旅をするそうです
今回は少し長めです
前回のダイジェスト 主人公は両親から命を狙われている 以上!
ただ、口を開け愕然とすることしかできなかった。両親が俺を殺そうとしている?こんな俺のために家までを買ってくれる両親が?
「ありえねー…」
「…事実なんだ。情報源はほぼ100%信頼できる。それに私の言ってることすべてが嘘と考えたらいろいろと辻褄が合わなくなるだろ?」
俺はそれなりに何が言われても動じない覚悟はできていると思っていたが、現実はもっと残酷なものであった。そんな俺に苦悶の表情を読み取ったのか
「そう悲観するな。何度も言ってるだろ、私はあーたを治療させに来たと」
「…簡単に言うけど、俺の病気はどんな回復魔法使いでも治せんかったんだぞ」
そういうと、メディカは吐き捨てるように
「回復魔法なんぞ信用するからいかんのだ…」
とつぶやいた。なぜ、回復魔法を信用してはならないのか聞こうとしたが
「私はあーたの病気について思い当たる節がある。決して無策で来たわけではない。下手すりゃ私も殺されるかもしれんのだよ?」
「なんで?俺の病気を治療しても殺されるわけ?」
「なんでって、あーたを半ば誘拐することになるからじゃない。貴族の子を誘拐することがどんだけ重い罪なのか知らんのか?…もしかしてあーた、頭も悪い?」
「いや、なんで治療するだけで誘拐になるんだよ。意味わからん」
「えっ?」
「えっ?」
二人の間に何やらすれ違いがあるようである。
すると、メディカは「あー…」と言い
「さてはあーた、私がここに治療しに来たと思ってるな。私は治療させに来たといったんだ。あんたの病気がそんな簡単に治るわけがないだろ」
治療させに来た?ますますわからんくなってきた。やばい、頭が痛い…
「具体的に言えばあんたをまずここから誰にも知られずに連れ出す。ここにずっといてたらいつ殺されてもおかしくないからな。そして、あーたの病気について詳しい人を訪ねながら旅をするんだ」
何その治療法。
「…旅をするって言ったって、俺は1日中歩いたりなんかできんぞ」
「もちろんそこらへんも考慮に入れとる。そのせいで、あんたが15になってしまった。生きてくれてよかったよ、ほんとに…」
「ただ、当たり前だが、最終決定権は患者のあんたにある。ただ、1度決めたらもう引き返せなくなる。それでどうする。今、決めろ」
あまりにも突然すぎる。こんな奴に俺の命を託すのか?
だが、言っていることは偽っていないのも確かだろう。俺は一つ答える前に聞くことにした
「なんでお前は自分の命を懸けて、俺を助けようとする」
するとメディカはまた、先程の驚いた表情をした後、少し間をおいて
「医者が病人を助けることに理由はいらんだろ。医者は自分の健康を気にしないと愚民は笑うが、それは、自分の命に代えてでも他人を救うという医者の使命を全うしている証拠である」
ロージア・イプスの晩年の言葉である。彼もまた若くして亡くなった。どうやら、こいつはもしかしたら本当にイプスの血を引いてるかもな。ならば
「…わかった。どうせ長くない俺の人生のすべてをお前に賭ける」
「成立だ。ならば、今すぐ必要な物をまとめろ。昼にはここを出る」
読んでいただきありがとうございます。




