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魔天創記 (弐)  作者: ちゃすけ丸
第7章
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~ 61 ~

「閃光の槍よ!」



 鍔迫り合いを牽制しながら渾身の一撃を放つと、狙い澄ました光の槍は相手の左手を吹き飛ばした。



 同時に悪魔の様子が豹変し苦痛に満ちた表情と悲鳴を上げる。



 押し込んでくる力も減少した。



 やはり今の指輪が治癒を促す、もしくは疲労を和らげる効果を持っていたか。



 レイヴァンは相手を払い退け、とどめのために剣をかざしたが、同時に激痛が全身を駆けめぐった。



 急激に力が抜け、剣を振り抜くことができない。



 動きは鈍り、左手から剣が消滅した。



 苦痛に悶える悪魔もこの瞬間は見逃さなかった。



 獣のように吼え振り抜いた剣はレイヴァンの胴から左腕を捕らえた。



 彼は宙を舞い、地面に落とされると微動だにしなくなる。



 周りにできた血溜まりが、じわりじわりと広がっていく。



 悪魔の高笑いが闇夜に響いた。



「ついに忌まわしきミカエルの剣を持つ人間をしとめたぞ!」



 腹に風穴が開き片手を失った悪魔は最早まともに動くことはできなくなっていた。



「こいつに剣を突き立てた後は、封印の楔だ」


 悪魔がふらつきながらレイヴァンに近づくと、足音に気がついたのか彼の指がぴくりと反応する。



 そしてわずかな間を置くと静かに立ち上がって悪魔と対峙した。



 彼の様子がおかしいと気がつくのに時間はかからなかった。



 悪魔はただならぬ雰囲気に黒い剣を握り直した。



 立ち上がったレイヴァンは右手を開き、前に突き出すとゆっくりと呟き始める。



「精霊を統べる光の女神よ、我が名はユリウス、選ばれし運命の子。 古の契約に従い、邪を破り魔を祓え」



 彼の呪文と共に手の平に収束し始めた光が次第に剣の形に具現化していく。



 剣になろうとする光を握ろうとすると、それを拒絶するように右手の甲にある痣が怪しく光り出した。

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