第90話 本気の勝負
僕は深くため息吐いてから、浮遊してるサティーニャに向け手を構え詠唱をする。
「水辺一色」
最上位魔法の水魔法を、くるくると浮遊してるサティーニャ嬢へ向けると、瞬く間に辺り一面を覆い尽くし閉じ込めたのに、サティーニャ嬢はなぜかその様子に何もせず、目を輝かせているが僕は気にせず次の詠唱をする。
「水咲切」
さっきまで閉じ込めていた中でふわりと複数の水華が咲き、中にいるサティーニャ嬢へと刃物のように突き刺して行く。
(……これで、さすがに辞めるでしょ)
そう、思った僕がバカだった。
閉じ込められてるサティーニャ嬢へ視線を向けるも、サティーニャ嬢は中からの攻撃全てを「風辺一切」という守りと攻撃の双方をもつ最上位魔法である風魔法で駆使し、楽しそうに戦っていた。
(え?この子、なんでそんな楽しそうなの!?)
僕は慌てて次の攻撃魔法を追加するもそれを攻撃で跳ね返して……を繰り返すうちに、僕の体力が削られて行くのがわかった瞬間、サティーニャ嬢が詠唱を唱えた。
「風斬落!」
バチンっ!と大きな音ともに風がぐるりと僕の魔法を切り刻んでは弾け飛び、辺りがびちゃびちゃになり……僕はそのまま座り込んでしまう。
疲れもあるが、それよりも取得が困難と言われる最上位魔法の応用を何度も使うサティーニャ嬢に僕はただただ心奥が熱くなるのを感じていた。
昔から僕が本気を出すと相手を傷つけてしまう魔法だったせいで、なかなか最上位魔法を発動できずにいたけど……。
「……やば」
思わず漏れてしまった声に僕は慌てて手で覆うと、サティーニャ嬢も息を切らしながら地に足をつけ僕に嬉しそうに言った。
「さすがゼフィール様ですわ!ほぼ互角に戦えてあたくし、ほんっとうに嬉しいですわ!!」
そう、見たことない満面な笑みで伝えるサティーニャ嬢に僕はどこかほっとしてしまう……だから僕はサティーニャ嬢に言う。
「その、僕のことはラヴィアでいいよ」
「……あと、僕もロコって呼ぶからまたやろ?」
「ええ、やりましよう!」
僕が笑って伝えて言うとロコは目をぱちくりさせてからニヤッとして笑ってから僕に手を差し伸べて頷いてくれたのに僕はその手を取ると、ロコは今度は目をきらってさせてからまた僕の手を引いて走り出す。
「次の授業は魔法実技ですわ!急ぎますわよ!」
「ちょっ!?だから話を聞いて……!」
ロコに言うも、ロコは話を聞かず手を引いて走り出してしまうのに僕はどこか敵わないと思ってしまう。
(……まぁ、いいか)
ほころぶ笑みを隠さずロコに連れられながら次の授業へと僕たちは向かった。
★★★★★★
あれから二年の月日が経ち――、ロコとは相棒のような関係になって一緒に居ることも多くなっていた時だった。僕が一人で家に帰省するとロコに言って一人で帰省していた道中……事件は起きた。
「絶対馬車の中から出ないでください!!」
そう、護衛をしてくれてた人たちが大声で僕に行った時……外か慌ただしい音をしていて僕は怖くて思わず耳を塞ぎ丸くなってしまっていた。
(なになに!?怖いよ!!兄上助けて……!!)
僕は震える体にいつもだったら魔法で戦えるのになぜか魔法を使おうとすると使えなくてどうしていいか分からずにいた時、キィ……と馬車の扉が開いた。
「あぁ、めんどうだったわぁ」
そちらに視線を向けるとローブを纏った男らしき人物が僕を見ては馬車の中に上がってきた。その時、ちらりと薄緑色の瞳が見えてはすぐにローブで覆い隠され僕は相手に言う。
「な、なんですか……!?」
「話は後でね、ラヴィア様」
「え……?」
「こっちに来て」
そう、その人物が「こっちに来て」と言った瞬間……僕はくらりと目がくらみそのまま意識を失ってしまった。
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