怪物戦
みんな、桜火学園の生徒といっても、まだただの一年生だ、いわゆる魔術に関しては、ズブの素人、何があっても対抗できないだろう。
その中には、滝川マリアの周りにいた取り巻きの連中の人も混じっていた。
「あ、あの生徒会の人ですよね、突然教室に変な化け物が入ってきて、襲ってきたんです。 何人か逃げ遅れてて、マリアさんも……。」
その一人が茜に気づいて話かける。
どうやら、誰かもうピンチになっているみたいだ。
「なんだって、急ぐわよ‼」
その生徒の話を聞くなり、一年生塔にかけていく茜、俺もそれに続く。
「マリアさん‼ 今助けに来たわよ。」
茜は叫ぶと同時に、生徒が逃げだしている教室の扉を開けた。
そこには、奇妙な生命体がそこにはいた。
一つの角に一つの目、まさに化け物という名がふさわしい存在だった。
そしてその化け物が今まさにマリアさんに拳を振り下ろそうとしていた。
「おい、やめろ‼」
俺はとっさにそいつにタックルをかまして、そいつは教室の窓側の壁に激突した。
「ドコダ…エンコクトウハドコダ……」
こいつ今、炎黒刀はどこだって言ったか?
やっぱり、こいつ俺を狙っている。
「炎黒刀の所有者は俺だ‼ 狙うなら俺にしろ‼ 他の人には手を出すな‼」
俺は、怯えて震えているマリアさんを抱えると茜に託した。
「も、最上結城、そ、その…ありがとう。」
マリアさんの服はぼろぼろだ。
あまりに恐ろしい体験に委縮し、ガクガクと震えているマリアさんは、目に涙をいっぱい貯めながら、感謝の言葉を述べた。
ちょ、こいつ可愛いな……
「ああ、困っているときはお互い様だろ。」
俺は、渾身のキメ顔をする。
「あんた、変な顔してるわよ、気持ち悪い。」
「き、きもくねーし。 今最高にかっこいいンゴよ。 ぶふぉ。」
「はいはい、じゃあ化け物同士よろしくやって頂戴、とりあえず私はとりあえずこの子を安全なところへ避難させるわ。 マリアだったかしら、行くわよ。」
マリアは俺に顔を背けたまま、そのまま茜に連れていかれた。
っていうか、それじゃ俺も化け物じゃないかよ。
うがぁ‼
さっき結城に吹き飛ばされた化け物は、どうやら既に戻ってきていたようだ。
教室に戻ってくるなり、背を向けている結城に対して渾身のパンチを繰り出してきた。
その不意打ちかとも思われる攻撃に結城は吹っ飛ばされるかともおもったが、
「すまないな、俺には見えているんだよ。」
結城は、目で見えていないはずのその攻撃を視認せずによけた。
怪物は、そのあとも次々とパンチを繰り出してくるが、その攻撃を結城はどんどんかわしていく。
「ははっ、あたんねーよそんな攻撃、見え見えだ。」
当たらない攻撃にイライラした怪物は、教室にあった机や椅子を手当たり次第に投げつけてきた。
「おいおい、これじゃ逃げるにも逃げられないぞ、視界一面が机じゃないか。」
避けることばかりに注意を向けていた結城は、突然の絨毯攻撃によって迎撃の体制が取れなかった。
「ふふっ、あなたも甘いわねぇ‼」
すると後ろから何者かが飛び込んできた。
「電撃キックっ‼」
茜だ。
茜の電気をまとった蹴りによって、その絨毯攻撃に穴が開いた。
「た、助かる、すまん。」
「潜在能力はあなたにはかなわないかもしれないけど、戦闘経験という点に関してはあなたはまだまだね。」
そうだ、俺はできることになったことに調子に乗っていたようだ。
どんな強い力も使い方次第。
俺の戦闘経験の少なさは、その使い方という点において全くと言って素人だ。
「はぁ、あんまり気を落としている暇はないわよ。」
茜の言葉に俺は後ろを振り向く。
既に机も椅子もなく、がらんとした教室に怪物はたたずんでいた。
全身の筋肉が流動していて、皮膚の表面には血管がドクンドクンと波うっている。
「きもいな。」
俺は、単純に感想を述べた。
「さっきのあなたもおんなじぐらい気持ち悪かったわよ…。」
なんだろう…すごい傷ついた。
うがぁ‼
その化け物の叫び声に反応するかのように俺はその化け物に向きなおる。
隣には、茜も同様に攻撃の構えをとっていた。
「2体1だしね、数にはこっちのほうが有利がある、一気に攻めるよ。」
すると、その化け物がものすごい雄たけびを上げた、化け物の体全体に薄暗いもやがぼわりと浮き出る。
すると、化け物の姿が一つから二つに分裂した。
「こ、こいつ分身したぞ⁉」
くそ、せっかくの数の有利がこれじゃ台無しだ。
「右はあんた、左は私がやる、オーケー?」
戦闘経験が豊富な茜はとっさに状況分析をして、すぐに方針を固めた。
俺は茜の合図で分身した二人を二人に分かれて倒そうという作戦を開始した。
先に分裂したほうを分裂体B、分裂する前のこいつは分裂体Aとしよう。
俺が相対しているっていうのは分裂体A 、茜が構えているのは分裂体Bだ。
茜はその分裂体Bに俺と戦った時のように高速で蹴りを繰り出した。
外に飛んでいく分裂体Bそれをおいかけようとしている茜は、おいといて、俺は目の前にいる相手に炎黒刀を構えた。
「おいおい、学生証は持ってんのか? ここは学ぶ場所だ、暴れる場所じゃねぇ、とっととご退場願おうかぁ‼」
俺は、呼吸を整えてこいつを倒すためにはどうしたらいいかを考え、茜と戦った時のように心臓にすべての気持ちを集中させた。
ドクンと心臓が鳴る。
きた、きたきたきた、体が燃え上がっているこの感覚。
おいカレン、聞こえてるか?
「ああ、聞こえているぞ、やるのか。」
「おおよ、少し少し無茶しねーと得られるものはないからな、多少は無理してぶっ飛ばすぞ。」
「ああ、私がついていればできないことはないからな。」
俺は、息をめいいっぱい吸い込み全身の血液が沸騰する感覚を感じた。
「「正義の炎が燃えてきた‼」」
ぐおぉぉぉぉーーー
目の前で咆哮をあげる化け物。
「いいぜ、こいよお前の正義と俺の正義、どっちが正しいかはっきりさせようぜ。」
俺は、この一撃にすべてを込めるつもりで、教室の床を深く踏み込んだ。
結城の周りに炎の円陣が展開される。
「な、なにこれ、結城、いったいあんた何をしようとしているの⁉」
その炎の円陣から漏れてくる濃密な魔力に、隣にいた茜は後ずさりした。
ああ、まただ、カレンの魔力が俺の体に流れ込むと同時にカレンの記憶も流れ込んでくる。
「カレン、先人の知恵をちょいと借りるぜ。」
「ああ、私のようなエネルギー体が持っていてもしょうがない知識だ。 生きているお前が自由に使うがいいよ。」
俺の体の熱で汗が蒸発し、体から湯気が立つ。
その熱が刀全体に広がったのを感じた俺は、それが体にめぐる力の頂点であることを感覚で理解した。
「炎の剣技・炎舞‼」
「きれいな青空っすね~」
俺は、目の前に広がっているきれいな青空を見ながら、隣で座っている茜に問いかけた。
「そうね、きれいな空だわ、私もまさか……まさか教室の入り口から青空を眺める機会があるとはおもえなかったわ。」
彼女は座っている、教室の入り口のドアがある部分に座っているのだ。
教室のドアから先にあるはずの教室は……吹き飛んでいた。
「いや~、やりすぎちった☆ めんごめんご。」
俺は、てへぺろっといった顔で謝罪した。
「やりすぎたじゃ……ないわよーーー‼ 教室全部吹き飛ばしてどうすんのよ‼」
茜は、そこにあるはずのもうない教室を指さして叫ぶ。
「テンション上がっちゃった☆」
「このばかー‼ 肝心の証拠である怪物も粉々よ粉々、はいさてどこに怪物はいるでしょうか~、正解はどこにもいませーん、全部どっかの馬鹿が吹き飛ばしました~。」
「そんなバカみたいな表情で言われても。」
「なによー‼」
茜の不満は最高潮に達しようとしていた。
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