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RESISTANCE  作者: Gee-Field
8/9

酒場へ

 シャフターとアルデンヌは、ペピルニアンでの情報収集に苦戦し、いまだ非感情生命体を配下にすることはできていなかった。どこかで街の生命体と出くわすことを願うほどに、街には何一つの出会いもない。

「にしても、不運な世界よね。」

 唐突にシャフターがつぶやく。

 2人は、車のままに居座り、誰かいることを願いながら街を徘徊する。すると、ついにその誰かに出会うことが出来た。

「すいません」

 アルデンヌがすかさず声をかける。

「なんだ?」

 答えたのは人間ではない。ワニだ。感情生命体である。

「この辺に、非感情生命体はいなかったか?」

 アルデンヌが一つ質問を投げかける。

「非感情生命体?あいつらのことか。俺が最後に見たのは十日前だ。東の森にいた気がしたよ」

「東の森?すまない。それって名称とかあるか?」

 アルデンヌとのやり取りは続く。

「確か、マルタニアとかいう場所だっけか。おいらもそこまで覚えてねぇもんで、すまないねぇ」

 ゆったりとした話口調はとても動物とは思えないだろう。しかしこの二人はとうにそれには慣れてしまっている。子供のころから感情生命体と会話してきたので、それが人間だろうとなんであろうと、感情を持つか否かで2分されてきた。特異なステイタスの持ち主であることは、やはり事実である。

「ちょっとワニ朗!あんた、配下いるの?」

 後部座席から顔を出し問い詰めるのはシャフター。

 それをみたワニは驚いた表情を見せた。

「おぉ、これはこれは、赤い髪をお持ちで…なにかされたんでしょうか?」

 シャフターへの急な質問に本人も驚く。

「えっ?髪?…あぁ、これね」

 シャフターは自分の髪に手を当てる。

「生まれつきなのよ。兎に角、配下居るなら私の下につかない?ここの神なんてあほの子でしょう?」

軽い冗談のつもりで誘ったが、ワニは唖然としている。それはシャフターの髪が天然だからか、軽い冗談が軽くなかったのかは不明だった。

「私ですか。配下はおりますよ。4ほどにね。でも、あなた方についていったら危なくはありませぬか?」

「危ないは危ないわね。だって打倒神の集団よ?」

「それでは困ります。わたくしの配下に対して不利益でしょう。」

ワニ側は一歩として譲りそうになくなった。

「なんでよ?じゃあ非感情の子はいないの?配下の配下とかに」

「それをもとめるならマルタニアへとお向かいください。あそこには非感情生命体もたくさん隔離されているはず」

 するとそこにアルデンヌが割り込む。

「じゃあワニさん。この辺にアンタみたいなやつらがいるところはないか?さっき神の一行が居たからそちら側じゃないところに」

「会合かなんかをお求めなのですか?私もそこまで詳しいわけではありませんが、たしか南のほうにある テラフトとという酒場は、毎晩のようににぎわっています。つい最近新しいペルトマチも入荷したんだとか。」

「ペルトマチ?本当に?すごいじゃないその酒場」

 昨日まで酒の職を持ってたシャフターはやたらその辺の知識には詳しくなっていた。ちなみに、ペルトマチとは酒の一種で、この席で4番目に良質なワインとされている。ここペピルニアンだからこそ入荷する貴重な品なのだ。

 その情報を聞いてか、シャフターは俄然テラフトへ行く気満々になってしまった。

「では…ありがとうございました」

 アルデンヌが礼を言ってその場から離れた。

 テラフトまでは車で15分だという。そこまで遠くはないらしい。

「シャフター、お前さん酒場で働いてたからか、酒詳しいのな。でも最近飲めるようになったばっかだろ?」

「それはお互い様でしょう。そっちだって最近飲めますアピールしそうな顔してる。」

「ははっ、どんな顔だよそりゃ」

 駄弁りながら走ること15分、目的のテラフトへ到着する。テラフト周辺にはたくさんの感情生命体が集っていた。



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