~ 52 ~
「あれをまともに受けて生きているとは意外としぶといな」
悪魔は素早く攻撃をかわすと体を刃が飛んできた方に向ける。
「てっきり塵になったかと思ったぞ」
そこにはレイヴァンが何食わぬ顔で立っていた。
「衝撃のお陰で目が覚めた」
「これからが本番とでも言いたそうだな、人間」
「そのつもりだ」
レイヴァンは悪魔との間合いを詰めると剣を薙ぎ払った。
鋭い音を立てて互いの剣がぶつかる。
「怒りでメフィストフェレスよりも先に聞かねばならないことを忘れていた。 貴様が現れた時、最初に口にした封印の力とは何のことだ?」
「人間が知る必要はない」
悪魔は先程と同じように力で押し返してくる。
今度は体勢を崩す前に自ら後ろに引いて攻撃をいなすと、再び相手の懐に潜り込んで剣を振るった。
相手もすかさず剣をかざして受け止める。
「その力を探して貴様たち悪魔はこの修道院を襲ったのだろう?」
「五月蠅い人間だ」
「人間の中では無口な方だ。 むしろよくしゃべるのが悪魔だと聞いているが?」
「ぬかせ!」
相手が苛立ちわずかに大振りになったところでレイヴァンは相手の脇をすり抜けて背後を取る。
すかさず力一杯剣を薙払った。
「小賢しいわ!」
確実に相手を捕らえたと思ったが、悪魔は全身に黒い炎をまとい剣を寄せ付けなかった。
それどころか膨れ上がる炎が剣を伝い襲いかかってくる。
レイヴァンは舌打ちするとすばやく剣を手放した。
悪魔の黒い炎は相手を焼き尽くすまで決して消えない。
これまでにイヤと言うほど目にしてきた。
「さすがに一筋縄ではいきそうにないな」
レイヴァンは融解した剣に一瞥をくれた後、間合いをとって身構えると悪魔はほくそ笑んだ。
「我が炎からとっさに離れたのは誉めてやろう。 ……だが、貴様がそちら側に移動しては分が悪いのではないか?」
悪魔が振り返り視線を送る先にはマリアンたちがいる。
狙いはあくまでも彼女。
レイヴァンが気づいた時、悪魔は既にマリアンへの距離を詰めるべく動いていた。
黒い翼を広げ地面を滑るように近づくと黒い剣をまっすぐに突き出した。




