水の咆哮 第4章-4
皆葉とメイが戦いを繰り広げている最中、彼らを観察する人影があった。
新緑高校の校舎の屋上――そこには円麗、神代神奈、業紅蓮の姿があった。
「――まずは、水無月メイがリードしたか」
双眼鏡で観戦しながら、紅蓮は淡々と呟く。
「少年は油断したか? それとも、意表を突かれて判断を誤ったか? お嬢さんたちはどう思う?」
紅蓮の隣で、双眼鏡を用いず強化した視力で観戦しながら神奈は、面倒そうに応える。
「……おそらく貴方との戦いから、兄さんは遠距離での魔術戦を考えていたんでしょう。それから、貴方の知識をなまじ持っていたために、銃撃で対応しようとしてしまった。
逆にあの女は、単純な接近戦に見せかけて、小細工を使って兄さんの意表を突いた。ようは、あの女の作戦勝ちいったところですね」
淡々と、吐き捨てるように神奈は考察を述べていく。
「なるほど。先日の戦いだと、オレが神霊結晶を具現化してからの格闘戦では、特に魔術は使っていなかった。格闘戦に魔術を併用したのは、今回が初めて――あのお嬢さんなりに工夫したというところか」
「あんたら、やけに落ち着いてるわね。特に神奈ちゃん。愛しの兄さんが危ないってのに、何とも思わないの⁉」
神奈にくってかかる麗。だが神奈は、
「……別に」
「別にって」
「勝つことがわかってるのに、慌てる必要がありますか?」
心の底から、何も感じることがないように、麗に疑問を投げかけた。
「……」
「なるほど。お嬢さんは、少年の勝利を確信していると。だが、なぜだ?」
返す言葉がない麗。代わりに、紅蓮が問いかける。
「見てればわかりますよ。兄さんと戦った貴方なら、理解できると思います」
「うん?」
「初手で決定打を与えられなかった以上、あの女は勝てません――絶対に」




