6.溶ける
とける
溶けていく、でしょうね
書く、とは、そういうことなのでしょう ね
……それ は、一体化、で あり、
それ は、他者では ないのです
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飽くまでも
そこ は、内側のなかの 外側、で あり
それ は、隔絶された 空間
別個の宇宙、と仮としてもいえるもの
物語、とは、そういうものであり
物語、とは、空間であるのです
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……しかし、それも、一時的なもの
それら は、一体化し
とろけ、
打ち捨てられ
吸収し
吸収され
外へと
内側の外側へと
成り変わるものでしょ う
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それ は、やはり、違うものであるのです
趣を変えて
それ は、溶けるものではあるけれど も
それ は、抉りつづけるものでは ありえず
それ は、いつの間にか吸収され
別の命として
成り変わり
廻り始める
自律的な環
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それ が、きっと、物語 というもので ありましょう
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それ は、作者から起点し、作者で終わる
一点の中心点とはいえず
それ は、自律したうえで、起点を外側へ置く
異質な環
それ が、物語 というもので ありましょう
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コントロールをしようとすればするほどに
物語の自律性は失われ
そのままに、環は縮むものでしょう が、
本質は、そこ で ありましょう?
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小説を書くという行為は、
だからこそ、異であり 意であり 外 であり 内であるのでしょう?
時はそこにあるのに
時がゆるやかに動く
宇宙の環
それは、どこまでも仮であり
フィクションでありますでしょうに
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だからこそ、異なもの 不思議な ものと 思えるのです




