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GAMELIZATION ~ゲーマライゼーション~ 世界はゲームに変わり、僕は異世界へ行ける  作者: 二上たいら
第11章 夜明け前から騒がしい

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第704話 首をすげ替える

「なにか怖い会話が聞こえてきたんだが……」


 そう言いながら階段を降りてきたのはセドリックさんとアルブレヒトさんだ。

 二人とも顔色は青白く、目の下のクマが凄い。たぶん寝てなさそう。


「冒険者ギルドに預けていた資産の補償についてです。これって領主の管轄ですよね?」


「いや、冒険者ギルドは国の組織で地方領主にはなんの権限もないらしいぞ。だから補償の話は国としてくれ」


 セドリックさんもなんか聞きかじりくらいの知識であるようだ。


 まあ、確かに冒険者ギルドに領主の力が及ぶなら、エインフィル前伯爵が騎士団で押しつぶす必要はなかったわけだし、冒険者ギルドという組織自体が地方への監視を兼ねているのかもしれない。


「いいんですか? 僕らが証言台に立っても」


 セドリックさんとしては自らが主導して叛乱を企てたエインフィル前伯爵を排除したということにしたいだろうし、そう報告するに違いない。

 だから僕らが国に対して本当のことを話すのは避けてほしいはずだ。


 黙ってて欲しかったら、出すもの出してもらわないと。


「そうやって引き出したら、それは補償じゃなくて恐喝なんだよ。で、額は? わかるのか? その証拠は?」


「そこなんですよね。冒険者ギルド跡地に行って帳簿が残されてないか確認したいんですが、そうするとここの警備が手薄になってしまいます。今日のうちに増援を連れてくる予定ですが、それもどうなるか。そちらはどうなんですか?」


「夜間外出禁止は今日中に取り消す布告を出せる予定だ。各騎士家がどうするのかはまだ反応待ちだな。父の処刑も明日以降だ。今はとにかく衛兵たちの手綱が握れているのかを確認しなければならない」


 ああ、確かに。

 衛兵たちってレベルはそんなでもないけど、数が多いから、彼らがアーリア独立だ! と抗弁すると相手にするのは結構大変なことになる。

 権力というのは武力に支えられているところがあって、その武力がセドリックさんに付いてこないとなると大問題だ。


 領主の懐刀であったアーリア騎士団は壊滅し、一部が逃走しているわけだけど、この逃走した騎士たちってのも厄介だよね。


 頭が悪ければ、自分の家に戻っているだろう。

 そして家を味方につけてセドリックさんに敵対する。

 でもそれは鎮圧されたら家族もろとも処刑される道だ。

 普通は選ばない。


 だけどこういう馬鹿ばっかりだと、数の利によって今度はエインフィル領主セドリックが打ち倒されることになる。

 そうなるとエインフィル領にルリュール王国の軍隊も攻め込んできて、混乱が嵐のように吹き荒れることになるだろう。

 リアーノだってただ指を咥えて見ているだけとはならない。

 必ずなんらかのちょっかいはかけてくる。


 だけど少なくとも衛兵たちが機能していて、町の治安を守ろうとしてくれているのなら、話は別だ。

 混乱は抑えられ、ルリュールやリアーノが直接介入してくることはなく、穏やかに領主の交代が行われる。


「それから金庫だ」


「金庫?」


「エインフィル家の私財を保管してある金庫の鍵が見つからない。父にいくら聞いても『探せ』というだけで、口を割らない。エインフィル家を継ぐための通過儀礼なのだとは思うが、これがさっぱりでな。これが見つからないと使用人に給金を払うこともできない」


 それってそんなに面倒なことかな?

 回復魔法使いを連れて行って痛めつけたらすぐ喋るんじゃない?


「無理にでも口を割らせては?」


「どうしても見つからなかったらそうするかもしれないが、まだだ。エインフィルの家を継ぐ者として自分で見つけなければならない」


 うーん、時間を無駄にして欲しくはないけれど、セドリックさんが鍵の捜索が必要だというのなら無理強いはできない。


 だけどあんまり時間がかかるようなら僕らは損切りして撤収、という手もあるんだよね。

 僕の大目標であるヴィーシャさんの救出は成功したわけだし、アーリアにもう用は無い。


 ただアーリアに残るニーナちゃんのために後始末はしておきたいってだけだよ。


「ところで話は変わりますが、アーリアで違法な薬物を持っている運び屋が検挙されたらどうなりますか?」


「唐突だな。違法な薬物というと大麻や阿片(アヘン)とかか? 種類にもよるだろうが、縛り首が妥当だろう。王国では違法薬物の類いは報告義務がある。町に違法薬物が蔓延すれば、それは周辺に広がっていくから、領主の裁きが甘いと国が乗り出してくるかもしれん。だよな?」


「そうですね。私も詳しくはありませんが、そういうものだと思います」


 と補足したのはアルブレヒトさん。

 うーん、専門家がいないのが辛い。


「法の専門家とか呼べないんですか?」


「アーリアにいたか?」


「法の専門家に覚えはありませんね。地方にいるようなものではないでしょう」


 そういうものなんだ。


 領地においては領主が法で、明文化された法律のようなものはないのかもしれない。

 もちろん王国としてはなんらかの法律が制定されているのだろうけれど、その効力は遠く離れたアーリアには届かない、ということかな。


「なぜ違法薬物の話なのかは問わない。だが俺は違法薬物については厳しく取り締まっていくつもりでいる。使用者、売人、運び屋、いずれの立場でも処刑は免れない」


「なるほど」


 そうなるとニーナちゃんの父親をアーリアに帰すのはかなりリスクが高いな。

 事情を説明して、それでも戻りたいというのなら話は別だけど。

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