

「面倒くさい…… 何の会議してるのかしら?」

「さあ?何にも言ってなかったわよ?

 マック兄も、慣れない会議頑張っているんだから、

 行ってあげれなよ」

「……そうよね……」

 小さく息を吐く。


 ーーーー


 〝コンコン〟

「失礼します」

「エルフィー、来てくれたか」

 マックスが手を上げる。

「呼び出して悪かったな。

 魔族の件で、お前の意見を聞きたくて」

「魔族?」

 周囲を見渡す。

「……あ、アルガルド先生」

「久しいのう」

 穏やかな笑み。

「夏の長期休暇も、もう直ぐ終わりじゃな?

 短い間に、エルフィナの大活躍の話は、

 度々聞いておったが、随分と無茶をしておるようで、

 少し心配してたんじゃよ……

 ひと足先に元気なエルフィナの顔が見られて安心したよ」

「ありがとうございます先生。私はこの通り元気です。

 アルガルド先生も参加される会議とは、

 魔族の何を話し合われているのですか?」

「エルフィー、それなんだが……」

 マックスが腕を組む。

「例の学園の事件依頼、

 魔族の侵攻に、どう対処すべきか……

  防衛強化、国境封鎖、軍備増強……

 対策を考える会議が、

 繰り返し行われているんだが……」

「魔族ならもう心配ないですよ?」

「だよな?最近のお前を見てると、

 エルフィー1人でも十分対処出来る気がする上に、

 お前、とんでもない眷属何人も持ったろ?

 聖獣までいるし……

 俺たちだって、お前に引っ張られ、

 ちょっと前なら信じられない位、レベルが上がってるしさ」

 マックスは、少し疲れた顔をしている。

「だから無駄に金かけるより――って話してるんだけど……

 なかなか納得してくれなくてな」

 まっすぐエルフィナを見て……

「だから、お前からも話しをしてもらえないかと思ってな」

「……ああ」

 エルフィナが頷く。

「心配ないっていうのは――」

 静かに、しかしはっきりと。

「〝もう攻めてこないから〟」

 場の空気が、静まりかえる。


「……は?」

 誰かが呟く。

「魔族はもう――」

 エルフィナは、当たり前のように言う。

「攻めて来ないわよ?」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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