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捜索

「まあまあ、そう喧嘩しない、いやーそれにしても派手にやってくれたねー。 君が生徒会の一員じゃなかったら速攻退学案件だよ。」


「ジョーカー、どこにいっていたんだ。」


後ろから、ジョーカーがひょいッと出てきた。


「いやー、襲撃者の尻尾がつかめるんじゃないかとこっそりうかがっていたんだが……」


「うかがっていたんだが……出なんだよ。」


うかがっていたんだがの続きを言わないジョーカーに俺は、首をかしげる。


「さっきの君の攻撃でわからんくなった。」


「は?」


「いやーあとちょっとだったんだけどなー、怪物についていた、恐らく怪物を操るための物であろう魔力の糸、その糸に干渉して操っている場所を逆算していたんだが、その糸ごと全部君がふきとばしちゃったんだよ。」


「結局…結局俺のせいかよ~‼」


俺はあまりに残念な真実に肩をがっくり落とす。

そんな俺に悲しい目を向ける茜。

すると、あることに気づいた。


「学園長、そういえば鑑さんはどうしてるんですか。」


「ああ、そういえばどこにいったんだろうな。」


「ここです。」


「うわっ、びっくりしたー、急に後ろに立つのやめてくださいよ、心臓に悪い。」


「きづかない人が悪いよ。」


鑑さんはばっさり切り捨てる。


「そんなことより、結城君のせいでせっかくつかめそうだった尻尾を逃がしてしまったけれども、途中まではたどれたわ、大体の敵の場所は絞り込んだ。」


「うう……」


何やら痛いところを突かれた気がしたが、俺には関係ないな、よし。

「それと、結城君、魔力回路のコントロールはできたのか。」


「あ、はい、できるようになりました。」


「へえ、よかったじゃない、あなたにも数少ない取り柄ができたじゃない。」


ええぇ、なんかこの人口悪くない?

このゴミを見るような目つき………

なんかドキドキしてきた。

これは、恋?


「結城、また気持ちの悪い顔をしてるわよ。」


「何を言っている、俺の表情筋はいたってノーマルだが。」


「じゃあ、あなたの顔はデフォルトで崩壊してるわ。」


「っておい‼ 泣いちゃうよ、泣き叫んじゃうよ?」


「おい、駄犬、私の話はまだ終わってないぞ。 本当に魔力回路のコントロールできるようになったのか?」


鑑さんは、どこからか大量のリンゴを持ち出してきた。


「いいです、もうリンゴはやめて‼」


俺を、リンゴの弾幕が襲う。

いや、普通に考えて、腕は二本しかないよね。

リンゴ同時に二個しかつかめないよね。


「いてててててててててて、あああ痛い‼」


俺は、両手にリンゴをつかんだ状態で体中にリンゴの嵐を受けた。


「そのリンゴで試すのなんなんすか……」

このリンゴの弾幕に、茜も少し引き気味になっていた。


「ふん、どうやら、あなた、本当に魔力回路のコントロールをマスターしたんだな。 当たりながらも少しずつ避けて、重傷を免れたな。 うむ、今のをまともに受けたら全身打撲で死んでいたところだ。」


殺す気だったのか……

この悪魔……


「でだ、結城の感知能力を利用したいと思う。」


「俺の感知能力を利用?」


「そうよ、結城、試しに今どれだけの範囲を感知できる?」


「えっと、離れるほど精度は落ちるけど、ざっと半径二キロメートル程度かな。」


「すごっ。」


茜は、そのあまりの広さに開いた口がふさがらなかった。


「ん、やっぱこれって凄いのか?」


「私なんて、どっちかっていうと苦手だから、半径五メートルが限界よ。 近接戦闘には十分なんだけど遠距離攻撃だったり、何か探し物をするときとかに不便なのよね。」


「私が三十メートルよ。 やはり炎の賢者の力はすごいわね。」


おお、鑑さんまでもが感心している、ということは俺って凄いのか‼


「だが、あんまりうぬぼれるなよ。 命取りになるぞ。」


「うっす…」


「ちなみにジョーカーはどのくらいなんだ。」


「んん? ひ・み・つ。」


気色悪いな。


「まあいい、本題に戻るが、お前のその探知の能力で、索敵をするんだ。 場当たりでな。 その名も“激突・くまなく・サーチング作戦”だ‼」


鑑さんは、ビシィと俺に指をさした。


いや、この人、凄いクールなのに、凄いバカっぽいな。

そんなに怖い人じゃないのかもしれない。


「ということで、今すぐ街に繰り出しなさい‼ ほらっとっとと。」


鑑は結城のお尻を蹴り飛ばして、教室から追い出そうとした。


「痛い痛い、蹴らないでください鑑さん‼ なんか鼻息荒くないですか⁉ やばいよこの人‼」


鑑さん怖い、鑑さん怖い‼ 

大切なことだから二回言いました‼


「こっちはこっちでやっておくことあるから、行ってらっしゃーい。」


ジョーカーはそれをみてニヤニヤと笑みを浮かべるだけだった。


俺と茜は、鑑さんに追い立てられて学園の校門までやってきた。

茜は、自分にも蹴りが来るかもしれないからといって、鑑さんサイドに回ったのだ、ひどいやつめ。


「よし、じゃとっとと探そうぜ、その絞り込んだ地域でどのあたりなんだ。 結局、聞いてなかったな。」


「ん、今受信している~。」


おお、スマートフォンじゃないか。

はぁ、俺も欲しいなスマートフォン。


「ねえ、ちょっとまって~」


俺と茜が受信が完了するのを待っていると、一人の生徒が走ってきた。


「マリアさん……」


マリアさんだ。

さっき俺が倒した怪物に襲われて非難していたはずだ。

ここにきているということは、怪物という驚異が去ったという情報は既に伝わったのだろう。


「あの、はあはあ、ごめんね姿を見て急いで走ってきたもんだから息切れしちゃった。」


「いいよ、ゆっくりで、でもすまないんだがなんか用があるなら、後にしてくれないか、ちょっと行くところができてしまって。」


「あ、あの怪物って結城君が倒してくれたんだよね、私聞いたよ、生徒会の鑑さんに。」


ああ、あの人が伝えてくれたのか。

抜けてそうで抜けてないな。

おっと、こんなこと考えているとまたしばかれそうだな……やめとこう。


「ああ、俺が倒したよ。 頑張ったからね。」


俺は、マッスルポーズに満面の笑みを見せる、一生に一度はやりたかったことが達成された…。


「実は、教室で私が最後まで逃げなかったのは、理由があるの。」


「うん」

「実は、あの教室には私が書いた大事な小説が入ったパソコンあったの。 それを取りに戻って怪物に襲われそうになってたの。」


「うん?」


「で、それでね、結城君が来てくれなかったら、教室がめちゃくちゃにされてしまっていたかもしれないの。 私が、毎日徹夜で作った作品よ。」


「あーうん。」


「完成したら結城君にも読ませてあげるわ。 楽しみにしててね。」


「ところでさ、それバックアップとかとってなかったの?」


「そうなの、非難しているときにバックアップの大切さを身にしみて感じたわ。 今からの家に帰ってさっそくバックアップを取ろうと思うの。」


マリアさんは嬉々としてそれを語る。

対照的に茜はすごく微妙な表情でジト目になっていた。


茜は、結城の肩にそっと手を置いた。

その時、結城と茜の気持ちはシンクロした‼


((いや、教室、爆散しました‼))


「あなたには、感謝の気持ちしかないわ」


教室爆散しました‼


「いままで、あなたに言ったことは取り消さして頂戴。 あなたは本当に実力で生徒会に選ばれた人だわ、私もちゃんと認める。」


教室爆散しました‼


「一時はショックで落ちた背中も復活‼ バックアップだけにね☆」


いや、教室、爆散したんだけどぉ‼

俺は全身に冷や汗をかいた。

きっとこの人は非難した場所から教室に向かう途中で俺に会いに来て、まだ教室には実際にはいってないんだろな。


よし、考えても仕方ないことは、考えない、イエス、ゴーマイウェイ‼


「いってらっしゃーい。」


「い、行ってきます…」


あまりのいたたまれなさにその場に入れなくなった俺たちは、満面の笑みのマリアさんに見送られながらその場を後にした。


「ま、まあ、とりあえず後のことを考えるのはよしましょう今は、先に優先すべきことがあるでしょう。」


「そ、そっすね。」


そうだ、今はほかにするべきことがあるはずだ、そっちを優先しないと。


「えっとね、ここらへんかな。 このあたりから指定の範囲よ。」


「よっし任せろ‼ 感知‼」


俺は、意識を周囲にばらまく感覚で感知の範囲を広げた。

そこで俺はあることに気づく。


「いや、反応多すぎぃぃ‼ 世の中のすべてに魔力が宿っているっていうの忘れてません? そこのゴミ捨て場に集まっているカラスだけでも五個の反応だぞ、二キロメートルの感知でどれだけの魔力が引っかかると思っているんだ。」


俺は、二キロメートルの感知によって感じ取ることのできる生命体の多さに愕然としていた。

やばい、すぐそこにアリの生命体反応がぁ、集合体恐怖症になりそう。


「確か相手の魔力に特定の呪詛を流しこんだらしいわ。」


「呪詛? 何、呪詛って」


「あんた呪詛知らないの? 呪詛は、特定の条件で持続する魔法よ。」


「んで、その呪詛がなんだって。」


「その呪詛は、感知した時に変な感じがするらしいわ。 それをたどれってメールが来てた。」


「変な感じ? なんかテキトーだな。」


「変な感じは、変な感じよ。 一目瞭然だって言ってるは、とやかく言わずにとっとと感知する。」


うわ、やっぱテキトーだな、あの人。

俺は、頭に鑑さんを思い浮かべた。


「一目瞭然ってそれ本当かよ。 まあいいや、やりますよっと。 知覚‼」


俺は、また知覚を広げたわ。


「んあっ」


「どうしたの、何か変なものあった。」


「うん」


俺が近くを広げた先にいたのは……犬のコスプレをしたおっさんだった。


「なんかめっちゃ変なのいるぅ‼」


なんか電柱に俺の常識を超えた何かをしてる‼


「なになに、どんな奴なの⁉」


早く教えろと言わんばかりに茜は俺に聞いてきた。


「な、なんか犬のコスプレをしたおっさんだよ。」


「変態かよ。」


茜は、それを聞いた瞬間それはただの変態であると即座に断定した。


「違うわよ、それはただの変態、変態だけどただの人なの。」


「そうか、見えないっていうのも大事なんだな……」

俺は、世の中見えないからいい事もあるんだっていうことを学んだ。

ああ、これこそ社会経験。


「ほらほら、もう一回、知覚して、知覚して。」


早くしろと茜がうるさいので仕方なく俺はもう一回、知覚をする。


「はぁっ‼ 知覚っ‼」


ああ、見えるぞいろんなものが見える‼

っと何か変なものはないかな。


「ないな何にも。 もういっそここら一体を絨毯爆撃しようぜ。」


「天災かよ。」


もう俺は、だんだん吐き気がしてきた。

こんな数の生命体の反応なんて、見分けられないよ。


「ほんとに? まじめにやってる?」


「やってるよ、ちなみに犬のおっさんが今はだな……」


「その情報はもういいから」


驚くほど冷たい目で見られた。

あれ、なんかドキドキする、これは恋?


「きもい顔もいいから。」


「おい、きもいとかそんな気軽に言うな、多感な年ごろの男の子には響くんだよ。 オギャるぞ、俺、オギャっちゃうよ、いいの、犬のおっさんの仲間入りしちゃうよ。」


「ったく、やかましいな、アレ? うわ、鑑先輩からのメールが百件たまってる。 怖いよ。」


「おい‼ 早く言えよそれを、さっさと確認するんだ、それを‼ それか、海外逃亡だ‼」


「あの人なら、海外まで追ってきかねないわよ。 というか確認、確認」


「何なら今既に、こっちに高速接近してる可能性もあるからな、知覚しとこ。」


茜はケータイ画面を覗き込みながら、メールの内容を確認していた。


「んで、どうなんだ。 脅迫か、殺害予告か、俺の運命はどうなんだ‼」


「見つかったって、なんか見つかったって敵のアジト。」


は?

いや待って、アジト見つかったって、おい。

俺らの調査必要なかったってこと?


「俺の努力は何だったんだぁぁぁぁぁぁぁ‼」


俺はあまりのショックにうな垂れる。

「考えないことよ、これも社会経験よ。」


茜に背中さすられてる、でもその優しさが心地いい。

あ、目から鼻水が……


「社会つれえーーーー。」

俺の手は天を仰いだ。


感想よろしくお願いします。

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