青年はニュースを見た。
つたない物書きの書いた話ですが、よろしくお願いします。
――では、現場の西山リポーター。
はい。こちら現場の西山です。後ろに見えますのが、本日午後2時ごろに起きたバスの爆発事故の現場になります。ご覧の通り、4車線あるサンミラノ通りの2車線を塞ぐような形で、約3時間が経過する今もバスの焼け跡が残っています。今の所、死者が出たという連絡はありませんが、現段階で負傷者は32名。内、63歳の高橋幸男さん、17歳の佐藤ゆかりさんが重体となっています。
建物などへの被害はどうなっていますか。
はい。爆発の衝撃により、周辺の建物の窓ガラスは粉々になっています。近くに有った街灯は倒れ、街路樹は燃えてしまっています。
西山リポーターありがとうございました。いやぁ、実に悲惨な事故になっていますが、現場の様子から察するに死者が出ていないというのは些か不自然に感じるのですがどうなのでしょうか。
そうですねぇ…――
夕方、傾きだした日の差し込む部屋で一人の青年がテレビを眺めていた。まだ蒸し暑い空気を少しでも窓の外に出そうと頑張る扇風機の風に、黒い癖っ毛が揺れる。だらしなく着たジャージの襟元をパタパタさせながら、「へぇ、物騒だなぁ。」と他人事の様に呟いている。部屋はちゃぶ台、小型テレビ、本棚、ベットぐらいしか物のない、住宅街に建つごく普通の一軒家の一室。
コンコンコン、というノックと共に扉が開いた。明るい茶色の短髪に赤い縁の眼鏡をかけた青年が顔を覗かせ、黒髪の青年に声をかける。
「翔、お母さんが夕飯の材料買いに行くけど何がいいかって。」
翔と呼ばれた黒髪の青年はちらと目を向け、すぐにテレビへと視線を戻した。
「バスの事故だって、遼は知ってた?時間的に下手したら巻き込まれてたよね、これ。」
遼と呼ばれた茶髪の青年は、返事が得られなかったことに溜息を吐きつつテレビに目をやる。
「知ってる。確かに、店長が早めに上がっていいって言わなければ巻き込まれてたかもね。九死に一生を得るってやつ?あぁ、でも死者は出てないんだっけ。それより、夕飯。何がいいの?」
何でもいい。という翔の言葉を最後まで聞かないうちに、遼はバタンと音をたて部屋を出ていった。それを見届けると、翔は気怠そうに立ち上がり本棚の分厚い本を手に取りページをめくった。
お読みいただきありがとうございました。次作も鋭意執筆中ですので、そちらも是非。




