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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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楽しい無人島生活

 大地を震わせるような激しい咆哮と地を蹴る足音。巨大な杭でも打ち込まれたのかと錯覚するような爪痕を横目に、思わず乾いた笑い声が出た。


 つい先ほど、森をもう少し開拓して住みやすくしようと思った時に遭遇した中型の魔獣だ。四足の魔獣で、まるでライオンのようにたてがみがある魔獣だった。明らかに素早そうな見た目をしており、体長は十メートル以上ありそうだが、それでも目にも止まらぬ速度で移動する驚異的な魔獣である。


 しかし、新しく作ったアルテの人形とパナメラの魔術の前には敵ではなかった。大きな魔獣の咆哮とその辺の木の幹より太い牙や爪を真っ向から受け止め、アルテの人形が鉄壁のガードを果たす。そこへ、パナメラの強力な火の魔術が追撃を加えた。


 結果、中型の魔獣ですらあっさりと討伐される。ところどころ黒く焼け焦げた魔獣を見て、唖然としながら口を開いた。


「……撃退じゃなくて、討伐だからね。すごいよね」


 そう呟くと、山菜を集めていたティルが頷いて答える。


「はい。お二方ともすごいですねぇ」


 ニコニコと笑顔で返事をしてくれるが、そういうことではない。本当に信じられない戦力なのだ。もしかしたら、小さな国相手なら二人で互角に戦えてしまうかもしれない。


 そんなことを想像して若干引いていると、パナメラが上機嫌な様子で戻ってきた。


「見たか、少年? あれは大物だぞ」


「見ましたよ。信じられません」


「はっはっは! アルテ嬢も素晴らしかった。あの人形は脅威だな」


「い、いえ、私はそんな……」


 上機嫌のパナメラと褒められて照れるアルテ。対照的ながら二人とも嬉しそうだったので良しとしようか。


 苦笑しつつそんなことを考えてから、森を眺める。


「二人の異常な戦力は置いておくとしても、今後も魔獣に襲われるのは嫌ですね。とりあえず、壁を作っておきますか」


「ん?」


 倒れた魔獣の向こう側まで移動して独り言を呟いていると、後方でパナメラが振り返る気配があった。


 後ろから見られているなぁ、と思い、急ぎで作業を済ませてしまうことにする。大きな木が無数にあるので、材料には困らないのだ。さっそく、近くの木から順番に手で触れてウッドブロックへと加工していく。そして、そのままウッドブロックを厚さ十五センチほどの板状にして壁を作っていった。


 少し時間はかかったが、程なくしてログハウスを囲む壁が出来上がった。ウッドブロック製ではあるが、それでも同じ厚さの鉄板以上の硬さはあるはずだ。地面深くにまで柱を幾つも刺しているので、簡単に倒されることはないと思う。


「……よし、こんなものかな」


 そう呟きながら振り向くと、何故か怒ったような顔のパナメラの姿があった。ちなみに、その後ろではティルとアルテが困ったように笑っている。


「……少年。どう考えても少年のほうが異常だと思うがな?」


「え?」


 パナメラの言葉に首を傾げてから、もう一度出来たばかりの壁に目を向けた。


「……そうです?」


「そうだろうとも」


 苦笑しながら聞き返したが、即答で同意されてしまった。そういうことらしい。


「まぁ、平和な生活が送れるなら良しということで」


「……確かに」


 不服そうながら、パナメラも納得したことで倒れた魔獣のもとへ移動する。鹿はティルが泣きながら捌いてくれたが、流石に魔獣の素材を切り分けるのは難しそうだ。


 でも、一応聞いてみる。


「……ティル、この魔獣だけど……あ、やっぱり良いや」


 魔獣を指差しながらティルに質問しようと思ったのだが、ティルが涙目でぷるぷると震えているのを見て諦めた。いや、予想はしていたので問題はないが。


 それからも無人島生活は続き、気が付けば四日目となっていた。まだまだ船は来ないが、トリブートから見えない程度の距離の島を探して回るというのはかなり大変だろう。気長に待つしかない。


 海水を蒸発させれば塩は手に入るし、食材も今のところは問題ない。水のろ過も出来たので、食事が偏りがちになる以外は快適そのものだ。まぁ、お湯の準備が大変なので基本的には冷水だが、シャワーを浴びることも出来ている。


 唯一の問題は、人のいない島だからだろうか。魔獣がものすごく多いことである。なんなら釣りをしようと浜辺にいる時に小型の魔獣が襲い掛かってきたこともある。


 その時は、恐ろしい速さでパナメラが走ってきて僕を突き飛ばし、剣で魔獣の爪を防いでくれたりした。


「あ、ありがとうございます」


 正直、何が起きたのかも分からないくらいだったが、パナメラは冷静に魔獣を弾き飛ばし、火の魔術の追撃で撃退してくれた。小型といっても人と同じくらい大きいのに、パナメラの細腕のどこにそんな力が……。


 色々疑問に思うこともあったが、パナメラが得意げな笑顔で胸を張り、揺れたのを見てどうでも良くなる。


「どうだ? 騎士としても中々だろう?」


「は、はい! す、すごいです!」


 何が、とは言わない。言わない方が良いこともあるのだ。






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