↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/5

第1話 壊れた剣が世界を変える?

辺境の小さな村の外れ、苔むした石造りの工房に、ルーチェは黙々と向かい合っていた。

「ええと……今日はどの剣から直すかな……」


手元に広げられたのは、柄が折れ、刃が曲がり、錆びだらけの剣の山。

村人は口を揃えて言う――


「ルーチェ様の工房? もう、使い物にならんって話だよ」


ルーチェは小さく溜息をついた。魔力が全く使えない彼女は、父のような伝説の魔導具職人には程遠い――と、村人たちは思っている。だが、ルーチェ自身は知っていた。自分には「壊れかけの魔導具を、想像以上の力に仕立て上げる技術」があることを。


「……ふふっ、今日も楽しくなりそうね」


そうつぶやくと、ルーチェは古びた剣を取り上げ、指先で刃の欠けを撫でた。すると、まるで剣が「お願い、直して」と囁いているかのような気がした。


まずは錆びだらけの短剣。ルーチェはハンマーを手に取り、叩き、削り、組み合わせる。魔法は使わない。だが、彼女の手にかかると、錆びた刃は光を宿し、握る者の力に応じて形を変える不思議な剣に生まれ変わる。


「よし……これで一丁上がり!」


その瞬間、村の広場から騒がしい声が聞こえた。

「勇者だ! 勇者様がやってくるぞ!」


ルーチェが顔を上げると、村の入口に一人の若い男が、ぼろぼろの鎧で立っていた。剣を構えたその姿は勇ましい……が、どこか頼りなさそうだ。


「えっ、私に何か?」ルーチェが尋ねると、勇者は息を切らしながら答えた。

「その……剣を……貸してくれませんか……?」


ルーチェは首を傾げる。

「えっ、戦うのはあなたでしょ? 私は作るだけなんですけど……」


しかし、勇者は目を輝かせて、泥だらけの剣を差し出す。

ルーチェは一呼吸置き、軽く手を触れるだけでその剣を修復した。錆びた刃は瞬く間に鋭く、輝きを増し、握る者の力に応じて形を変える――まさに伝説級の剣へと変貌した。


「……さあ、どうぞ。気をつけてね」


勇者は驚きと喜びの入り混じった表情で、剣を握りしめた。

「ありがとう……これなら、俺、ドラゴンだって……!」


ルーチェは笑いながら工房に戻る。

「ふふ、結局、私の工房、今日も世界を救っちゃうのね……」


壊れた剣たちが、また一つ、世界を変える力を宿す――そんな、平凡だけどちょっぴり不思議な日常が、ルーチェの小さな工房で静かに始まるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。