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襲撃

ナヤは感じていた。

何かがやってくる。

「ナヤ…なんだ?何がくる!」

戦士の長は彼女に尋ねた。

彼女は占った。

「草が倒れる。土が削られる。炎の中に人が倒れる。」


「わかった…」


戦士の長にはそれで十分だった。

戦の準備が始まった。

村々に知らせが走った。

しかし、全ての村が共に戦えるわけではなかった。

すでに侵入者が入り込んでいる村もあった。


「ガカは戦わない…これ以上は仲間を失うだけだ…」

そういって侵入者と共存する村もあった。

そういう村は侵入者の魔術を受け入れることを許した。

そういう村の呪術師は侵入者によって村を追い出されていた。

呪術師達はナヤのいる村を頼った。

そしてマヤラシには幾人かの呪術師が集まっていた。

集まった呪術師は災いを祓う魔術を行う。

ナヤも災いから村を守るため呪術師の一人として祈った。

そして、集まった呪術師達からいろんな術を学んだ。


「この子は我が同胞の希望になるやもしれん…」

最長老の呪術師はそう語った。

呪術師が集まった。

最長老の呪術師が話し始めた。

「我々はこの土地に生まれこの大地の礎となる…ありとあらゆる精霊に生かされてきた。それが今は…その精霊の加護も過去のものとなりつつある。たとえ全てが大地に帰るとしても、精霊に生かされてきた我々とその精霊の力を残さなければならない…」

誰一人口を開く者はいなかった。

「私は魂と精霊を継ぐものを選ぼうと思う…」

今まで一言も口を開くことのない集まった呪術師達。

しかし、この長老の言葉にはみんな長老の顔をみた。

この長老の言葉の意味がここに集まった者にはわかっていたからだ。

「ナヤには話すのか?」

一人の呪術師が声をあげた。

誰もその名前に驚きはしなかった。

「あの子には辛い人生になるかもしれん…」

別の呪術師が呟いた。

「皆の力をあの子に与えてほしい。」

長老の言葉に一人一人頷いた。

長老が小さな器を出した。

すると長老はナイフで指を切った。

血が器に流れる。

そしてその器を右隣の呪術師に渡した。

するとその呪術師も同じことをした。

そして順番に次々と…

そして最後に長老に戻ってきた。

長老は器息を吹きかけると、呪文を唱えた。

そして今度は左隣に回していく。

呪術師達は長老と同じようにして器を回した。


ナヤが台の上で横になっていた。

周りには呪術師達。

彼女には意識がなかった。

長老は器を手にした。

その中には赤黒いものが入ってるのがみえた。

長老はそれを針の先につけると彼女の体に突き立てた。

彼女は微動だにしない。

呪術師達は呪文を唱えていた。

それが一晩続いた。



戦は朝霧の向こうからやってきた。音が響いた。

狼煙があがった。

すでに山に避難していたナヤ達。

離れているところからでも

大地を叩くような音。

遠慮のない音。

いろんな音が聞こえてきていた。

呪術師達は戦の勝利と戦士達の無事を祈った。

ナヤも必死に祈った。

人が倒れた。

叫びが上がる前に、また音が鳴る。

ナヤは必死に大地に触れた。

風を呼び、水を揺らし、精霊に訴えた。

だが――

精霊は答えなかった。

なぜだかはわからなかった。

彼らは鉄を持ち、

遠くから、引き金一つで命を奪う。

祈りは叶わなかった。

ナヤは初めて知る。

この世界には計り知れない力があることを。


彼女の前で、

最後の家が燃えた。

精霊は悲しみ、怒り、逃げ惑った。

だが誰も止められなかった。

倒れた者の傍らで、

ナヤはただ震えていた。

そのとき見た。

侵入者の手の中で、

一本の銃が、静かに煙を上げているのを。

呪文も、儀式もいらない。

願いも、同意も必要ない。

ただ――

引き金を引けば、結果が出る。

その瞬間、

ナヤの中で何かが壊れ、

同時に、別のものが生まれた。

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