オーク大将の一喝
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名前:****
種族:オーク大将
レベル:62
HP 3041/3041
MP 0/0
状態:通常
スキルポイント 122
攻撃 1372
防御 861
速度 653
魔力 31
経験値補正+110%
スキル:【言語理解:Lv1】【肉体強化:Lv4】【激励:Lv7】【逆境:Lv4】【斧使い:Lv6】【精力強化:Lv3】【献身:Lv1】
称号:【レアモンスター】【強欲】【変異種】【強靭な体】【百人隊長】【一騎当千】【高レベル】【オークの天敵】【女好き】【子持ち】
【称号収集家見習い】【子沢山】
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強い……HPは僕の5倍、攻撃力も4倍はある。
正直、甘く見ていた。
オークのくせに、オークの天敵ってどういうことだよ。
上位種のオークを倒せたのだから、リーダーも倒せるようになると思っていた。
だが、これは正直きつい。
『わかっただろ? 君は逃げるしかない。ノーチェという子と一緒に』
神の声で、目の前のステータスが消えた。
「フレーズ……教えてくれ、オークの本隊はどこにいるんだ?」
「森の西にいるわ。出たらすぐにわかると思う」
「そうか……ちょっと行ってくる」
『待って! 今の君だと敵わない! 逃げるんだ!』
ノーチェは逃げない!
絶対に、彼女は他のエルフを見捨てることはできない!
なぁ、神様、未来をすでに見えているんだよな?
僕が戦えばどうなる?
『見えないよ。君が関わる未来は非常に不確定な部分が多いんだ』
それを聞いて安心した。
つまりは、勝てるかもしれないってことだよな。
「フレーズ、みんなに伝えてほしい。オークは明日の午後三時に攻めてくる」
「え?」
僕はそれだけ言い残すと、空へと飛ぶ。
木の上に出たところで、猪突猛進を使って一直線に飛んでいった。
空を見上げると、煌く星々が目に映った。
だが、月は出ていないのでとても暗い。
これは運がいい。
西へと飛ぶと、焚火の光が見えた。
だが、敵の様子はよく見えない。
これは遠視と暗視が必要だな。
【スキルポイントを5支払い、暗視を取得しますか?】
【スキル:暗視を取得した】
【スキルポイントを5支払い、遠見を取得しますか?】
【スキル:遠見を取得した】
【称号:視力2.0を取得した】
【スキル:遠見のレベルが2に上がった】
【スキル:暗視のレベルが2に上がった】
おぉ、これでよく見えるようになった。
オークの数は焚火を中心に6人がいる。各隊にオーク隊長が一人か。
弓矢があるな。しかも長弓、あれならここまで弓矢を放つことも可能だろう。
だが、僕の力ではこれ以上高く飛べない。
……おいおい、オークのくせに天幕なんて使ってやがる。
あそこから赤黒い気配が……おそらく、あの中にオーク大将がいるんだろうな。
一斉に放たれたら逃げるのも不可能だ。
本当なら、アイテムBOXに岩を入れて、空から爆撃のようなことをしたかったのだが、それも無理か。
……いや、一度だけなら可能か。
※※※
直後、僕の手作り爆弾がオークの陣地に襲い掛かった。
その数は40。
僕は爆弾が落ちるのを、遠くの木の上から見ていた。おぉ、天幕も燃えているな。
猛毒ガス付き爆弾だ。
作り方は簡単。
まずは、スケープゴート、猛毒攻撃、泡の3種類のスキルを用意してあった。
スケープゴートはレベル2のため、5分間出現させることができる。
まず、泡を40個作り、その中にスケープゴートを出現させていく。猛毒攻撃を付加させて。
そして、木の上に避難し、泡を一斉に破裂させた。
直後、落ちていく僕の分身たち。ただでさえ可愛かった人形が一層可愛くなって落ちていく。
敵が攻撃に気付いて空を見上げたときには時すでに遅し。
僕は安全圏に避難しているというわけだ。
ふふふ、500体という数が裏目に出たな。
500体のうち、何体が猛毒になったのかは知らないが、相当数が猛毒になっているはず。
さらに、スケープゴートのレベルが3に上がった。
こんな状態で、オーク大将よ、お前はこの軍を纏められるのか?
纏められなくてもいい、例えば傷ついたオークに対して献身を使ってくれたら、これからの戦いが楽になる。
案の定、毒状態になったり大怪我をしたオークは己の状態を把握して騒ぎ出した。
騒ぎはだんだん広くなっていく。
いいぞいいぞ! このまま騒ぎよひどくなれ!
そして、一度撤退してくれたら最高、そうじゃなくても明後日までノーチェを迎えにくるのを待ってくれたらいい。
それなら、その間に僕はさらに成長できる。
そう思った時だった、燃える天幕の中から、慌てることなくそいつが現れた。
身長5メートルはある、金色の筋肉の化け物……オーク大将だ。
ステータスを確認すると、神に見せてもらったステータスと同じHPが表示された。
そのオーク大将に、おそらく猛毒状態になったオーク隊長が詰め寄った。
よし、治療のために撤退を提案しているんだろう、そう思ったら、オーク大将は、巨大な斧を振り上げて、下ろした。
「…………!!?」
オークの首が吹っ飛んだ。
ウソだろ、一撃かよ。
「ウガァァァァァッ!」
オーク大将が大きく吠えた、と思ったら、兵たちの間に静寂が戻った。
そして、さっきまで大きく騒いでいたオークが、他のオークに連れられて森へと連れられて行く。
それだけして、オーク大将は部下に別の天幕を用意させ、そちらに入って行った。
軍規を乱した罰なんだろうな。
凄いな、一喝かよ。
猛毒状態になっているオークですらもう何もしないというのか。
恐怖政治か。
よし、とりあえず今は森の中に入っていったオークを追うとするか。
オークが攻めてくるまで残り14時間。
数の差と戦力の差は、まだ埋まる気配はない。
オーク大将の強さは、クイーンスネークや、翼竜よりは弱いですが、勇者レベルの冒険者が10人がかりでも倒せない、軍隊レベルの強さです。
オーク1体でもB級冒険者レベルなので、オーク500体&オーク大将相手なら軍でも勝てないですね。コーマなら瞬殺できますが。




