お金の使い道を考えまして……
「さて、どう使おうかしら?」
城から戻ってきた私は自室に入りお詫び金が入った袋を目の前にして思案を巡らせていた。
「まぁ、やりたい事はあるんだけどね……」
と、扉をノックする音が聞こえた。
「ミーゼルお姉ちゃん、お母さんが食事の準備が出来たって」
「ありがとう、今すぐ行くわ」
私を呼びに来たのはこの家の娘のレーラ、メイドの実の娘で私を実の姉の様に慕ってくれている。
私も妹の様に思っている、実の妹とは関係が悪かったので尚更レーラの事は可愛く思っている。
私はレーラに手を引っ張られながら食卓へ向かった。
食事を終えた後、私はメイドにお城の話をした。
「そうですか、国王様も誠実な方で良かったですね」
「えぇ、実の家族とは結局わかり会えなかったけど見てくれている人がいたのは良かったわ」
「本当に公爵様はどうしてミーゼル様を蔑ろにしていたのか……、理解に苦しみますわ」
「あの人達は自分の事しか考えて無かったのよ、こうなったのは当然の事なのよ」
凄く冷たく思われる、と思うけど愛情をくれなかった人達だ、あの人達については何にも思わない。
「ところでお金はどうするつもりなんですか? お家再興の為に使いますか?」
「実家を再興するつもりは無いわ。私は貴族には戻らないつもり」
貴族の生活が私には合わない事はこの18年間で理解した。
「私ね、ずっと夢見ていた事があったのよ」
「夢、ですか?」
「えぇ、田舎で私の理想郷を作る事よっ!」
「理想郷?」
「そうよ、家から庭まで私の理想の家を作る事が私の夢なの、作る為の技術は持っているし後は軍資金だけだったんだけどそれも解決出来たわ」
「あぁ〜……、私が教えたんですよね」
「えぇ、王太子様と婚約したおかげで諦めていたけど婚約破棄してくれたおかげで叶えるチャンスが出来たわ、そこだけはあの人達に感謝しているわ」
そう言って私はニッコリ笑った。