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影
[学校]
「雅夜、おはよー。」
「咲弥、おはよー。」
「あのさぁ~、俺また変な噂を聞いたんだけど……、聞きたいか?」
「どうせ、まったく役に立たない噂なんだろ?」
「そうだな。今の雅夜にとっては、どうでもいい噂なのかもしれないな……。このことは忘れてくれ。」
「それはどういうことだ?」
「言ったままの意味だが?気になるのか?」
「…………。」
「気にならないなら、どうでもいいだろ?」
「俺に関係していることなのか?」
「あぁ、関係していることだ。」
「……教えてくれ。」
「……いいぞ。教えてやろう。」
「その噂ってのは、どんな噂なんだ?」
「実はな…………里枝美ちゃんを見たっていうやつがいるんだ。」
「それって……まさか!?」
「そのまさかさ。」
「里枝美を見たやつってのは、……篠田君なんだろ?」
「そうだ、篠田だ。」