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水の咆哮 第3章-3

 午前10時10分。

 商業区のモノレール駅内にある駅員室にて、簡易ベッドに横たえる者が1人。

 同室にて繰り広げられているやり取りに聞き耳を立てながら、内心で悪態を吐いている。

(何なのよ、この状況は!)


 円麗は、皆葉にキスされた瞬間、意識を失わせられた。正確には、皆葉の唾液——”生命”によって変化した薬物成分を飲ませられ、数時間は眠っているはずだった。

 しかし、神霊石による”改造”の一環で、外部からの干渉による変化は完全な状態へと戻された。そもそも神霊石による”改造”は概ね終わっており、そのため麗は目覚めたばかりだった。未だに微調整が進行中ではあるものの、活動を停止させて行う程のものではない。

 麗が意識を失ったのは、ほんの数十秒程度。つまり、


(ベタベタベタベタ……いつまで絡み合ってんのよ!)


 麗は、皆葉と神奈のやりとりの、ほぼ一部始終を聞いていた。

 神奈が皆葉に詰め寄り、逆に泣かせられたこと。そして、方向性を変えて皆葉を動かし、もう何分経ったか分からない行為を聞かせられている。

(あの唐変木も、いつまでやってんのよ! 自分で時間がないとか言っときながら、もう5分はキスしてるわよね!? 私には面倒だからさっさと眠らせようとしたみたいだけど、妹モドキにはそんなにやるの!? シスコン!!)

 次から次へと悪態が出てくる。

(はあ……さっさと起き上がって、言ってやれば良かったかしら? でも、あの子も深刻そうなのは分かるし、皆葉君がそうせざるを得ないというのも分かる……ああでも、面白くない!)

 神奈の心が痛烈な叫びを上げているのは、麗にも理解できた。


 日中に彼女と話した際、神奈が歪な心——未成熟な感情の持ち主であることはすぐに理解できた。しかし、その後に何かがあって、彼女は壊れかけてしまっている。

 きっかけは、皆葉と麗の逢瀬を見たからだろう。だが、それまでに何か、彼女のアイデンティティを揺るがす重大なことがあったのだと、麗は推測する。ゆえに、


(あと1分、あと1分だけ待ってやるわ。それで終わらなかったら、絶対に止めてやる!)


 不愉快に思いながら、哀れな少女を案じて、麗は沈黙を守ることにする。

皆葉と神奈が色々やっている横で、良くも悪くも麗は、全部の話を聞いていました。

この後の展開もあるのですが、そろそろ忘れられそうな方に視点を当てたいと思います。

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