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翌朝、レイヴァンたちは街外れに向かっていた。
そこには修道女のウィルとエリィが同行している。
「今回の事件はホント訳が分からないまま終わっちまったな」
女性陣四人が和気藹々と会話をする中、除け者扱いのブライトはレイヴァンの下へと歩み寄り声をかけた。
「そんな時もあるさ」
「しかも今回も大物を封じ込め損ねたし」
「メフィストフェレス以外に興味はない」
「そうは言っても、誰かさんが有り金を全部女神像の前に置いてきたりするもんだから俺たち今無一文なんだぜ?」
「次の街までには嫌でも金は手には入るだろ」
淡々と答えるレイヴァンにブライトは頭をかいた。
「それなら、この街を出たらどうするんだ? ギルドで話を聞いてもメフィストフェレスに関する有力な情報は得られなかったぜ?」
「そのことについてはもう決めている」
そう答えてからレイヴァンは黙り込む。
「何だよ?もったいぶるなよ」
ブライトが急かすように視線を送ると、彼は遠い青空を見つめて口を開いた。
「一度ロディニアに戻ろうと思う」
思わぬ言葉にブライトは大声を上げて驚いた。
「国に帰るなんて一体どういう風の吹き回しだよ!」
「悪魔が言っていた封印の楔という言葉について一晩考えた」
「まったく意味の分からない言葉だな」
「俺も初めて聞いた言葉だと思ったが、よく考えると過去に一度だけ聞いていた」
「どこで? って、まさか、それがロディニア?」
レイヴァンは静かに頷く。
あの忌々しい過去。
メフィストフェレスがミレーニアを刺した後、これで全ての封印の楔を解き放ったと叫び笑っていた。




