↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『俺には無理。』 ― 最後の砦 ―  作者: Alma.


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/15

episode Final.─そして、君の物語へ……

俺は、特別な人間になりたかった。


誰にも届かない場所へ。

誰にも真似できない景色へ。

自分がどこまで行けるのか、その答えを知りたかった。


何度も挑み、何度も間違え、何度も自分自身を疑った。


それでも、歩くことだけはやめなかった。


強くなりたかったから。

自分の可能性を、誰かの言葉で終わらせたくなかったから。

そして何より、自分が生きたことを、自分自身で証明したかったから。


けれど、今なら分かる。


人間の価値は、どこまで登り詰めたかだけで決まるものじゃない。


どれだけ大きな夢を叶えたかでも、どれだけ多くの人間に認められたかでもない。


誰かの痛みに気づけたこと。

自分より弱いと思った相手にも、名前があり、人生があると忘れなかったこと。

失敗しても、恥をかいても、自分の信じたものと向き合い続けたこと。


その一つひとつにも、人間として生きた意味がある。


俺は、誰かより上に立つためだけに生まれたんじゃない。


俺は、俺の人生を生きるために生まれた。


そして、それはきっと、君も同じだ。


誰かに笑われた夢があるかもしれない。

一度は諦めた未来があるかもしれない。

自分には何もないと、思い込んでしまった夜もあるかもしれない。


それでも。


まだ終わっていないのなら、終わりだと決めつけるには早すぎる。


今の君に、俺と同じことをしろとは言わない。


俺のように生きる必要もない。

俺と同じ夢を見る必要もない。

俺を超える必要だってない。


ただ一つ。


自分の人生まで、他人に決めさせないでほしい。


何を成し遂げるのか。

何を守るのか。

どんな人間でありたいのか。


その答えは、誰かに与えてもらうものじゃない。


君が選び、君が悩み、君が歩いた先に、少しずつ形になっていくものだから。


いつか君が、自分の歩いてきた道を振り返る日が来たとき。


胸を張って言える人生であってほしい。


成功したからじゃない。

失敗しなかったからでもない。


自分の人生から、最後まで逃げなかったと。


そして、もし君の歩く道の途中で、立ち止まっている誰かに出会ったなら。


その人の名前を呼んでやってほしい。


肩書きでも、役割でも、過去の失敗でもなく。

一人の人間として。


手を差し伸べられるなら、差し伸べてほしい。

言葉を届けられるなら、届けてほしい。


君の何気ない一言が、誰かの人生を変えることだってある。


君の歩く姿が、誰かにとっての道標になることだってある。


そうして受け取ったものが、また別の誰かへと渡っていく。


俺が残したかったものも、きっと、そういうものだったのだと思う。


俺の名前が、いつまでも残る必要はない。


俺の言葉が、俺のいない場所で誰かの背中を押してくれたなら。


俺の生き方を見た誰かが、自分の可能性を信じてくれたなら。


そして、その誰かがまた、別の誰かに希望を渡してくれたなら。


俺が歩いた道は、そこで終わらない。


俺が生きた時間は、俺一人の人生の中だけに閉じ込められない。


それこそが、俺の望んだ未来なのかもしれない。


だから俺は、これからも歩いていく。


どこまで行けるかなんて、まだ分からない。

何を成し遂げられるかだって、分からない。


それでも、確かめたい。


自分の可能性を。

まだ見ぬ景色を。

そして、この人生で出会えるはずの、まだ知らない誰かを。


俺は、俺の人生を生きる。


君は、君の人生を生きてくれ。


いつか、君が誰かの道標になる日が来るかもしれない。


そのとき君は、きっと気づくだろう。


生きた証とは、ただ自分の名前を残すことではなかったのだと。


自分が生きたことで、誰かの未来に何かが残ること。


そして、その未来が、また次の未来へと続いていくこと。


物語は、いつか終わる。


どんな英雄にも、どんな強者にも、そのときは訪れる。


けれど、物語が終わることと、すべてが失われることは同じじゃない。


受け取ったものを、誰かへ渡せばいい。


自分の足で、また一歩進めばいい。


だから、これは終わりじゃない。


俺の物語は、ここで一度幕を閉じる。


だが、ここからまた新たに俺の物語は進み始める。


さあ、次は君の番だ。


君は、どんな人生を生きる?


無理と言われ諦める人生か?


全力で足掻いて波乱万丈な人生か?


落ち着いた人生か?


それは俺が決めることではない。


君が決めることだ。


俺と共に始めよう。


俺は見ているから。




~END~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。