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<第5話> 旅立ちの時

僕はエリザベスと約束している。明日の午後1時に6番街にある大きなバーの前に行くようにと。




エリザベスのバイクに乗って3番街を抜け出そうとしてる道中僕からエリザベスに話しかける。



「この町とジュウシンにどういう関係が?」



「この町にある建物は他の町と違って土地を政府に支払っていないし道路や電気、水道に全く政府は関与していない。つまりこの町に政府はノータッチってこと」


「ノータッチってことはウラを返せば情報を隠すことができる。カドガウラ進攻の時に倒したジュウシンの残骸を政府が大衆の目の届かないところでこっそり捨てている。それをするためにあえて政府はジョウホクを管理してないというのが私の思う仮説なんだが」



「政府がジュウシンを隠すのには何かしら理由がある。だから3番街に向かってジュウシンの痕跡を探ってた。まさかガキがあんなところでうろついているとは思わなかった」



政府にも管理されているNEWSなどでジュウシンの名前が一言もでないのはジュウシンの存在を隠し通すためだったのか。あそこで見た足はジュウシンの物だったのだろうか?でも今はその足も姿、形すら残していない。だがおかしいのがあの時上空にいたのが政府軍のヘリだった、、、



「もしかして!!カドガウラ進攻で倒したジュウシンを政府軍がジョウホクで廃棄してその亡骸を追ってジュウシンが復讐しに来たんだ!!」




「、、、私もそう考えるのが一番妥当だと思う。しかし3番街が爆発してもうジュウシンの手がかりはなくなったことでなんの真実も掴めなくなってしまった。だから確証は得られず真相は闇の中にいったな」



彼女はジュウシンの秘密を探りに来ているのに僕の好奇心のせいですべてを失った。本当に申し訳ないとは思っている。



「ああ、もういいのよ。その代わり優秀な戦士を迎えることができたから」



僕はジュウシンの痕跡を失った分までエリザベスの期待に応えられるような戦士なることを密かに誓った。そうしなければ僕がここにいる意味を失ってしまう。



15分足らずで6番街の自宅の近くに到着した。僕はすんなりとバイクを降りる。



「明日な、、用意しとけよ」



エリザベスと別れを告げて壊れかけた家の扉を開けた。ひびの入った窓から夕陽が差し込んでいて。家の中がとてもいい雰囲気を出している。壊れているのにもそこに美を感じてしまう僕には変な美的センスが根付いているのかもしれない。



自宅は貧乏なのでとくに娯楽と言ったものはない。何もすることが無かったのでTVをつけた。



「速報ですジョウホク3番街で廃棄物の中に凍結されていた新型爆弾が誤作動を起こし大爆発を起こしました。住民は付近に誰もおらず早急な避難が可能だったため住民による死傷者はだれもいませんでした。現在確認できている死者は25名です。そのうち全員軍事関係者だということが分かっています」



NEWSでは巨大生物の情報は一切流れなかった。しかも3番街が青白い光に包まれる映像は出てくることはあるわけがない。政府が3番街の事件を隠蔽しているようにしか思えない。



僕はあきれてTVを消した。気が付けばすっかり夜になっている。エリザベスに準備するように言われていたが僕は新たな場所に持っていきたい荷物なんて特にないので特に荷造りなんてせずにキッチンにあるパンを一切れ食べて4番街で拾った色褪せて上部分が破けてしまっている青色のソファで寝た。






目を覚ますともう朝になっていた。今日は5年前からずっと見ていたあの悪夢を見ることはない。体が勝手に朝の支度をしようと動いていく。やがて外を出てなぜか職場へ向かっていく。




職場に着くと雇い主が僕をみて



「お前大丈夫だったか!!心配したんだぞ3番街の事件に巻き込まれているのかもって」



お前の心配しているのセリフは嘘にしか聞こえない。死んだらその死体を放置する癖に。



「今日でこの仕事辞める。いままでありがとう。」



そう答えると雇い主が真剣な顔で



「もうここには戻ってくるな!お前の前に救世主があらわたんだな!だが救世主がすべて正しいとは限らない。何が正しくて何が間違っているか自分で判断しろ!」


僕はすべての言葉を右から左へ受け流した。こんなところで働いているくそ野郎の言葉信じられるわけがない。周りのやつらは僕の態度に関心を持つわけがない。くそ野郎だから。



僕は下を向きながら職場を後にした。



気が付くと昼の12時を知らせるチャイムが鳴っている。僕は急いで待ち合わせのバーに向かった。エリザベスを1分1秒待たせてはいけない。



バーに到着したのは午後12時30分。早めに到着した。店の入り口の近くに数台バイクが止めてあるのだがその中につやのある黒いバイクはない。



ヴンヴンヴンヴヴヴヴヴンンー!!!



入り口前で一人待っていると右から聞いただけで分かるお金をかけた良いエンジン音が近づいてくるのを感じる。すぐにその正体はエリザベスだということが分かった。入口から道路を眺めていると予想通りあの黒いバイクが。そして僕のほうを向いて



「よっ!」と言ってきた。


早く乗れと手招きで合図してくるものだから僕は急ぎ足でバイクの後部座席に乗る。



「つかまりな。道路に落ちても知らないからな!」


エリザベスはハンドルをひねり交通量の少ない6番街道路を高速で駆け抜ける。6番街はどこまでいっても景色は変わらず何とも言えない微妙な光景が淡々と続くだけ。ごみのほうがきれいに見える。一つ一つのごみに色を持ち遠くから見るとそれぞれのごみが役割を持ちモザイクアートのような一枚がに筆を下ろしたような皮肉にもきれいに見える作品に仕上がる。




そうこう考えているあっという間に6番街を抜けている。その奥には厳重に囲まれた有刺鉄線とフェンスがあった。貧困層と分けるために境界線を作るためにフェンスが作られている。違法労働者や不法侵入を防ぐために有刺鉄線や電流が張られ付近は落書きだらけ、ろくでもないやつが酒に溺れこのあたりでよくある幼稚な遊びを思うがままやっている。だから道路に血や歯が転がっているのは当たり前。どうしようもないやつはどんどん端に追いやられていくのだ。



僕はこの先に出たことがない。だからジョウホクの奥にある景色に胸いっぱいに期待を膨らませていた。



エリザベスはジョウホクハイウェイを抜けるとそこには一面緑に囲まれた田園が無限に広がっている。



「久しぶりだろ!この景色」




今日も文句ひとつもない晴天の日、5年ぶりにみる緑に僕はとても興奮した。ジョウホクとは違ってちゃんと四角に区画された田んぼや畑。ところどころに点在している家はどのジョウホクよりもしっかり作られていて見栄えもとてもいい。草木が香る匂いは新鮮だった。以前はどこにいても腐りかけた臭いやごみから出る臭いに成れてしまっているので脳まで快適にさせてくれるこの匂いが癖になってしまう。ジョウホクはハエやゴキブリが多いがこっちは様々な動物が見れるので少年心をとてもくすぐってくる。




「もう少しで見えてくるぞミカサ!」



そう言うとエリザベスは左斜めの方向を指をさす。そこには僕が今までに見たことない巨大なビルがあちこちに林立する巨大都市である。5年も建物を見てないと技術の向上に驚くことしかできずそれと同時に自分は閉鎖的な世界に閉じこもっていただけだと感じざるおえなかった。




ジョウホクを出て新しく見る景色に大きな喜びと期待を抱いている。

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