第96話 アルの過去
最近、データが全部吹っ飛んだせいで書く気が起きなかったため投稿できてなかったですが……少しは気力戻ったため書きました。お待たせして申し訳ないです
ーーこれは俺、アル・スチュワードがまだ成人する数年前の話だ……スチュワード王国の第一王子としてこの世に生を受けた俺は、この貴族社会制度があまり好きではなかった。
「スチュワード様!是非ともこちらはどうでしょう?」
「我が家の名産品のこちらはいかがでしょう?」
「是非とも我が娘を婚約者候補にどうでしょう?」
そんな上っ面な言葉だけが並ぶ貴族社会、嫌悪にも似たような経験を俺が幼い時……まだ側室の息子、ルイが産まれる前の出来事だった。
当時の俺は正室の母に叩き込まれた作法で
上手い笑顔や言葉巧みに切り抜けたが、心は酷く気味が悪いと思うばかりで幼いながらどこかこの世に冷めてしまっていた。
ーー母は昔、俺に言ってた。
「私はね、国王をよく思っていないわ」
「昔から色んな王国をこの身で旅をしていたとき、たまたま訪れたスチュワード王国であの方と出会ったの」
「……それからあの方は急に王宮に私を連れては、作法やら勉学やら教えられ、私の了承もなしに婚姻させられたわ」
「その結果、散々な目に私は遭ったわ」
「だから大事なあなたには、私みたいになってほしくないの」
「……本当に好きな人と結婚しなさい」
「誰がなんと言おうと正室という立場はかわいいあなたのためならこの先も利用する」
「貴族社会で生き抜くには、知恵も偽りも時には大事よ」
「本当に好きな人や大事な人にだけ本音を見せなさい」
そう、寂しそうな……どこか諦めたような顔をして母は笑い、最後は俺に強く笑った母の顔は今でも鮮明に覚えてる。
(……本音、か)
(ふっ、そんな相手どこにいんだよ)
自傷にも似たような感情や言葉が浮び、やがて義弟のルイが産まれてから、自分が自分じゃない気がする感情に蝕まれていた。
★★★★★★
俺は聞いた話でしか知らないがルイの母親はプライド高く権力が全て……などの考えなのか、自分の息子を道具のように扱っているらしく、たまたま別棟に用があった俺は初めてこの目で見た時、顔を顰めてしまいそうになった。
「ルイ、なぜあなたはこのような簡単なことすらできないの?」
「アル様は簡単にできるのよ?」
「わたくしはあなたの為を思って言ってるのよ?」
離れにいる俺ですらも聞こえる声量で言う側妃に俺は義弟であるルイが少し気がかりで、後日ルイの部屋を初めて訪ねるとルイは顔に嫌悪感を隠せず、俺に言った。
「はっ、今更なんだ?兄気取りか?」
「お前のせいで俺は母上に怒られるんだよ」
「お前なんか死ねばいいのになぁ?」
そう笑って、言葉を吐き捨てるように言うルイに俺はいつもの笑みで言った。
「兄気取りなんてしてませんよ?軽々しく死ねなど言うのは立場上、よろしくないかと思いますが?……怒られるのに私には関係ないですよ」
淡々と注意を告げたのに、ルイはその言葉すら聞こうともせず部屋から俺を無理やり追い出し、バタン!と扉を閉めた。
(……はぁ、だから嫌われるんだよ)
俺は心の中で吐き捨てるように言うが、このまま行くとルイが自分で自滅する未来がなんとなく浮かび、どうすべきかと思うが……母からルイや側妃に関わるなと言われてるため、これ以上関わることはできないし、ルイもそれを望んでないのがわかり俺はこれ以降ルイとは関わらなくなった。
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