↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/12

第二十二話:青空のお茶会と、扉の向こうの足音

第二十二話、第2章の完結回です!


鷲宮の陰謀を打ち破り、戻ってきたのはいつもの騒がしい日常。

逃げ回る会長と、始末書を突きつけるリサ、そして笑い合う仲間たち――。


泥だらけで掴み取った平穏なひととき。

そのラスト、生徒会室を凍りつかせる「招かれざる来訪者」とは……!?


最後までどうぞお楽しみください!


澄み切った青空の下、穏やかな日差しが差し込む校庭。

一般生徒たちは普段通り笑い合いながら登校しており、街や学園を脅かした魔力インフラ掌握計画の危機など露ほども感じていない。

「魔法隠匿」の原則に基づき、特務結界での激闘は表向き「他校との合同リーダーシップ研修」での大金星として処理されている。

登校中のタクトとノア。

ノアが手元の端末を操作しながら、裏社会の動向を小声で共有する。

「鷲宮高等学院の首謀者および関与していた評議員は全員拘束、計画されていた魔力吸い上げ施設も完全解体されました。……僕たちの提出したデータが決定打になったようです」

「本当によかった……。一時はどうなるかと思ったけど、街も学校も、ちゃんと守れたんだな」

校舎に入ると、掲示板には「親善交流戦・生徒会チームが歴史的勝利!」という派手な号外が張り出されている。

「うちの生徒会、あの名門相手に勝ったらしいよ」「アイラ会長、やっぱりただ者じゃないな」と盛り上がる一般生徒たち。

誇らしさと気恥ずかしさを覚えつつ、タクトとノアはいつもの生徒会室へと向かう。

生徒会室の前にたどり着いたタクトの手がドアノブにかかる。

部屋の奥からは、すでに聞き慣れた騒がしい怒声と悲鳴が漏れ聞こえており、タクトが苦笑いを浮かべる。

「……うん、今日もいつも通りみたいだ」

タクトとノアが扉を開けると、そこには金ピカの特大トロフィーと、魔導評議会から届いた仰々しい感謝状の額縁。

私はソファーにふんぞり返り、得意満面の笑顔を浮かべている。

「ふふん、見た!? 『未曾有の危機を救った英雄的活躍を讃え』ですって! 桐花生徒会の名が歴史に刻まれたわね!」

そこへ、青筋を立てたリサが無言で歩み寄り、アイラの目の前にあるローテーブルへドサッ!!と分厚い書類の山を叩きつける。

「はい、会長の言う『英雄的活躍』の結果がこちらになります」

「……え、なにこれ? ファンレターの束?」

「特務結界の床石破砕、防護壁の過剰負荷による破損、合宿所演習場の地形改変に伴う『始末書および損害賠償請求書』の山です」

「げぇぇぇっ!? な、なんでよ! 命がけで街を救ったんだからチャラにしてくれたっていいじゃない!!」

私は隙を見て窓から逃走を図ろうとする。

しかし、セナがすかさず背後に回り込んで出口を塞ぎ、セリアがにこやかに睡眠効果入りの紅茶ポットを掲げて牽制する。

「逃がさないよ〜会長。今回はリサ先輩の本気度が違うからね」

「サインを終えるまで、この部屋からは一歩も出られませんよ?」

逃げ場を失った私は、部屋に入ってきたばかりのタクトにすがりつく。

「タクトぉぉ! お前も一緒にカタパルトで跳んだんだから連帯責任よね!? 手伝ってぇぇ!」

「えっ、俺!? 俺はただ足場を作っただけで壊したのは会長の指揮杖の一撃じゃ――!」

「タクト、甘やかしては駄目です。すべて会長の直筆で書かせます」

いつものドタバタ劇に、部屋中が呆れと笑いに包まれる。


ひとしきり暴れて諦めた私は、半泣きで始末書にサインを書き終えてテーブルに突っ伏す。

えんえん……こんなのってないよぉ……

そのタイミングを見計らい、セナが湯気立つ紅茶を配り、セリアが持参した高級焼き菓子の缶を開ける。

芳醇なバターとアールグレイの香りが部屋いっぱいに広がり、トゲトゲしていた空気が一気に和らぐ。

カップを手に、ソファやデスクに腰掛けてそれぞれ思い思いに激闘を振り返る。

「……正直、鷲宮生徒会長の魔力圧を前にした時は、計算上は勝率12%でした」

ノアはポツリと呟く。

「ふふ、でも誰も引かなかったわね。みんなボロボロで、泥だらけで」

「無茶ばかりです。……ですが、あの場にいたのがこの6人でなければ、到底届かない勝利でした」

リサの素直な言葉に、私は顔を上げて嬉しそうに目を細める。

私は温かい紅茶を両手で包み込みながら、全員を見渡す。

「みんな、本当にありがとう。……私さ、この生徒会室が本当に大好きなんだよね」

単に役職としての生徒会ではなく、お互いの弱さを補い合い、背中を預け合える「かけがえのない居場所」。

「俺もです。……ここが、俺たちの帰る場所ですから」

タクトの言葉に、全員が自然と頷き合い、穏やかな笑顔を交わす。

私は満面の笑みでティーカップを掲げる。

「それじゃ! 鷲宮撃破と、平和な日常の帰還を祝して――!」

「「「乾杯!!!」」」

カラン、と陶器の軽やかな音が響き、あたたかな絆が結ばれる。


お茶会が一段落し、アイラが生徒会室の大きな窓を両手で押し開ける。

爽やかな風がカーテンを揺らし、心地よい午後の光が部屋いっぱいに差し込む。

見上げる青空には雲一つなく、街も学園も穏やかな空気に包まれている。

「いろいろあったけど、一件落着! これからもこの生徒会室で、みんなで楽しくやっていこうね!」

振り返った私の満面の笑みに、タクトたちも笑って頷き返す。最高のハッピーエンドの空気だ。


――だが、その平穏な空気を引き裂くように。

静まり返った廊下の奥から、カツン……カツン……と、やけに重く冷たい靴音が近づいてくる。

一般の生徒とも教師とも違う、圧倒的に洗練された足取り。

「……? 誰か来ます。この魔力反応……ただ事じゃありません」

ノアの端末のアラートが突如として激しく明滅し始める。

ドアの隙間から、肌を刺すような極限の威圧感と、アイラのものとよく似ていながら桁違いに研ぎ澄まされた魔力が漏れ出してくる。

生徒会室の温度がスッと下がり、リサやタクトが咄嗟に身構える。

「嘘……でしょ……? なんで、この魔力……アイツがここに……!?」

私の顔から血の気がサーッと引き、珍しく動揺で声が震える。

生徒会室のプレートが掲げられた扉の前。

高級な革靴がピタリと止まり、黒革の手袋をはめた手がドアノブへと伸びる。

扉の向こうから、冷徹で気品に満ちた男の低い声が響く。


「――見苦しい烏合の衆と、くだらないおままごとは終わったか? 連れ戻しに来たぞ、アイラ」


お疲れ様でした〜!!ちょっとだけ長くなりましたが第二章完結です!

やっぱりわちゃわちゃしてる生徒会が一番可愛いんですよ。


さ〜て次は第三章!招かれざる来客とは一体……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。