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「私を囮として使ってください。 悪いとは思ったのですが、ブライトさんに話を伺いました。 レイヴァンさんはミレーニアさんを殺した悪魔を追っているのでしょう? 私が悪魔に狙われる性質ならば、きっとその悪魔も私の下へとやってきます」
彼女の発言にレイヴァンは思わず目を見開いた。
予想外の発言への驚き。
ブライトが口を滑らしたことへの怒り。
双方の感情が沸き上がってきたが、気がつけば口元が緩み肩を揺らしていた。
まさか囮とくるとは。
「確かに、あんたは悪魔が言うところの封印の楔とかで上級悪魔が狙う存在。 メフィストフェレスが現れても不思議ではない。 正直そんな考えは無かった」
修道女らしい実に献身的な発案。
「たしかに、その意見なら反対する理由がない。 むしろ俺から同行をお願いしないといけないだろうな」
「それでは、一緒に行っても良いのですね?」
レイヴァンが頷くとマリアンは表情を緩め、満面の笑顔で感謝の言葉を述べた。
「早速ウィル院長に報告して参ります」
彼女は嬉しさのあまり席を立つと、駆け足で扉のノブに手をかけて部屋を出て行こうとする。
レイヴァンはそれを呼び止めた。
「マリアン、口調が元に戻っているぞ。 俺たちの仲間になるなら、金輪際その口調は禁止だ」
マリアンは、はっとしたような表情を見せると再び笑顔で頷いてから部屋を飛び出して行った。
マリアンが居なくなり一人になると、レイヴァンは少しの間天井を仰いだ。
正直なところ勢いで承諾してしまった感じが否めなかった。
メフィストフェレスに近づく絶好の機会であることに間違いはない。
だが、本当でこれでよかったのだろうか?
ウィルと話していた時、彼女はマリアンをここに留めて欲しそうだった。
やはり同行させるべきではないのでは?
だが、連れて行くと伝えてしまった。
明日から彼女を預かることになる自分。
本当に守れるのか?
自問しながら、レイヴァンは新たに芽吹いてくる決意に拳を握りしめた。




