表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖かし四方山話 消え去りし者  作者: けせらせら
12/13

12

「ねえ、あなた、さっき何をしたの?」

 マリノは目の前に立つ六花に問いかけた。

「急にどうした?」

「彼女に何かしたでしょ?」

「さあな」

「ごまかさないで」

 六花は諦めたかのようにーー

「ソレから妖かしとして過ごした記憶と感情を封じた。そうすれば人間として死んでいくことが出来る」

「あなたも人の記憶を弄れるの?」

「お前だけの特殊な力だとでも思ったか? こんなものはそう珍しい能力でもない」

「どんな意味があるの?」

「私は妖かしの一族だ。だが、私たち一族も死した後の世界のことは知らない。この娘が向こうの世界に行ったとしても、人間として両親に会えたほうがいいだろう」

「つまりは助けたということね」

「そうか?」

 少し拗ねたようにプイっと横を向いて六花は言う。「助けたつもりはない」

「助けたのよ。あの子は何なの? あなたにとってどんな意味があるの?」

「説明したはずだ。たまたま知り合った妖かしの娘だ」

「違う。本当のことを知りたいの」

「本当のこと? それでは私が何か隠し事をしているかのようだな」

「そうよ。あなた、嘘をついているわね」

「嘘?」

「あなたとあの子、何か関係があるんじゃない?」

「どうしてそう思う?」

「あなた、あの子には障害があって口が効けない言っていたわね。でも、あの子、事件の翌日に家族と一緒にディズニーランドに行くって近所の人に話していたそうよ」

「どこでそんなことを?」

「警察で耳にしたのよ。あの時、あの子が話せなかったのはあなたが何かしたからでしょ? あなたはあの子を庇っている。何か関係があるからじゃないの? 教えて。どんな関係なの?」

「なぜ、そんなことを気にする?」

「知りたいのよ。あなたのような感情を押し殺したような人がどうしてそんなことをしたのかを」

 マリノの真剣な眼差しにーー

「好奇心か。仕方ないな」

 六花は諦めたようにふっと息を吐いてから言った。「それで? 何を知りたいって?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ