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神にデスゲームで皆殺しにしろと迫られたので、誰も殺さないで生き延びることにした。  作者: 火烏陽太郎
水の咆哮

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水の咆哮 第4章-7

皆葉VSメイの戦いは、これで終わりです。

 何が起こっている?

 胸にはぽっかりと穴が開いている。

 抉り出された神霊石は、淡い輝きを放っている。

 身体は動かない。動力源である心臓――神霊石を失ったのだから、それも当然か。


 じゃあ何で、あたしはそうなっている?


 今度こそ、あたしはミナ君にトドメを刺したはず。なのにどうして、こうなっている?

 口から溢れ出ようとしている、あたしの血。抑えようにも、両腕はない。

 あたしは勝てるはずだった。経験も、実力も、勝つ材料は揃っていた。でも、勝利はあたしからこぼれ落ちている。神霊石も、あたしの命も、そして……彼も。


 やがて霧がかかるように、視界が薄れていく。

 最後に目に入ってきたのは、申し訳なさそうに神霊石を持つ、彼の姿だった。



   *   *


 決着が着いたグラウンド。

 校舎の屋上から二人の戦いを見届けていた業紅蓮は、溜め息を吐きながらこぼす。


「なるほど。お嬢さんの予想通りか」

 決着を見届け、紅蓮はつぶやく。

「ええ。予定通りの、兄さんの勝利です」

「……」

「どうしました、麗さん?」

「……最後、何が起きたの?」

「最後とは?」

「あの女が最後に斬りかかろうとした時、皆葉君は体勢を崩していた。だから、どうしてあの結果になっているのか、まったくわからない」

「それは、オレも聞きたいな」

「うん? 二人とも、見えなかったんですか?」

「ああ」「ええ」

「はあ……なら、教えましょう」

 神奈は身振り手振りを交えて説明を始める。


 メイが左手の水刃で斬りかかろうとした瞬間、神霊結晶を持つ皆葉の左腕は先の攻撃を弾いており、防御手段はない――というのが紅蓮と麗の認識。だが、それは誤りだという。


「簡単な話です。水刃が届く前に、蒼刃杖を持つ左腕を切断したんですよ」

 こんな風に、という具合に、神奈は皆葉の動きをトレースした動作を見せる。再生した右手(・・)の手刀を一閃し、さらにメイの右腕にも斬りつける。最後に、心臓――神霊石を貫いて、抉り出した。


「でも、どうしてあの女は防がなかったの?」

「防げなかったんですよ。身体機能があまりにも違いすぎて」

 それこそが、メイの敗因だと神奈は語る。


 ”生命”の神の道化。

 遠距離に対する干渉ができず、基本的には自身の手が届く範囲でしか戦えない、他の属性に劣る属性。

 だが接近戦においては、身体強化によって他の属性を上回る。特に神霊結晶を展開した神の道化は、通常の数倍もの身体強化ができる。それは、メイが行ってきた身体強化の比ではない。故に、


「接近戦を挑むのは愚作」


 何らかの手段で同等以上の身体能力を得るか、単純な接近戦を封じる手立てを用意しない限り、”生命”の神の道化に接近戦をしかけるべきではない。


「意表を突くというのは、悪くはなかったんですけどね。ただ、2回以上はダメです。相手に”接近戦”という選択肢があることを兄さんが認識してしまっては、対応できてしまう。

 たとえ神霊結晶を使ったとしても、策がなければ兄さんに勝てるわけがない」



「……それで、業紅蓮さん。これからの動きは?」

「……このタイミングでか」

「え?」

 唐突な二人のやりとりに、麗は理解が追いつかない。


「ああ、ごめんなさい、麗さん。この人が私たちをここに拘束している、お題目が近づいているということです」

この後は、これまで噂されてきた、危なげな人が出てきます。

まだ先が書けてないので、できたらまた更新します。

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