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5章 第2話

5章 第2話


—1時間前—


スタジオの空気は張り詰めていた。


強い照明の下で、月島剛は椅子から身を乗り出していた。




額から汗が流れ落ち、呼吸は荒い。


「違う!」


突然、叫ぶ。


「俺は改ざんなんかしていない!」


机を叩く音がスタジオに響いた。


「会社が勝手にやったんだ!」


その声には、怒りと恐怖が入り混じっていた。


月島は必死だった。




自分の罪を否認し続ける。


それは単なる弁解ではない。


社会的な死。


それを恐れているのが、誰の目にも明らかだった。


桐生はその様子を見ながら、落ち着いた声で言う。


「月島さん、落ち着いてください」


カメラの赤いランプが点灯している。


全国に、この光景が流れていた。


桐生は静かに続けた。


「爆弾は……本当に爆発します」


声の調子は変わらない。


感情を表に出さないよう、必死に抑えている。


だが月島は聞いていない。


「触るな!」


桐生の手を振り払う。


「お前に何がわかる!?」


怒鳴り声がスタジオに響く。


「お前が俺の人生を否定できんのか!?」


その瞬間——


無線機から、ノイズが走った。


そして、あの男の声が流れ出す。


『……月島剛』


低く、冷たい声。


『お前が罪を認めずに一時間が過ぎれば——』


短い間。


『お前は社会的にも、物理的にも死ぬ』


スタジオの空気が凍る。


『早く認めないと——』


わずかに笑うような気配。


『世間の見る目は、どんどん堕ちていくぞ』


沈黙。


月島の呼吸音だけが、マイクに拾われていた。


カメラは、逃げ場のないその顔を映し続けている。


汗。




恐怖。




焦り。


そして——


崩れ始めた表情。


猶予時間は、静かに削られていた。

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