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RESISTANCE  作者: Gee-Field
7/9

食い違う意見

 ペピルニアンは、様々な感情生命体が集う場として有名だ。ここには、世界各国の著名な感情生命体が集う。特に、中心街に位置するベルボルト通りはその賑わいに昼夜を問わない。そして、アルデンヌの発言通り、ここには神の一角である派閥もたびたび現れる。町から町へ移動する際の、私営軍隊の強襲などはなく、非常に平和な町である。しかし、内情はすこし事を異にしていた。


 町中へ入るや否や、賑やかな歌声でも聞こえてくるかと思いきや、いたって静かなのである。それも極端に閑散としている。アルデンヌが車をベルボルト通りの近くまで運転するが、そこに感情生命体の気配は一切なかった。

「ねぇ…ホントにこんな街に私たちは賭けていいわけ?」

 シャフターが不安そうにそう呟く。アルデンヌも、何かが可笑しいといった怪訝さが表情からにじみ出ていた。

「たしかにここはベルボルト通りだ…けど…誰もいないみたいだな…」

 移動に時間がかかった分、気落ちは並々ではない。どこかで食事でも、なんて考えはとうに捨て去るべきかもしれない。

「神が来たのか?それとも…」

 アルデンヌがぼそっと口を開く。

「シャフター…あたりの建物をよく見まわしてくれないか?」

 いきなりそのように要求され、シャフターは何様だという顔で、ふてぶてしく見回す。

「どうかしたの?」

「いや…窓は開いていないよなって」

 シャフターの見る限り、どの建物も窓は閉まっていた。

「正解ね、アルデンヌさん。全部閉じてるわ」

 アルデンヌが何を予知してそう考えたのかは、シャフターにはわからなかった。

「ごめんよ…急に指図なんかして…。まぁただ、神が来たとしたら、窓は閉めるんだ。一般的にはね」

 それを聞いたシャフターはますます眉間にしわを寄せた。

「神?神が近くにいるって言いたいの?」

 シャフターは、車の後部座席に座っていたが、食い入るように前部座席に身を乗り出し、アルデンヌに迫った。

「まぁ…多分だけど、神が近い時間内にこのあたりにいたのは違いない。すると、この辺の奴らは神に導かれるようにどこかに集まってんだろう」

 アルデンヌの推測はあまりにも極端に思えた。しかしシャフターは偶然を信じるタイプの人間だ。残念ながら、車内には、否定的な考え方は消え失せていた。

「じゃあ、どこにいるかを探しましょう。運が良ければ、そこでひと騒ぎ起こせるかもしれないわ」

 シャフターの提案も、かなり大胆なものだ。当然アルデンヌは断固拒否の姿勢をとった。

「神の近くで騒ぎを起こす?正気か?シャフター…とりあえず一回頭を冷やせ。間違いなく厄介になる」

 アルデンヌは、シャフターのことを多少は敬ってはいるが、やはりどこかに欠陥を感じずにはいられないようだ。

「なんで止めるのよ?今がチャンスじゃない!すぐそこに、この世界をこの世界たらしめる権化がいるのよ⁈」

声が大きくなってくる。

「いったん落ち着け!神を殺しても意味はない!かえってこっちが終るだけだ!」

 アルデンヌは、グウェントの一員ということで、こういう状況にはだいぶ慣れている。

「神は世襲制なんだ!だからここで奴を討っても君の言う平和にはつながらない!むしろ抜け穴が減るだけだ!」


 神は一人ではない。神というのは今まで1人に対する形容かと思っているかもしれないが、神は複数でも神である。そして、神の枠組みは血縁重視のものもあれば、そうでないものもある。明確には定義されていない。したがって、今ここでシャフターが神の一人を殺しても、また新たな神が即位するだけで、神の支配する世の中には皹一つ入らないのだ。

「分かってくれたかい?シャフター、これは俺たちの命運もかかってる。下手な行動はやめるべきだ…」


 ここにきて、シャフターとアルデンヌにははっきりと方向性が違うという事実が突き付けられた。それは、2人にとっても考えるべき課題だった。

「分かった。今回はあんたのこと信じるわ。そこまで取り乱されても、いい方向には転じないものね」

了承を得たのはシャフターのほうからだった。

 なんにせよ、今の2人だけでは埒が明かないことが分かっている。できるだけ早く、新たな仲間、非感情生命体の獲得に急ぐべきだと確信した。しかし、そんな方法があるのかは依然謎である。非感情生命体の獲得は、グウェントにとっても難儀な話なのだ。アルデンヌは正々堂々と、グウェントを名乗れるほど出世したわけではない。アルデンヌが頼みの綱とはいかないのだ。


 なぜ、これほど非感情生命体の獲得が難しいのか。それは純粋に居ないからだ。非感情生命体は、そのほとんどが神の配下になり洗脳状態になっている。その洗脳を解くのはかなりの時間がいる。野生の非感情生命体は、文明の盛んでない場所に行けば稀に遭遇するが、コミュニケーションが通じないとかなり危険である。すなわち一体でも多く、都合のいい非感情生命体がいるか、そいつらを従えている感情生命を配下につけるのが一番理にかなった方法となる。

 ペピルニアンにきたのはその後者を実現するカギを見つけるためである。感情生命体の代表は人間であるが、別に人間いがの感情生命体でも、非感情生命体を従えている奴はいる。しかし、ほとんどすべての、人間以外の感情生命体は人間の配下にある。例外的に逆のヒエラルキーをとる場合もあるため、人間は感情生命体の一部として考えられている。

 そんなわけで、ペピルニアンに来たのだが、一向にして状況は最低である。



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