第二十話 ふゅき
第二十話 ふゅき
トノサマ「ねぇ、会わない?」
最近、トノサマは突然だ。
いつも唐突に発言する。
何か変なものでも食べたのだろうか…。
/(スラッシュ)「…もう会ってるんだけど……」
トノサマ「そうじゃなくてっ!」
思ったことを言ったら、そうではないと返された。
現実世界で会うということだろうか…。
トノサマ「こっちじゃなくて…、あっちで会いたい…なって」
もじもじしながら、そういう。
この国は広く、狭い。
行こうと思えば行けるだろうが、実際に会うというのは本当の自分を相手に見せるということだ。
普通ならそんなことはしないだろう。
トノサマ「…ダメ?」
…そんな顔を見せられると会うしかないジャマイカ…。
もちろんのこと、現実で会うのは難しい。
今は6月。暑い。
というわけで、夏休みに会うことにした。
これだけ長い間なら、会うことぐらいはできるだろう。
■夏休み■
トノサマ「じゃあ、明日。待ってるから。」
/(スラッシュ)「あぁ。できるだけ早めに行く。」
そう言い残して、ログアウトした。
次の日
俺は起きた後、/(スラッシュ)の姿になるため、マントや仮面をリュックの中に入れた。
紅愛に「しばらくここを離れるからよろしく。携帯はあるから何かあった時はかけて」とだけ言っておいた。
どこに行くの?と聞かれたが、「遠いとこ」と返した。「会いたいんだってさ」と付け加えた。
4時間ぐらいだろうか。電車に乗り、自分の家から約500km先の目的地についた。
先に隠れて/(スラッシュ)の姿になっておいた。
駅から出ると、声をかけられた。
???「あのー、本物の/(スラッシュ)さんですか?」
その質問にYesと答えた。
その子は紅愛より小さい。
ポニーテールで、白い髪だ。
???「あっ、これ…」
文字が書かれた紙を渡された。
その文字は美しく、とても俺では書けないような美しさだった。
紙に書かれた文字は『slash』。
これはお互いが、現実世界で会った時に、本当にそうかを確かめるものである。
向こうはこっちが/(スラッシュ)だとわかっても、俺が向こうをトノサマだとわからないのでは意味がない。
/(スラッシュ)「そっか、君がトノサマか…」
周りは大騒ぎだが、その中でも俺たち二人は町中を歩いて行った。
/(スラッシュ)「え~っと、君の名前は…」
???「楓、です…。」
楓、か…。
二人は公園まで行った。
そこには誰もいなかった。二人だけで話ができる。
/(スラッシュ)「…なんかぁ、ゲーム内の時より会話少ないな」
楓「うぅ…、すいません…」
敬語使わなくていいのになぁ…
楓ってゲーム内と、こっちの時で感じが違うなぁ。
ゲーム内じゃ、シャキシャキやってて、凄いイメージだけど、こっちでは、なんか自分を抑え込んでいるような…。
楓「あの…、皆から言われてるかもしれないです…けど…」
少し間を開けて、こう言われた。
楓「私、あなたのことがふゅきでした!」
…
…へ?
『ふゅき』?




