表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータス『0』の観測兵 ~クラス転移を離れた少年は、砲火と魔法の異世界で昇進させられる~  作者: ハルキーノ
第三章 ”自己”

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/135

四章二十一話 勇者班の任務票

《辺境者の歌》 四章 二十一節

『厚き票は、名を守るために名を薄くする。』


2374- 王都外縁詰所 佐々木視点


 出発十五分前、荷車はまだ来ていなかった。


 勇者班の六人だけが詰所裏の石敷きに並び、任務票に書かれた荷を待っている。三郷は三度目に門を見た。


「現地で確認するんじゃなかったの」


 桐谷が聞く。


「荷車が来るかどうかは現地じゃ確認できないだろ」


「今、細かいね」


「うるさい」


 三郷は笑わなかった。昨日、任務票の穴を飲み込んだことを気にしているらしい。



 荷車は、出発八分前に来た。


 御者が手綱を引くより先に、山崎が後部の綱を外した。弾薬箱二つ、保存食一箱、簡易結界具。救護包は見えない。


「下だ」


 桐谷が荷台へ腕を入れた。弾薬箱の角に袖が引っかかる。


「幸、右腕使うな」


「左だけじゃ届かない」


 三郷が横から弾薬箱を持ち上げた。佐々木も反対側を支える。箱は任務票の紙より、ずっと素直に重かった。


 一箱目の下に救護包が二つあった。


「五人で二つ?」


 山崎が数え直した。


「治療班は後方待機です」


 御者が言った。


「その後方が分からないから聞いてる」


 三郷の声に角が立った。御者は自分が書いた票ではないのに、肩をすくめた。



 佐々木は詰所へ戻り、任務票と救護包を受付台へ置いた。


「五人で二つです。予備を一つ」


「規定数です」


「では、桐谷の分を別に」


 職員は桐谷の腕を見た。桐谷は袖を下ろして隠した。


「私だけ多いのは嫌」


「嫌でも持て」


「宗助が持つなら」


 話がずれた。佐々木が返事に詰まっている間に、三郷が受付台へ手を置いた。


「予備一つ。俺が持ちます。それでいいですか」


 職員は出発札の時刻を見て、奥の棚から救護包を取った。


「貸与扱いです。未使用なら返却を」


「使わなかったら返します」


 三郷は受け取った包みを自分の荷袋へ押し込んだ。保存食を一つ出さなければ入らず、そのパンを山崎へ投げた。



 出発は三分遅れた。


 荷車が動き出すと、荷台の下で救護包が擦れた。佐々木は一度車輪の横へ屈み、固定紐を締め直した。


「承なら先に気づいたかな」


 山崎が、もらったパンをかじりながら言った。


「今それ言う?」


 三郷が振り返る。


「いや、宗助が気づいたって話」


 佐々木は返さなかった。固定紐を引く指へ、荷車の振動が伝わってくる。


 任務票の備考欄には、救護包優先と追記された。その横へ、出発三分遅延。佐々木宗助確認、と自分で書いた。


――――――――


面白かったら、下記のリンクから評価やレビューをいただけると嬉しいです。

https://kakuyomu.jp/works/822139841314440520/reviews

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ