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破壊者_全ての敵を破壊せし復讐/デストロイヤー_ペネトレイト・ヴェンジェンス  作者: D-delta
第一章 世界の裏と奥底の真実に隠れた憎き仇敵、復讐すべし

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▽5・1 プランヴェル軍・悪魔

 暗い宇宙に漂うプランヴェルの母艦。

 開かれたハッチから内部へと、三人は足を踏み入れた。


「ここ……格納庫のようですが、暗いですね」


 頭部のライトで見える母艦内部。

 鹵獲、改造された『ベースドアーマー』や多脚戦車など大量の兵器が置かれている。


「こんなに兵器が……いつ動き出して襲ってきてもおかしくないですよ、これ」

「お二人共、警戒して行きましょう」


 ここは格納庫。既に敵の懐だ。

 三人は慎重に進む。照らした向こう側に銃口を向けて一歩前へ、また一歩前へと。

 そんな時――


≪タキ・ヨシノリ一等兵。ノア・フォート軍曹。そしてライカゼ・ユリ≫


 暗い艦内に大きく響く、人のものではない声。

 直後、暗い格納庫が照らされてハッチが閉ざされる。


≪ようこそ、私の艦へ≫


 プランヴェルの挨拶。格納庫内に置かれた『ベースドアーマー』から多脚戦車まで一気に動き出して三人を囲み始めた。


「迎撃! 発砲準備!」


 三人は警戒心を最大にして、周りのプランヴェル機に銃口を向ける。


≪そんなに警戒しないでくれたまえ。私は君たちに危害を加えるつもりはない。ただ私は君たちと話しがしたいのだよ≫

「プランヴェル軍とおしゃべり?」


 ユリとノアにとっては初めて聞くプランヴェルの声。


「本当に目的は話をするだけか?」


 ユリもノアもプランヴェルに疑いを持つ。


≪もちろん、私の目的は本当に話し合いだよ≫

「嘘を言うな。お前の望みは俺だ。そうだろう?」

≪フフフ……フハハハハハ! そうだとも! 私の目的はタキ一等兵、貴様だ≫


 そして疑いを通り越してプランヴェルの本心を見透かし、(あば)いた。

 暴かれたとなれば隠すものはなにもなく、プランヴェルは本心で語り始める。


「やはり目的はヨシノリか!」

「なにか都合が良いと思ったら、こういうことですか」


 ユリとノアもプランヴェルの暴かれた本心を見る。

 これでプランヴェルは言葉巧みに三人を懐柔(かいじゅう)することが出来なくなった。


≪もう穏やかに話し合いは出来ないな≫


 懐柔が出来ないのであればと、プランヴェルはやり方を変える。


≪では、そこの二人の命を天秤(てんびん)に掛けよう≫


 周りの『ベースドアーマー』と多脚戦車の矛先がユリとノアに向く。

 懐柔の次は人質作戦だ。


「プランヴェル、お前!」

≪タキ一等兵をこちらに渡せ。そうすれば二人に危害は加えない≫


 言い渡されたプランヴェルの要求。ただヨシノリが欲しいというだけ。


「なるほど。私とノア軍曹が人質という訳ですか。上手くやられましたね」

「ヨシノリ、私のことは気にするな。周りの敵を全部潰して、ユリ少尉と一緒にさっさと脱出しろ」


 プランヴェルに囲まれ、二人に矛先を向けられている状況。


「俺は……」


 確かに周りの敵を殲滅すれば、脱出は出来るかもしれない。


「……プランヴェル、そんなに俺が欲しいのか?」


 しかし四方八方からの攻撃から、ユリとノアが生き残るとは限らない。


「そんなに俺を望むのか?」


 ヨシノリにとって大切な二人の生存が揺らいでいる以上、自らの身一つで確実に二人が生き残れるならと考えを巡らす。


≪もちろん望むとも≫

「だったら今すぐ武器を下ろして、ノア軍曹とユリ少尉の安全を約束しろ」


 その巡らした考えはプランヴェルの望み通りに己の身を差し出すこと。


「まさかヨシノリ、奴のところへ行くのか」

「そんな……ヨシノリ君、ダメです!」

「大丈夫ですよ。俺は自分のやるべきことをやり遂げに行くだけですから」


 否定されても決断は変わらない。


「私たちを生き残らせることが、お前の今のやるべきことか?」

「はい、軍曹。もうこれ以上は大切な人が死ぬのを見たくありませんから」

「そうか。それなら……行って来い。ちゃんと戻って来いよ」


 送り出してくれる言葉と帰りを待つ言葉。

 ノアに背中を押され、二人を生き残らせるために一歩前へ出る。


≪フフフ……分かった、二人の安全を約束しよう≫


 そしてプランヴェルは全機揃って武器を下ろした。

 ユリとノアの安全が一応約束された証が出来上がる。


「ヨシノリ君、行かないで!」

「行ってきます」


 ユリの引き留める声を振り切り、ヨシノリは『ベースドアーマー』から降りる。


≪こっちだ、タキ・ヨシノリ≫


 機体から降りれば、プランヴェルの機体たちは道を開く。

 まるで導かれている雰囲気。道の正面には格納庫を出た先の薄暗い通路が見える。

 ヨシノリは導かれるままに開かれた道を進んでいく。


「プランヴェル」


 進めば進むほど格納庫の照明は届かず、周りは暗くなる。


「ようやく来てくれたな。ずっと待っていたよ」


 薄暗い通路から直接聞こえてくる、大人びた少女の肉声。

 そのまま進み続ければ、真っ黒なゴシックロリータの衣服を身に纏う少女の姿が暗闇の中で待っていた。


「また、その顔か」

「あぁ、これが私の本当の顔だからな。今ここで惚れてくれても構わないよ」


 暗闇の中にいるプランヴェル。蝦夷基地で最初に直接会った時と同じ、ユリの生き写しに等しい美少女の顔。


「悪いが、お前をそういう目では見れない」

「私はそういう目で貴様を見ているよ」


 ユリとは違う赤い両目、機体の一つ目と同じ色の目がヨシノリと目を合わせる。


「それで、ここからお前は俺をどうするつもりだ?」

「まずは貴様を二人きりになれる場所へ連れていく。そこで互いの気持ちが溶け合うまで触れ合おう」

「分かった。溶け合おうとして、お前だけが溶け落ちても知らないからな」

「よくも言ってくれる。さぁ、こっちだ」


 プランヴェルの案内が始まる。ヨシノリは案内に従い、所々にしか明かりのない薄暗い艦内を歩いていく。

 その間にユリとノアがいる格納庫から戦闘音は響かない。

 約束は守られている。


「約束は守ってくれているようだな、プランヴェル」

「リスクを背負いたくないだけだ。あの二人を殺せば、貴様は敵になる。そうなると流石の私も苦労しなければならないし、最悪の場合は世界そのものを失う」

「俺が破壊者(デストロイヤー)だからか」

「そういうことだ」


 薄暗くて静かすぎる通路。

 (きし)み、どこかでなにかが動いている音が時おり聞こえてくる以外に音はなく、ヨシノリとプランヴェルの話し声が鮮明に響いた。

 そこからしばらく無言の移動が続く。

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