第15話 地道な努力は報われる
雨が降りしきる森のなかは誰もいない、木々のざわめきだけが森に響く。……そんななか、一人の子供が地面に横たわりか細い声でつぶやいた。
「だれか…、たすけて……」
子供は涙を浮かべながらつぶやくもその声は雨で消えゆく。……果たしてこの子はどうなるだろうか
★★★★★★
───リヴィア様との対談から二週間経った。
私はゼファーと一緒に魔物退治……ではなく、薬草依頼が溜まっていたため、あの大草原で薬草採集を主な依頼とし徐々にランクを上げていた。
冒険者ランクは最強のSランクから初心者のEランクまで。ゼファーはSランクらしく最初はすごく驚いたが今は納得しかない。
今の私は薬草知識のおかげで珍しい薬草など手に入れ、ギルドに換金していたら気づけばCランクまで昇格していた。そして私たちパーティー…ルミナスブルーはBランクからAランクに昇格した。
「クロエさん。薬草採集だけでEからCランクまで上がるなんて、僕初めて見ましたし全部の薬草依頼たった二週間で終わらすなんて。普通じゃ考えられないですよ…笑」
「え、そうなんですか?」
苦笑しながら言うリヒトさんに私は首を傾げながら聞き返すとコクリと頷きながら換金の手続きをしてくれた。
「……はい。今日の依頼料です」
「ありがとうございます」
私は依頼料を受け取り笑顔で挨拶するとリヒトさんも笑顔で『次の依頼も待ってますね』と言ってくれた。……なんか、少しずつ冒険者に馴染めてきたかも。
心が踊るなか、私はゼファーがいる依頼掲示板の元へと向かった。
「終わりましたわ!」
私はゼファーの瞳を笑顔で見ると、目を見開いたあと優しい笑顔でゼファーは私に言った。
「おかえり」
ゼファーはよく私に"おかえり"と言ってくれる。私はそのたびに胸の奥がじんわりと暖まり、なにかが溶ける感覚になってしまう。
私がそんなことを思ってるなんて知らないゼファーは掲示板に貼ってある依頼表を取り、私に見せてきた。
「次の依頼これにしようと思ってるんだけど、クロエは戦闘いけるか?」
ゼファーから依頼表を受け取り内容を確認する。………Cランクの森で魔物が多くなってるため対処して欲しい、と書いてある。魔物との実践はしたことなく少し不安だけど、ゼファーもいるなら大丈夫。私はゼファーに笑顔で告げる。
「実践はしたことないですが、剣と魔法は人並み以上にあるので大丈夫だと思いますわ」
私がそう伝えるとゼファーは不思議そうな表情をした。……私、なにか変なこと言ったかしら?
そんなふうに思っていたらゼファーがギルド受付へと向かい、手続きも全て済ませて来てしまった。少しの罪悪感が私の心に染み付くが首を振り前を向く。……ゼファーがいいって言ってるのだから信じなきゃダメよ
私はゼファーにお礼を言うとゼファーはなぜか私の頭をなでてきた。
「……ゼファー?」
不思議に思った私はゼファーの瞳をじっ─と見つめると、ゼファーは慌てて手を離し顔を手で覆いながら私に言った。
「ごめん、なんでもない」
その時の表情は手で隠れてたため分からなかった。だけど、切なそうな…嬉しそうな。なんとも言えない表情で私を見ていたゼファーになぜか胸が締め付けられた。……なんでこんなにモヤつくのかしら
自分の心と向き合おうとしたけど、依頼は明日からのため今日中に準備をしなきゃ間に合わない。……いずれこの感情がなにかを知りたい
そう思っていた時、ゼファーが覆っていた手を外して笑顔でギルドの扉を開けてくれた。
「早くいこうぜ?じゃなきゃ間に合わないからさ」
……さっきまでのモヤついてた感情がなぜか晴れ、今は早く旅をしたい!という気持ちでいっぱいになってた。私は笑顔でゼファーに言う
「そうですね、行きましょうか」
───朝焼けを背に、私たちは王都から外れにある町まで馬車で向かった。
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