表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/171

さらに進化、その行く先は?

 2時間ほど仮眠を取り、エルフの森へと急いだ。

 途中の沼地でフーライワニと言う名前の小型のワニを見つけて、倒した。

 経験値は65だが、捕食の効果が7倍になっていたので、一気に455も経験値が増える結果となった。

 実質、10.4倍の経験値を入手できている計算になる。

 せめて、あの毛皮を食べる前に捕食レベルが上がっていたら、とも思ったが、毛皮を食べたから捕食レベルが上がったのは自明の理なので、そこは仕方のないことだ。


 レベルが上がり、さらに称号やスキルも増えたために速度が上がっている。そのため、3日はかかると予想していた往復を、24時間以内に終わらせられたのは僥倖といえるだろう。


 それでも、あと2日。ゆっくりとしている暇はない。

 エルフの村に到着した僕を見て、他のエルフが警戒するが、フレーズから話を聞いていたのか攻撃をしてくることはなかった。

 すぐにフレーズに知らせがいき、彼女がこちらに飛んできた。


「ヴィンデ、帰ったのね!」

「あぁ、フレーズ。思ったより強くなれなかった。あと3レベル上げて進化する必要がある。オークのいそうな場所、わからないか?」

「一体いるわ。でも、前に見たオークよりも強くて、エルフに何人か怪我人が出ているの」

「……ちょうどいい。あ、フレーズ、これを使ってくれ」


 僕はアイテムBOXから、先ほど作成したヒールの魔法書を渡す。

 魔法書が何なのかわからないらしく、説明すると、「いいの? 貴重なものなんでしょ?」と言われた。別に貴重ってものでもないんだが(時間があればいくつでも量産できるし)、でもまぁ「必要かもしれないからな」とだけ言っておいた。


 僕はフレーズの案内で、オークがいるという場所に行った。

 近付くと、索敵スキルに引っかかる前にそのオークの居場所がわかった。血の匂いがしたから。

 そこで、一度フレーズを離れさせる。


 そして、さらに近付くと索敵にひっかかり、さらに近付くと、その姿を視認できた。

 通常のオークよりも大きく逞しい体。肌の緑色も他のオークよりも濃く、深緑といった具合だ。


【オーク兵長:HP392/408】


 やっぱり上位種か。こんなやつでも軍規を乱したとかいう理由で森の中に送り込まれたわけか。


 HPが僅かに減っているのは、エルフと戦いがあったのだろう。だが、オークの血の色が紫色なのに対し、彼の胸に大きく残っている血の色は赤い。あの血は全てエルフの返り血のようだ。


 ファイヤーサラマンダーの時にこいつに出くわさなくてよかったと思う。

 策を弄して戦うことも考えたが、今後、こいつクラスの敵がうようよ出てくることを考えると、最初は正面から戦いたい。


 といっても、先手はこっちから行くんだけどな!


 毒針! 暗闇攻撃!


 暗闇を付加させた毒針を放つ。


【スキル:毒針のレベルが2に上がった】


 おっと、ここでレベルアップ、これは幸先がいい。

 毒針を受けたことで、オークは僕に気付いたようだ。


 だが、はっきりとこちらを見つけて走ってくるところを見ると、暗闇にはなっていない。


 まずは――猪突猛進&体当たり!


 全力で加速、体当たりをすることにした。

 思わぬ急加速に、オークの身体が吹っ飛ぶかと思ったが、オークはそれを両腕で受け止めた。

 なんて馬鹿力だ、頭が痛い!


 ならば――と僕は口を開け、火炎の息を零距離発射した。

 火の息の何倍もの威力の炎がオークを包み込む。


 この火炎の息は、火の息よりも長い時間放つことはできないが、その分威力は強力だ。

 にもかかわらず、オークは僕の身体を離すことなく、そのまま投げ飛ばした。


 思わぬ投げに、木に激突する。

 ぐっ、骨が折れたんじゃないか、背中がいたい。

 岩に激突したときに自動発動した軟着陸の効果がないように感じる……木だと無理なのか。


「ヒール!」


 一度回復して体勢を立て直す。

 あのままヘッドロックされ続けたほうが危なかったかもしれない。そう思ったが、奴は僕を投げて正解だったようだ。


【オーク兵長:HP31/408】


 もう虫の息といったところか。

 奴の目は完全に怯えに変わっている。間違いない、あいつは僕を恐れている。

 にもかかわらず、奴は逃げようとしない。


 何故だ?


 決まっている、奴は、奴のリーダーが恐ろしいんだ。

 だから、上位種であるにもかかわらず、仲間から追放されても、そのリーダーの言葉に従わざるをえない。

 こいつももしかしたら被害者なのかもしれない、そんなことを思ってしまう。


 だが、僕は再度猪突猛進からの体当たり攻撃をオーク兵長にぶつけた。


【経験値1287取得】


 オークは僕の体当たりを受け止めるも、その衝撃で絶命していた。

 そして、その死肉を僕は食べた。消臭スキルをつかい、肉の匂いを消して食べた。 


【スキル:“捕食”の効果により経験値9009取得】

【ヴィンデのレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】

【ヴィンデのレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】


 レベルが2上がった。ここまで来たら、もう一息だ。

 たき火の前には、食べさしの狼の肉が残っていた。

 オークには悪いが、口直しにそれを食べさせてもらった。


【スキル:“悪食”の効果により経験値8取得】


 水球ウォーターを使い、水を飲んでいると、フレーズが飛んできた。


「ヴィンデ! 倒したの!? 倒したのね!? やるじゃない! 流石は私が認めたトカゲね」

「お前に認めてもらった覚えはないけどな。それと、何度も言うが僕はサラマンダーだ。あと、フレーズ、他にオークがいる場所はないか?」

「私達が把握しているのは今のオークで最後よ」

「……そうか。もう少しでレベルが上がりそうなんだが、一体いくつ必要なんだ」

「調べようか?」

「そうだな、調べられるなら……できるのか?」

「ええ、妖精魔法を使えばね!」


 フレーズはそう言って、僕に「経験値調査ポイントサーチ」という魔法を使った。

 そんな便利な魔法があったとは。そういえば、フレーズは妖精魔法レベル6の使い手だったんだよな。


 妖精魔法は戦闘に使える魔法が少ないと言っていたが、覚えられるなら覚えたい魔法が多そうだ。


「あと、871でレベルが上がるって出たわ」

「871、ならば行けるな!」


 経験値貯金は現在1000ポイント近くある。

 871ポイントを使い、レベルを上げよう。


 本当なら、変身中に使って、スキルポイントを貯めたかったんだけど、今は進化して新しい体になれるのが先決だ。

 そして、871ポイントを増やすと、叡智さんからお知らせが届いた。


【ヴィンデのレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】

【ヴィンデのレベルは最大です。これ以上経験値を取得できません】

【ヴィンデは進化条件を満たしています】


 わずか1日で、G.F.サラマンダーの出番は終わり、僕は新たなステージに進む。

 そう思った。


 そして、進化先を見て僕は驚き目を細めた。

 ブラックタイガーのようなふざけた進化はない、どころか選択肢がない。


 進化先が一つしかなかったから。

 本来なら、爬虫類に進化し、そこからドラゴンになる。

 そう思っていた。だが、僕の目の前にあった進化先は――


……………………………………

・ベビードラゴン


全てのドラゴンの子供。強い潜在能力を秘めている。

ドラゴンも生まれたときは赤ちゃんだった。


取得可能スキル:【竜の魂】

……………………………………


 ブラックバスは、この日、ドラゴンになる。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ