第14話 リヴィアの想い
クロエ嬢とゼファーの対談後。私、リヴィア・ゼフィールは側近のファリオンと共に寝てしまった弟のラヴィアを自室まで運びベッドに寝かせながらラヴィアの髪をさらりとなでる。──落ち着いた表情で寝息を立てるラヴィアに私は心から安堵が湧き目頭が熱くなるのがわかった。
……よかった、本当に…よかった。
涙がとめどなく溢れ出す。今までの不安が全て報われたような気がして、我慢し抑えてた想いが涙となり溢れ出る。
……クロエ嬢。本当に…本当にありがとう。
私はラヴィアの手をぎゅっ─と握ると寝ているはずのラヴィアは優しく握り返してくれた。それだけで私の不安が全て消えたような……そんな気がした
───私は落ち着くまで、しばらく溢れ出る想いと涙に身を任せていた。
そして落ち着いてきた私は目元を拭いラヴィアの手を優しく、でも強く握りしめ言葉をこぼす。
「……生きててくれて、本当にありがとう」
私が零した言葉はラヴィアに届いたのか分からないが、ラヴィアの頬が少し緩んだのが見え私も笑顔になった。
「………リヴィア様。そろそろ執務に戻りましょう」
「……わかってる」
幼馴染で側近のファリオンが私にそう告げ、別れを名残惜しく感じながらも私はラヴィアの自室から出た。その後、私は残ってる仕事を終わらせるため執務室へと向かった。
★★★★★★
───そして全ての仕事を終わらせた頃には、夜がふけていた。私は背もたれに寄りかかり今日の出来事を思い出す。
褒美もなにもいらないというクロエ嬢はラヴィアに対しても優しく、強くもあった。なにより元貴族令嬢だと思えないほど自分の足で立ってるのが雰囲気…いや、笑顔の裏から伝わってきた。
私はアルとの会話を思い出していた。
『クロエっていう公爵令嬢をさ、忙しくなる前まで面倒見てたんだ、その子。出会った時には人生を諦めてたんだよ』
『…………』
私が仕事をしてて聞こえない前提で話し出すアルにため息が出そうになるが堪え、聞こえないフリをしながら聞き耳を立てる。
『……クズ親の元に生まれ放置されてたところ、カラムが一人でいるクロエを見つけたんだ。まぁおかげで希望を見いだせたみたいでよかったって俺は思う。でもさ?不思議なことにカラムがクロエだけにすごく優しかったんだよ!』
『……あのカラム嬢が?』
『そう。珍しいよなぁ』
──その当時は笑っていたアルだったけど、どこか嬉しそうだった。その時の私は珍しいこともあるんだと思っていたが、まさか彼女が冒険者になってたことに驚いた。
……なぜ彼女が冒険者になり、ゼフィール王国に来たのだろう。恐らく彼女は一人で強くならなきゃいけない理由があったのかもしれない
そんなふうに思っていた時───無口で無表情なファリオンが珍しく口を開いた。
「クロエ様。本当に優しい方でしたね、アル様が仰ってた環境で育ったとは到底思えませんでした」
「……私もそう思う。ファリオン、至急アル宛に手紙を書きたいから用意してくれないか?クロエ嬢がなぜこの国にいるのか知りたい」
「わかりました」
その後───私はファリオンからの手紙を受け取り、アル宛に書き出しながらラヴィアのことのお礼も綴った。
「……よし、これで大丈夫。ファリオン、後はお願いね」
「はい」
私はファリオンに任せたあと、最後にもう一度だけラヴィアの自室へと向かった。
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