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反省してますか?

その時、アオイは部屋に軟禁されていた。


「アオイさま、反省なさって下さいね。護衛騎士や侍女まで巻き込んで・・・クドクド。ゼットさまがついていなければ何人かの首が飛ぶところでしたよ。」


「あー、ハイハイ。わかったわよサリエル。ちょっと抜け出しただけじゃない。」


腕を組んで仁王立ちするサリエルにジロリと睨まれて、ソファに座ったアオイはバツの悪そうな顔をした。


「だいたい、私ひとりくらいいいじゃない。もうとっくに現役引退してるのよ。」


「アオイさま。」


サリエルの口が開くのを見計らってアオイも口を開く。


「「あなた様はこの世の至宝なのです。あなた様の価値はじゅうじゅう承知だと思われますがこの王国では・・・」」


サリエルはアオイの重なる声に口を閉じた。


「何回も聞かされてるからわかってるわよ。でも、私だっていつかはこの世を去るのよ?もうこんな年だし、エレッザにすべてを託したし・・・」


「いえ、アオイさまはまだまだお若いです。」


「中身は立派なばーさんよ。あなたが成人を迎える頃まで若い姿を保っていたのがいけなかったかもしれないわね。とっとと見た目もばーさんになっときゃよかったわ。」


サリエルはアオイの前に(ひざまづ)く。


「酷いお方だ・・・。」


「だーかーらー!あなたを勘違いさせるような姿だったことは反省してる。」


アオイは彼にわかるようにわざと嘆息する。


「おしめを替えたり、おねしょの始末をしたり、私はあなたの母親同然だったのに、どこで間違ったんだか。」


サリエルが土下座のような体勢をとるのを見て、アオイは慌てて両足をソファの上にあげる。


「ぎゃっ。靴にキスするのはナシっていつも言ってるでしょ!汚い!」


「アオイさまは汚くなんかありません。」


その真摯な瞳を見てさらにアオイは嘆息した。


「私には亡くなった(レージ)しかいないから。」


「わかっております。それでも想うことは自由でしょう。」


根負けしたようにサリエルから視線を逸らすアオイ。


「自由だけど、できればあなたには幸せになってもらいたいわ。私以外で支える人が誰かいてくれれば安心できるのにねぇ・・・。」


「アオイさまのご命令とあらば、どのような婚姻でも受け入れますが。」


「それじゃ、ダメだってば。」


アオイは『国王から下されたこの軟禁の"罰"は効果てき面』だと内心で思う。


アオイ自身はどのような場所に閉じ込められても、抜け出す(すべ)を持っている。


魔法を封じようとしても、現在のところはティルディグの術者が何人集まろうとアオイを封じられるものはいないのだ。


ただ、生まれた時から世話をしているサリエルは自分の子供や孫同然で、彼を排除してまでどこかに行こうとは思えないほどの情はある。


孫のゼットやエレッザ(ゼットの妹)だと自分の言うことを聞いてしまうため、サリエルを選定したところがまた小憎たらしい。


一部屋に閉じ込められ、彼の重い(・・)"想い"と反省を促す言葉で、アオイは精神的にダメージを負う。


それをあの王は見越してそういう裁定にしたのだろう。


普段は審議にかけるとか議会がどうのというくせに行動の早いことだ。


これで「実は異世界に抜け出してました」ということがバレれば、王城生活に逆戻りだ。


「あんまりしつこいと警備から外すわよ。」


「どうぞご随意に。それがアオイさまの命令とあらば"自らの命を断て"と言われてもその通りにいたす所存でございます。」


サリエルの態度が硬化してきたのを感じてアオイは「わかった。黙って抜け出したのは反省するから。」と白旗をあげた。


以前、「そこまで言うなら、本当に死んでみせてよ。」と売り言葉に買い言葉で言ったことがあり、サリエルは本当に実行しようとした過去を持つ。


サリエルは(ひざまづ)いた姿勢から、ゆっくり立ち上がって笑みをみせた。







アオイが「反省した。」と言っても軟禁の状態が解ける訳ではない。


3日間は部屋に籠っていなければならない"約束"なのだ。


サリエルは嬉々としてアオイの世話をやいている。


共謀の可能性が残るため、護衛騎士は入口で待機、侍女も部屋の中には入ることはできない。


アオイは本物(・・)の紅茶を飲みながら、書類を流し読みしていた。


もちろんティーカップもティーポットも茶葉も日本で購入したものだ。


「そういえば、調べてくれた?」


『何を』と口にしなくても、サリエルは「その二つ下の書類にございます。」と如才(じょさい)なく答える。


「ありがとう。」


アオイは紅茶のティーカップをサイドテーブルに戻すと、両手でその書類を手に取り開いてみる。




そこには




【冒険者ファンリエッテに関する報告書】




と、書かれていた。





サリエルは重いマザコン状態(爆)


不定期更新宣言しているのに思ったより次回更新が早かった件(汗)

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