episode11.『破壊神』
人は変われる。
あの日からずっとそう信じてきた。
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どれだけ底辺でも。
どれだけ傷付いても。
どれだけ夢を失っても。
人は絶対に立ち上がれる。
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そう信じて、
ここまで歩いてきた。
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だから、
俺は誰も見捨てなかった。
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罵倒された奴。
裏切られた奴。
笑われた奴。
全部、
俺は信じた。
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「一緒に立とう。」
そう言い手を差し伸べ続けた。
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でもある日。
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初めて出会う。
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「救われたくない人間。」
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傷付いているんじゃない。
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自分が相手を傷付けることを
自分で自分を傷つけることを楽しんでいる。
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夢を笑う。
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努力を笑う。
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希望を笑う。
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『どうせ』といい直ぐに諦める。
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人が立ち上がろうとすると、
引きずり下ろす。
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自分が勝つためじゃない。
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人が落ちる姿を見て笑うため。
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俺には全く理解できなかった。
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何度も話をした。
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「何でそんなことする。」
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返ってきた言葉は、
たった一つ。
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「見ていて面白いから。」
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その瞬間。
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俺の中で、
何かが崩れた。
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俺は、
初めて思った。
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「全員は救えない。」
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それが悔しかった。
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俺は、
全員救いたかった。
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敵も。
味方も。
全部。
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でも、
違った。
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世の中には、
手を差し伸べる手を、
噛み切る人間もいる。
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そこで俺は迷う。
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自分を信じ続けるのか。
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歩みを止めるのか。
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そして、
答えを出す。
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「俺は人を壊さない。」
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「でも……」
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「人を壊す仕組みは壊す。」
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夢を笑う空気。
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理不尽。
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人を見下す文化。
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挑戦を馬鹿にする常識。
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俺が壊すのは、
人じゃない。
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「悪意が当たり前になった世界。」
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俺は、
静かに立ち上がる。
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怒鳴らない。
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殴らない。
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拳も振り上げない。
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ただ、
真っ直ぐ前を見る。
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「俺は、お前を憎まない。」
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「でも、お前のやってることだけは認めない。」
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「そのためなら、俺は敵になる。」
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ここで初めて、
主人公は理解する。
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破壊神とは…
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怒りに任せて全てを壊す者じゃない。
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未来を守るために、壊す覚悟を持つ者。
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ここで、俺はまた
新たな信念を得る。
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「優しさだけでは世界は守れない。」
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「でも怒りだけで世界は守れない。」
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「守る覚悟を持った者だけが、壊す資格を持つ。」
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俺は再び歩き出す。
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誰かを倒すためじゃない。
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夢を笑う世界を終わらせるために。
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絶望に沈んでしまう人を
二度と出さないように……




